エッチな商材を扱ってた会社に勤めてた時の話
※当記事ではアダルト業界の話題を取り扱っています。そんなに過激な話はないのですが、念の為苦手な方はご注意
数年前、アダルト向けの漫画やアニメを作る会社で働いていたことがあった。
元々求人にはアダルト関連のものをあつかっていることは伏せられており、入社してから初めて知った。
ただアダルト業界に対してそんな偏見もないのでまぁ〜いいかぁ〜てな感じで結局そこそこその会社で長く働いていた。
なかなか立ち入ることもないような業界でもあると思うので、そこでの気づきや、なんでやめたのかといったところを振り返ってみようと思う。
割と(?)真面目な人が多かった
アダルト、というと何やらいかがわしくって反社会的というか、アナーキーな人(全裸監督みたいな)なんばっかりなのかなとイメージするかもしれないが、私の勤めていた会社はその真逆であった。
みな礼儀正しいし、とても真面目。コミュニケーションもしっかりしてるし服装もだらしなくない。
そして何より自分の作るアダルトコンテンツに誠心誠意取り組み、作家に対しても非常に真摯に向き合っている人が多かった。
アダルト=悪、みたいに捉える人も世の中には一定数いるだろうし理解はできるのだが、「人に喜んでもらえること」を第一に考えるという意味では世の中のサービス業と対して変わらないのではと思う。
そもそもアダルトコンテンツ自体を否定することがエンタメの多様性を否定することになってくるので、ナンセンスな気がしないでもない(個人の見解です)。
とはいえ自分もアダルト=なんかアウトローなイメージだったんだが、そのイメージは一瞬で変わった。
まぁこれは漫画の会社だったからオタクっぽい人が多かった=おとなしくて真面目な人が多い、ということであって、映像系とかになるとまたノリが違ってくるのかもしれない…
とはいえやっぱ最初は慣れなかった
いやまぁそりゃそうでしょうよ、、、入っていきなりエッチな漫画のエッチなシーンを目にしたときはそれはそれはびっくりしたし、「エッ話となんか違う・・・!」って思いましたとも。
実際今まで培ってきたデザインスキルをスケべな画像を加工したりなんだりすることに力を費やして、「今何やってんだろう…」みたいな気分になってきたこともあった。
それでも少しづつ、やりがいを感じられてきたのは、やっぱりアダルトコンテンツに対してめちゃくちゃ情熱を見せる人たちにあてられたり、「うぉ、こんな世界があるのか。。。」という知的好奇心をくすぐられるような事がいっぱい起きたからだと思う。
ただただ自前で処理をしたい、というだけのニーズに、ここまで多様なコンテンツを提供し、そしてそのニーズもかなり莫大である、というのが非常に面白い。そしてこのコンテンツの幅広さ、というのは間違いなく日本のコンテンツの強みだと思う。(そんな強みやだ…という人の気持ちはわかる。ただ実際HENTAIジャンルが世界を席巻してる実情を見ると、間違いなく強みなんだろう)
なんで退職したのか
私はこの会社を数年前に退職した。
「楽しめてたのになぜ?」と思う方もいるだろう。
しかし、いくつかここに居続けるのは厳しい。と思わせる問題があった。
①親に言えない
親や、恋人、友達に自分のやっている仕事をなかなか話す事ができなかった。これはとにかくしんどくて、デザイナーだったら「こういうの作った!」と自分の手柄を他人に見せたくなるものだ。
しかし、この時私が作ったものにはもれなくエッチなコンテンツが紛れてくる。
私がなんとも思わなくても、親や友達、恋人はどう思うだろうか?
そこをどうしても気にしてしまった。
(多分大丈夫だったとは思うが、、、)
②アダルト以外のことができない=将来への不安
会社自体はアダルトコンテンツ以外のことに挑戦もしようとしていたが、何度も失敗しすぐに撤退してしまっていた。
なので自身の実績に、アダルト以外のバリエーションが全く増えなかった。
ずっとこの会社にいるつもりもなかったので、転職するときにポートフォリオはどうしよう…と常に不安だった。
「このままアダルト専門のデザイナーになってしまうかもしれない…」
そういう考えが頭を占めるようになって来てしまった。
③外部発信ができない
今の時代、LTや講演、noteなどでデザイナーの活動を発信していくのは当たり前の時代になってきた。
私はそれなりに自己顕示欲も強いので、どんどん発信していきたい、と思っていた。
しかしそこでまた例のアダルト問題が顕在化してくる。
「講演中、例として出したものにアダルト要素を要素を載っけてしまって良いのか…?」
「よしんばうまく誤魔化せたとしても、社名でググって来た人が実情を知って幻滅するのでは…??」
といった不安が頭をよぎり、結局外部発信はできずに終わってしまった。
今思えば、何かしらの手段でやる方法はあったような気もするが…
ただ当時の私には思い付かずじまいであった。
結果:やめたけど楽しかった
結局私はこの会社を辞めて、それなりにお固めの企業を転々とし、今に至っている。
なんだかんだあったが結論としては楽しかったし、良い経験になった。
(日本のアダルトコンテンツって多様でやっぱ面白いよね)
戻る気は正直ないが、影ではこの会社のことを応援し続けている。
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