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【備忘録】海に抱かれて ~ダイビングの魅力~

海の中をのぞいてみたい!と思ったことはありますか? 魚たちが悠々と泳ぐ、あの青い海の中を。私はもともと海に興味がなかったのですが、ある時点から、海への想いが変わったのでした。

私が初めてダイビングと出会ったのは、小笠原の海でした。

GWは島に行こう、と思い立って行先を探していた時に、目にとまったのが小笠原でした。小笠原へのアクセスは、6日に1便の定期船のみ。その当時、もう約20年も前になりますが、東京の竹芝桟橋から船で25時間半もかかる島でした。小笠原での滞在は9泊10日。今、思うと、よくそんなに会社を休んだものです。

勢いで小笠原行きを決め、船と宿を予約したものの、滞在期間中の予定は何も決めていませんでした。行き当たりばったりの旅です。

小笠原に着いた日の夜、宿泊していた宿で知り合った人がダイビングに行くという日にあわせて、体験ダイビングに申し込みました。特に予定もないし、せっかく南の島に来たのだから、そんな軽い気持ちでした。そして数日後、私はダイバーに混ざって船の上にいました。

ダイバーは1日に2本潜る予定で、私はその合間の休憩時間に体験ダイビングをすることになっていました。お昼休憩の時間になり、いよいよ、私の番がやってきました。ウェットスーツに身をつつみ、ドキドキしながら船の端の指定された場所に座りました。器材の扱い方は全くわからなかったけど、全てガイドさんがセットしてくれました。

「じゃあ、いいですか?」と声がかかり、どうだったらOKなのか、よくわからないまま「大丈夫です!」と元気にこたえました。いよいよ海へ!と心の準備をする間もなく、ポンと押されてドボンと海の中に落ちた私。あっという間の出来事で、なんだかわからないうちに、私はプカプカと海の上に浮いていました。

その後、ガイドと一緒に海の中に潜り、サンゴの上を泳ぎながら、目の前の小さな魚たちを見ているうちに、なんだか楽しくなって、私は腕をバタバタと振り回しはしゃいでしまいました。実際には、泳いだというより、ガイドに引っ張ってもらっていたという状況だったので、はしゃいで腕をバタつかせたりするなんて、少々迷惑だったかもしれません。

こんな感じで、私の初めての海中散歩は、あっという間に終わりました。

そして、翌年の夏。海に潜りたい、との想いが強くなった私は、伊豆の海でダイビングの講習を受け、ダイバーとしてデビューしました。それからは、ダイバーへの道を、というか、ダイバーとして、まっしぐらに突き進みました。

週末は、いつも海。ダイビングショップのガイドも呆れるくらい、休みのたびに海に潜りに行きました。私もあの小笠原の海で潜りたい、その想いだけで突っ走っていたのです。

そして、次のGW。やっと小笠原の海で潜ることができました。ダイバーとして潜る小笠原の海は、私にとってパラダイスでした。

サンゴもある。
沈船もある。
回遊魚の群れにも出会う。

海の中では、まるで冒険しているかのようにワクワクしました。青い、どこまでも青い海の中を泳いでいると、気分が爽快になり、自分が空を飛んでいるかのような、そんな錯覚も起こしたのです。

正直なところ、初心者の私にとっては怖いと思うこともありました。でも、それ以上に楽しい。小笠原の海は、私にとってエキサイティングな海でした。

一方、海にはエキサイティングとは異なる魅力もあります。それは、“癒し”です。

週末は、よく伊豆半島や伊豆大島の海で潜っていました。これらの海では、主に、流れのほとんどない穏やかな場所で潜っていたのですが、潜り終わって陸に上がるときには、驚くほどスッキリした気分になるのです。ストレスが溜まっていても、胸の奥にあるモヤモヤが解けてなくなり、なんだか気分が軽くなるから不思議です。

海の中では、何も考えず無になれました。ふだんは、意識してもなかなか無になることなどできないのに、海ではそれが簡単にできてしまうのです。浮きもせず沈みもせず、ふわふわと漂いながら、自分の呼吸に意識を向けると、あっという間に雑念が消えて無になれました。それはまるで瞑想しているかのようでした。

また、海の中にいると“海に優しく包まれている”、そんな風にも感じられました。それはリラックスと安心感につながり、気持ちを穏やかにしてくれました。胸の奥に凝り固まっていたイライラや怒りそして不安といったマイナスの感情が、泡がはじけて消えるかのように、ふわっと消えてなくなるのです。不思議な感覚でした。私にとって、海は癒しの場所にもなったのです。

海の中は非日常の世界。そんな海に抱かれて、エキサイティングと癒し、この二つの魅力を持つ海の虜になっていったのでした。

※【旅の備忘録】は過去の旅の記録です。

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