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海の風に癒された日々

「気持ち良さそう〜!」

ドライブして海に行くと、帆をピンっと張って進んで行くウインドサーファー達を見つけた。

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浜辺の坂を登って行くと白い洋風な建物の横に沢山のボードが立てかけられている。「ショップかな?」
中には大きなテーブルを囲んで雑談されている常連さん達。小さく会釈をしながら店内を物色していると、長身で日焼けした店長さんがバリバリの広島弁で話しかけてくれた。

「こんにちは!」

相手を緊張させない不思議なオーラを持った人。

「1日体験レッスンやって見る?」

いろんなお話を聞くとやりたい気持ちが強くなる。そして、その週末から私のウィンドライフが始まった。

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まずは浜辺でセールの上げ方のレッスン。慣れてきたらいよいよ海へ。

海水の重さも加わってセールを持ちあげるだけでも全身の筋肉を使う。
何度も何度も繰り返しボードへよじ登るから膝が青あざになっていた。

コツをつかむと少しずつ軽くなる。

背中に風を感じながら
前へと進む距離も長くなってくる。

風と対話しながら進む方向を決めるスポーツ。
海風に癒される。

それからは毎週のように海に出た。
スウェットの上から白い新品のドライスーツを着ると、まるで宇宙服の様。冷たい水の中でも寒くないのが不思議で瀬戸内の穏やかな海の中でぷかぷか浮かんでしばらく遊んでみる。

「ウィ〜!」

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夏に始めたウィンドサーフィンも数ヶ月が経ち冬を迎える11月になっていた。

海から上がりシャワーで海水を綺麗に洗い流したら、濡れたままの髪を束ねていつものように2階のカフェで雑炊を頼む。秋の海水は冷たく体の節々は痛いのに、熱々のそれを頬張っていると心はなんだか充実していた。 

全く違う環境にいる人達、
海好きが集まって風や波の話をしに集まる。

実家が税理士事務所で毎年試験に落ちている税理士さんの卵、ピアスをしたお寺の和尚さん。
地元の小さな広告代理店に勤める自称アートディレクターに、お見合いを80回してる(30回だったかな) 海運勤めサラリーマン、シーマに乗り社長と呼ばれていた小さなお金持ちのおじさん。

「今日は凪じゃのう。」

会話は完全にフィッシャーマン、笑
都会のサーファー達とは違う
居心地の良い空間だった。

私は何故か「まりやちゃん」と呼ばれていて、それぞれフルネームを知らない、今のサロンのような感じかな。

別府のレースや夏の合宿。

性別も年齢も職業も関係なし!

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この記事を書くにあたり調べて見るとなんと、あの白いショップは健在だった。あれから30年以上経つのだから古くはなっているものの、白い自動販売機も同じ場所にある。

台風の影響で風が少し強かった日。
流されて行く私を、店長がレスキューに来てくれた。もうすでに腕力は使い果たしていたけど最後の力を振り絞ってボードにしがみ付きジョイントをしっかりと握った。キックボードの様な状態で半身は水の中。出廷した場所からは離れた岸にたどり着き砂浜に倒れ込む。顔を上げると目の前にはデート中のカップルが、笑 恥ずかしくなって何もなかった様に立ち上がり宇宙服で砂浜をテクテク歩いてショップまで戻った。

あの時、お礼にこの自動販売機で飲み物を買って全員に配ったっけ、笑。
(助けていただいたお礼がジュース一本かい!)

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現在はウィンドサーフィンよりもSUP (Standup paddleboarding スタンドアップパドルボード)やバナナボート、Kitesurfing (カイトサーフィン)を中心にされている。

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それからアメリカに引っ越した私は、海からは遠く遠く離れたアパラチア山脈のふもとに住んでいる。道路脇は山ガールが大きなバックパックを背負って歩いていたりするほど沢山のハイカーが訪れる場所。

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そんな山の中とは言え、この辺りにはあちらこちらに大きな湖があり週末になるとボートを引っ張っている車と良くすれ違う。

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そして小さな湖を囲んだコミニュティもあちらこちらにあるから、水辺が好きな私は家を購入する時の候補のひとつに上げていた。写真は友達が住んでいるLakefront communities。この日はあいにくの曇り空だったけど、静かな湖でモーニングコーヒーを飲みたいな、妄想が広がる。

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パンデミック以来、安全なアウトドアが注目されて、個室で移動出来るRVの需要も高まった。リタイヤしたら、これで全米を走るのも悪くない。

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そんなこんなで、何故かたまたまアメリカでもアウトドア専門店に16年間勤めている。

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懐かしくなって
あの頃の写真を探して

一枚だけ見つけた

愛車サニーカリフォルニアの前で
思いっきり笑顔の自分。

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海の思い出
あり過ぎて書ききれない……

つまらないと思ったら
つまらない人生になるから
どんな環境でも自分次第で
変えていけるはず

都会から帰って何もない
って思っていたら
こんな綺麗な景色が待っていたよ。


サイドミュージックは1990年サザンオールスターズで「希望の轍」
海の帰り道に良く聴いた思い出の曲。



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