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自己肯定感とは


こんばんは、佐藤です。

実は私、創作活動を中学生くらいからしており、その頃からイラストやブログ、HPなどを作ったり書いたり、同じ趣味の人と交流をしたりということをしており、Twitter歴もこう見えて10年近くになったところです。立派なツイ廃でございます。Twitterを閉じてTwitterを開くことも日常茶飯事、TL警備も怠らないツイ廃の鑑ですね。

まあ、なんでこんな話をしたかと言えば、そのTLでこのエッセイメチャクチャ良い、というツイートを目にしました。それがコチラ。

私のフォロワーは何年も付き合いがあったり、同じ趣味趣向や性癖だったりする人たちなので、彼女たちがRTするツイートや引用には密かに圧倒的信頼を置いています。そもそも、創作するフォロワーに関しては作品が雄弁に語るので、その人たちが薦める作品に信頼しかないのですが。

さて、話をエッセイに戻しましょう。
昼休みに何気なく流れてきた上述のエッセイを軽い気持ちで読み始めたのですが、読み終わる頃には昼休みも終わるわ顔がお見せできないレベルになるわで大変でした。
今日はこのエッセイの感想をちょろっと書きたいなというのと、何よりこれたくさんの人に読んでもらいたいな、めちゃ良だったので……という気持ちがあり、この記事を書こうと思い至った次第であります。

簡単にまとめればロンドンを筆者と筆者の祖母が旅する、という内容の話なのですが、するすると読めるし、情景などがさらっと入ってくるというか、頭に浮かぶというか、表現が上手いなぁと思いました。なにより、おばあさまのキャラがメチャクチャに素敵。
また、ホテルの方々もとても素敵な方々で、「私もこのホテル行ってみたい〜!」と思わせてくれる様々な場面が、とても良い。すごくほっこりする。とにかく素敵なやりとりがとても多かった。いいなぁ、こういう関係性。ホテルのスタッフミーティング完璧過ぎるの、本当に好き。笑

あと、美術館でのこの場面。

……世界中から様々な人が訪れるので、絵画に対するアプローチも、やはり色々です。
顔を近づけすぎたり、手を伸ばして無邪気に触ろうとしたりする人もいて、そういう人たちを決して傷つけたり嫌な思いをさせたりしないように、笑顔でやんわりと注意する態度には、私も祖母も感銘を受けたものです。
そうした人たちとの会話を必ず「ご協力ありがとうございます。楽しんでくださいね」で締め括るのも、とても素敵で。
特に、絵の前に張られたロープをくぐって遊んでいた5歳くらいの男の子に対する彼女の注意方法が、祖母の心をガッチリ掴みました。
彼女は男の子にゆっくり近づき、床に膝をつくと、彼と同じ視線の高さで、祖母にもわかるシンプルな英語でこう呼びかけたのです。
"Be a little gentleman!"、「小さな紳士であれ」と。
男の子はハッとした様子で背筋を伸ばし、すぐに再びロープから手を離して、女性の前に立ちました。
女性はニッコリして、「ご協力ありがとうございます」と丁重に礼を言い、男の子と握手を交わして、元の席に戻ります。
男の子もまた、誇らしげに母親のもとへと向かう……その光景に、祖母は大いに感激したようでした。

自己肯定感の話⑦

確かに、注意する時って「ダメだよ」とか叱るところをこういう風に指摘して相手にも不快感を与えずに収めるって凄いなぁと読んでいて私もここには感激しました。
また、その続きにも、私は心をグッサリと刺されました。

……祖母は続けてこうまくし立てました。
「紫式部は勿論優れた人だけど、やっぱり清少納言よ。落ちぶれていく主に忠義を尽くしたわけでしょう。しかもあんな強気でサバサバして面白い文章を書いて、寂しい主を慰めて支えた、その姿勢こそが美しいわ! 本当の美人ていうのは、そういう人のことを言うんです」
あれ。
なんだか、これまで私が把握していた祖母の美意識とは、ちょっと毛色の違うパーツが浮かび上がってきたようです。
好きよ、そういう考え方。
それは初めて、「この人、私の祖母だわ」と実感した瞬間でありました。
しかし祖母は、「お前のことなどわかっている」と言いたげに私をじーっと見て、いきなりこう付け加えたのです。
「小説を書いて食べていくんなら、そういう書き手になりなさい。有名になりたい、褒められたい、そういうことではなくて、誰かの心に添うものを書きなさい。自分のためだけの仕事は駄目よ」

自己肯定感の話⑦

ここの、『有名になりたい、褒められたい、そういうことではなくて、誰かの心に添うものを書きなさい。自分のためだけの仕事は駄目よ』というところ、不覚にも泣きそうになってしまい(というか若干泣いてた)、これは自分の活動に関しても言えることだなぁと思い、私も誰かの心に添う歌を届けられたらいいな、と読みながら思いました。

……「どうしてお祖母ちゃんはいつもそう自信満々でいられるのかなーって。絶対、迷わないやん? いつも断言するし、自分のことそうやって美人だと思ってるし。凄い才能だと思うんだよね。そのつよつよ遺伝子、引き継ぎたかったわ~」
祖母はやっぱり、私に顔をうにうにと擦られつつ、「もっとこのあたりを丁寧に」と言わんばかりに目元を指さしながら、さも当然といった口調で答えました。
「私はねえ、自分を生まれながらの美人だと思ったことはないの。だからこそ娘時代から、美しくなろうと努力したわけ。お肌が白くなるよう磨いて、お化粧を工夫して、髪型も着るものも、自分に似合うものを研究して」
「それは凄く偉いけど、努力したって、実るとは限らへんやん?」
「努力しなければ0のままだけど、100努力すれば、1か2にはなるでしょう。1でも違いは出るのよ」
「そんなもんかなあ。骨折り損の……って感じがするけど」

自己肯定感の話⑩

私はメチャクチャ筆者と同意見でした。自己肯定感なんてものはドン底の私にとって、自己肯定感を持っている人は羨ましい。

……「あんたはそうやって、最初から諦めているから不細工さんのまま。0どころか、日焼けして、お手入れをさぼって、お洒落もしないで、マイナス5にも10にもなってしもてるんと違いますか?」
「ヴッ」
思わず、喉というよりみぞおちのあたりから、変な声が出ました。
祖母の目尻を擦る指に、つい力がこもります。
「あんた自身が、本当にそれで構わないと思ってるんならいいけれども、そうと違うでしょう。人の目も気になる、自分でも気になる、美人に生まれた他人様が羨ましい」
「うう」
もはや返事というより呻き声ですが、祖母は、私のコンプレックスなどお見通しだったようです。
「それなのに何もしないのは、自分を見捨てて痛めつけてるようなもんよ。それで自信が持てるはずがないわ。鏡を見て、ああ、昨日の自分より少しだけ綺麗だわ、って嬉しく楽しくなれるように、少しでも努力してみたらどうなの」
「ぐう」
「もっと綺麗になれる、もっと上手になれる、もっと賢くなれる。自分を信じて努力して、その結果生まれるのが、自信よ」
祖母の言葉には少しの澱みもなく、でも同時に、驕りもありませんでした。

自己肯定感の話⑩

いや、私も筆者と同じように呻き、そしてそう思えるような生き方をしてきたおばあさまは素晴らしいな……と尊敬しました。

この後も素敵な旅は続いて、おばあさまのちゃんとした本物のお寿司を、お世話になったお礼に回転寿司しか知らないホテルのサービスマンに食べてもらいたい、という思いで筆者が買いに走りホテルの部屋で一緒に食べる、という素敵な時間を過ごしていたり(ここでもこのおばあさまの考えの素敵さに涙がでかける)私も祖母がもう既に亡くなっているので、ところどころ私自身も祖母を思い出してぼろぼろと泣いてしまったり、筆者のおばあさまが素敵すぎてぼろぼろ泣いたりしていました。

……「前にも言ったけど、あんたに足りないのは、自信です。見ていたら、自信がないだけじゃなくて、自分の値打ちを低く見積もってるわね」
ウッ。
思ってもいない方向から刺し貫かれた思いでしたが、言われてみれば、それは確かに、私の小ずるい行動原理のようなものでした。
私自身が気づいていなかったそれを、祖母は見事なまでに言葉で指摘してみせたのです。
「謙虚と卑下は違うものなの。自信がないから、自分のことをつまらないものみたいに言って、相手に見くびってもらって楽をしようとするのはやめなさい。それは卑下。とてもみっともないものよ」
待って待ってお祖母ちゃん。
私のライフは一瞬でゼロどころかマイナスよ。
この旅の間、若い私が傲慢にも「お世話してあげている」と思っていた祖母は、とてつもなく冷徹に私を観察し続けていたようです。
突然後頭部を全力で殴られたような気持ちで、私は早くも半泣きでした。
でも祖母は、これが最後のチャンスだと思ったのか、攻撃の手を緩めてはくれませんでした。
「いつも、そのときの自分の最高で、他人様のお相手をしなさいよ。オシャレもお化粧も、そのために必要だと思ったらしなさい。胸を張って堂々と、でも相手のことも尊敬してお相手をする。それが謙虚です」



自己肯定感の話19

なんかさぁ、もう、すごいおばあさまだなって思うのよ。結構私は筆者に感情移入してたし、卑屈で自信もないから、私も一緒に殴られてて笑 このエッセイに出会えてよかったなぁと読み終わって思いました。
あと正直イギリス、一度行ってみたいなぁと最近よく思っているのですが(紅茶好きなのと、大英博物館マジで一度行きたいのと、ホームズが気になり始めたので……)、この記事を読んだことによりなお行きたくなりました。



※ここからは記事と離れてド暗い佐藤の身の上話になります。後味が悪すぎてウケたので、happyな気持ちで帰りたい人は読まない方がいいです。
普通に晒すのが恥ずかしいので有料にしています。


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