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一本の映画に救われた話

「はやく高校を卒業したい。。。」
わたしの高校生活は、苦しさに耐えることとの戦いだった。

クラスの中で、心を通わせる友達を一人もつくることができなかった。
休み時間は、トイレや誰もいない教室で時間をつぶした。
お昼のお弁当も一人で黙々と食べていた。

「あいつクラスで浮いているよな」
「なんか見ているだけでムカつくんだけど」
周りから陰口を叩かれるようになった。
頼むからほっておいておくれよと思った。

そのうち危害を加えられるんじゃないかと、
毎日ビクビクするようになった。
喧嘩も強くないし、到底かなわないだろう。
なるべく視線を合わせないよう、意味もなく教科書を見たり寝たふりをしたりと、無理やり自分の殻に閉じこもるようになった。

学校に行くのがつらい。
このつらい気持ちを、誰にも相談できずに、一人で抱え込んだ。
親に心配をかけたくなくて、学校を辞めたいとは言えなかった。
神様に心からお願いした。でもクラスに友達はできないまま、日々は流れていった。
「あと何日耐えなきゃならない??」「死にたい」という思いが頭に浮かぶ。


この状況で、わたしの心の支えになってくれたのは、一本の映画だった。
ジブリ映画の『耳をすませば』。

男女の淡い恋が見事に描かれていた。
主人公の『しずく』が、当時の自分の年齢と近かったこともあるだろう。
『しずく』が進路について悩み、自分のやりたいことに対してひた向きに頑張る姿が、キラキラして見えた。
『しずく』は、本を読むことが好きで、よく図書館に通うのだが、
その情景が自分と重なり、切ない気持ちになった。

この苦しい状況下で、わたしの心は動かされた。

男子校だったこともあり、わたしも大好きな女の子とこんな恋がしてみたい! と妄想が膨らみ、想像の世界を楽しんだ。
世の中には、まだまだ自分の知らない世界がひろがっている。
『しずく』のように、自分のやりたいことに夢中になって、苦しいこともあるけれど、楽しくてワクワクするような毎日を送りたい!

今は苦しみに耐えて、何とか卒業することで精いっぱいだ・・・・・・
もし無事に高校を卒業できたら、この日々を乗り越えたら、どんな気持ちになるだろう??
晴れ晴れとした気持ちで、そのときにもう一度『耳をすませば』を見たい!

そんな思いが、「あきらめてたまるか。生きよう!」と力を与えてくれた。

一本の映画が、わたしを救ってくれたんだな~

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