トラウマの心理療法について整理してみよう 3 心理療法の効果

トラウマを抱えているあなたは、決して一人ではありません。心理療法は、カウンセラーは、そんなあなたをサポートするためにいます。

トラウマの心理療法は、過去の傷ついた経験からこころを回復し、よりよく今の生活を送るための手段です。それではトラウマの心理療法には、どのような症状への効果が期待できるのでしょうか。トラウマの問題は多岐にわたりますので、その効果の期待の範囲も広くなります。


1.トラウマの症状の軽減
トラウマの症状の代表的もの
・記憶:フラッシュバック、うまく記憶が思い出せない、記憶にとらわれる記憶の混乱
・過覚醒:悪夢、いらだち、集中の困難、睡眠障害、驚きやすい、気持ちが張り詰めている
・解離:感情、考え、体験の記憶が繋がらない。自分が今ここから離れている感覚など
・回避:感じたり、話たりすることを避ける。場所、状況を避ける。
・身体症状:吐き気、めまい、頭痛、動悸、震え、腹痛、発汗、呼吸困難、緊張など
・心理状態の問題:不安、落ち込み、恐怖、悲観、憂うつ、怒り・自己肯定感の低下、世界への信頼感の低下
・対人関係の問題:親しい人間関係を維持できない、コミュニケーションを取れている実感がなくなる、他人から悪く見られている感覚、自分の行動をうまくコントロールできている感覚がうすいなど
・ストレス耐性の低下:ストレスに対して適度に対処することが難しい、うまく受け入れたり、避けたりできないなど


2.生活の質の回復
・仕事や学習への集中力:トラウマによって低下していた仕事や学習への集中力への効果
・社会参加への意欲向上:社会活動や趣味など、様々な活動の参加への効果
・日常生活への復帰:うまく行かなくなっていたふだんの日常生活への効果。


3.自己の成長
トラウマ体験の意味づけ:トラウマ体験に新たな意味づけが生じ、過去の出来事を否認せず受け入れることへの効果。
自己の成長:不可避であったトラウマ体験を自己成長の糧とする効果。


4.心理療法の注意点
さまざまな効果が期待できる心理療法ですけれども、その効果には個人差があります。早く回復することももちろんありますが、多くの場合しっかりと回復するまでに時間がかかります。
また、生活の中でストレスを感じたり、新たなトラウマを経験したりすることで、症状が再発する可能性もあります。これらの効果は、どのような心理療法を受けるか、そして、その人の抱えているトラウマの種類や程度によっても異なります。
いずれも、あせらず、長期的な視点で心理療法に取り組むことで、多くの人たちが回復していくことができます。

心理療法は、トラウマから回復するための有効な手段ですが、万能ではありません。けれども、専門家のサポートを受けることで、多くの人がより良い方向へと変化し、心身を回復していくことができます。

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