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M-1グランプリ2020を分析してみた

構成作家・放送作家・漫才作家の里村です。

今年もM-1グランプリが終わりました。毎年終わった後の余韻がえげつないですが、一視聴者の目線から作家目線で振り返りたいと思います。

まず今回はテクニックよりもパワー勝負の大会となりました。松本人志さんがかつてハリウッドザコシショウが優勝したR-1後に「R-1は人を笑うかネタを笑うか、今年は人やったね」とつぶやきましたが、まさしく今年のM-1も人が勝負を決めました。マヂカルラブリーがあれだけウケたのも、上沼恵美子に過去にあれだけ酷評されながら、バカバカしさをさらに尖らせて持ってきた点にあると言えます。「どうしても笑わせたい人がいる男です」と野田がツカミで言ったように、人に人をぶつけた化学反応の上の大爆笑でした。

さらに、おいでやすこがも小田さんがありったけの人をぶつけてきました。ローテンションで出てきて、漫才にあるまじき棒立ちから、ただ愚直に「どストレート」なツッコミを力一杯叫ぶことで会場の空気をさらい、それ以降のオズワルドやアキナのようなテクニカルなネタがウケにくくなるほどでした。

見取り図の最終決戦のネタも、お互いの出身地をディスりあうという盛山のラップバトルの能力を漫才に落とし込んだともいえる、人とネタが見事に融合した傑作でした。

こういった三者三様の人がぶつかりあった結果、3対2対2という史上まれに見る接戦になったと言えます。

もちろんファーストラウンドで敗退した7組も素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。各コンビ絶賛に値するので、僭越ながら良かった点を挙げていきます。

ファーストラウンド 
インディアンス(敗者復活)

今大会を盛り上げた立役者。敗者復活戦と同じネタだったが、ツカミで寒さをいじる余裕も見せて、今年はミスも無くのびのびとやり遂げた。
劇場でもトップバッターになることが多いインディアンスだけに、更地の状態から場を暖める力は流石。パフォーマンスも完璧で、去年礼二さんにただボケてるだけと言われたが、今年は巨人師匠にきむがネタで噛む部分のフォローも自然だったと言われる出来。
結果、点数はそこまで伸びなかったものの、これで会場が暖まり全員が爆笑を取る大会となった。

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