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時間の無駄になっている討論・議論を根底から変える2つの方法

学校で盛んに行われるようになってきた討論・議論。これらの活動が無駄という訳ではありません。やり方に大きな問題があるのです。

結論は次の通りです。

「討論では第3の意見を出し合うための場にすること」
「議論では個人、またはグループごとに案を出し、質問や批判を行うこと」

本題に入る前に、これからの子どもたちが身に付けなければならない力が3つあること、その一つが「課題解決に向けて協働する力」であることをご理解いただくと話がスムーズに入ってきます。
(他2つについては以下の記事を参照にしてください。)

「課題解決に向けて協働すること」これは、小学校では総合的な学習や授業における「討論」「議論」がメインとなります。

そもそも「討論」とは何でしょうか。英訳すると「ディスカッション」です。

立場を2つに分け、論理的に説明し、討議すること。

例えば、『原子力発電を今後どうするか』を原発0派と原発維持派に分かれて話し合うことなどです。

似たような言葉で「議論」(ディスカッション)があります。

お互いに思っていることを述べ、共通の結論を目指すこと。

例えば、『地域のことをもっと市民に知ってもらうためにはどうすればよいか』などの最終的に意見をまとめ上げていく活動です。

学校では、「討論」「議論」どちらも取り入れられています。しかし、現状ではどちらにも大きな問題があります。

まず「討論」、小学校6年生の総合的な学習で『原子力発電を今後どうするか』について話し合ったとしましょう。この討論の終わりに教師は次のようなコメントを述べてしまうことはないでしょうか。

どちらの意見も論理的に説明しており、とても良かった。いずれにしても、他人の意見任せにしないで、自分の意見をきちんともてるようになることがこれからも大切です。

私もこのように結論を出さずにまとめの一言を言って締めています。しかし、一見第3者として上手くまとめていますが、結局、この議題に対しての最適解が出ず、何のために「討論」したがか分からなくなってしまいます。ではどうすれば良いのでしょうか。

これからは、どちらの意見も考え合わせた上で、どうすればお互いが納得できるのか、第3の意見を出し合うための場にすれば良いのです。意見を対立させたまま終わるのでもなく、教師がきれいにまとめて終わらすのでもなく、最適解を出させるような「討論」が「課題解決に向けて協働する力」を身に付けさせることになるのです。

次に「議論」について、例えば、学活の授業で『今月の生活目標は何にするか』『お楽しみ会の内容をどうするか』を話し合ったとします。

このような「議論」ははっきり言うと、時間の無駄です。『今月の生活目標は何にするか』を議論したところで、ありきたりな正論なものしか出ないからです。
『お楽しみ会の内容をどうするか』も同様で、子どもたちから意見が出させ、どれが良いかを多数決し、やりたい人がレクなどの担当をする…ただ楽しむだけのものになってしまいます。
もちろん、このような議題はあってもいいと思います。しかし、話し合う方法を変えていかなければなりません。

①  グループごとにそれぞれが意見を出し合い、一つの案を作成する。
②    グループ全員で作成した案のプレゼンテーションを全体の前でする。
③    質問や批判をする。
④    多数決で一つに絞る。

①の段階で、「課題解決に向けて協働する力」が身に付きます。また、③を取り入れることで、全体で協働することにも繋がります。③の後に、再度①②に取り組んでも良いかもしれません。

夏休み明けの授業の中で、子どもたちが課題解決に向けて、協働するような活動を取り入れていきたいです。

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