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Zoom+Slack授業実践メモ(Zoom上でグループ分けをするアイディア)

担当している教養系科目でZoomを活用した授業を行っているので、そのまとめをしていきたいと思います。
第1回目を実施してから少し時間が経ってしまいましたが、思い出しながらやっていきます。

今回の科目は文章表現について学ぶ授業です。レポートを上手に書けるようになるためのもの。非常事態宣言によってスタートが遅くなったので、全部で12回の実施。2年生の必修授業、受講者数は30人程度。グループワーク主体の授業です。

この日の大きな目的は授業の目的や流れを理解することと、これからグループでワークをやっていくため、そのグループを作ることです。

本編に行く前に事前準備として行っていたことをメモ。
Moodle(大学の学習支援システム)上に事前に確認しておいて欲しいこと・資料をアップ、また初回のZoomのルームURL、そしてSlackを活用することをお知らせしておきました。

授業当日、Zoom不具合が必ず出ると思ったので、授業スタートの約30分前からルームをオープン。心配な人は早めに来てねスタイル。

不具合結構出るかなと思ったけど、割とみんなスムーズ。事前に一度ルームにアクセスしておいてもらったのがよかったのかな。若干名Wi-Fiのトラブルがあったので、その子たちが参加できるまで待ってからスタート。余裕を持ってバッファをかなり多めに取っておいたのもよかったです。

こちらのパソコンは2台体制にしておき学生たちからの見え方を確認できるようにしておきます。そのうち1台(メイン用)のバーチャル背景を以下のようにしておきスポットライト機能を使って一面に表示されるようにしておきます。

ここでメインPCのカメラに付箋などで「カバー」をかけることが大事。こうすることで人物が映らなくなり、アナウンスが見やすくなります。この部分ではセカンドPCから自分を映し、説明をします。

(メインPCしかバーチャル背景が対応していなかったので……、本来はセカンドPCでやった方が良いのかなぁと思います)

Zoom背景Tips.001

「表示名を変える」のはこの後グループ編成をする際に使うため、その練習も兼ねてです(チーム名はこの時点では決まっていないので、1回目の授業では【名前+(読み仮名)】に表示名を変更してもらいました)。

(事前に学生たちに受講環境確認のアンケートを実施して、通信容量に制限がないことを確認しています)

授業前半は、目的や流れを説明。必要な部分はメモしてね、と言ってもどのくらいの子たちがメモしたりをしてるのかがわからないところが遠隔の難しいところですよね。

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授業後半、Zoomのシステムに慣れることとともに、オンラインでのコミュニケーションを体験してみる、また、グループ編成をやっていきます。

普段であれば隣にどんな人がいたりとなんとなく雰囲気でわかる他者の存在感がオンラインでは難しいものです。そのため、自己紹介という名目でちょっと他のメンバーと対話する時間を作ります。もちろんグループ分けをするための布石です笑

30人程度のクラスなので、その場で全員でとなると大変なので、ブレイクアウトルームを使って小グループで。その際、話題がないと話にくいので、各回でトークテーマを設定しておきます。1回5分くらいに設定しておき、時間がきたらメインセッションに戻って来るようにします。

では肝心のグループ分けですが、ランダム性を持たせるため、あるお題を出し、その数値順にブレイクアウトルームに割り当てをしていきます。

この日使ったお題は以下のようなもの。
・今日起きた時間(起きた時間順に5人ずつくらいに分ける)
 トークテーマは今日の朝ごはん、食べてない人はお昼に食べたいもの
・誕生月(1月〜12月の順に5人ずつくらいに分ける)
 トークテーマは今欲しいもの

複数回やることによって、なるべく多くの人と簡単ではあるものの対話してもらうことが狙いです。

そして3回目は以下のお題。
・自分の実家が大学のキャンパスから何番目に遠いか
(1番遠いと思う人は1、1番近いと思う人は30を書く)
 トークテーマは地元紹介

これも同じように遠い順に5人くらいずつグループ分けをして自己紹介。そしてこの時にできたグループを課題を行うグループに設定。

というのも、僕はグループ編成には自己決定権とランダム性があることが大事だと思っています。グループワーク主体の授業では、モチベーションという意味でもアウトプットの質という意味でもグループ編成がもっともキーになります。そのため、教員が一方的にグループを決めてしまうなどすると、一番大事な部分が人の采配によることになり、納得感が下がってしまいます。そのため、その決定には自分が多少なりとも関与したという事実、そして、かつ、偶然そうなったという事実があることが納得感を高めるためには必要だと考えるためです。

ワークショップデザインの知見からも、ある決定に自分ごと感をもたらすためには、その決定に対して、自分が関わったという「自己原因性感覚」があることが求められるという見解もあります。

このような考えから、普段(対面)の授業でもグループ分けをする際は、これらの条件を満たすため、僕はよくマグネットテーブルの手法を用いてグループ編成を行います。

しかしオンラインではこの手法は使えないため上記のような手順を経ることにしました。このグルーピングは、それぞれ学生たちの思惑は混ざりつつも、その思った通りにはならず、ある種運命的な面も生まれるためです。

(もちろん違和感があったり、どうしても納得がいかないという学生のために、意見を聞くことができるセーフティネットも念のため貼っておきます)

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さて、このように作られたチーム。これからグループでの作業が始まるわけですが、普段であれば隣同士でいるわけなのでコミュニケーションをとって関係性を構築していくこともできますが、今回はオンラインのため、普段であればできる「気軽な」コミュニケーションができません。

そのため連絡先を交換してLINEグループなどの連絡手段を作ってね、と言ってもちょっとハードルが高い学生もいると想定しました。そこで考えたのが、Slackを使うということです。

授業の各種連絡事項をSlackを使ってアナウンスするとともに、プライベートチャンネルを活用することでグループメンバーだけの対話の場も作られ、かつ、その様子を管理者である教員も確認することができるため、話し合いがうまくいっていないグループには直接介入することもできる。

ブレイクアウトルームを活用しても1度に見られるのは1チームの様子のみ。普段のように1つの教室に全員がいることで、気配のようなものを感じて、各グループの状況を把握することはできます。しかし、普段の授業のように各グループを回ってアドバイスをすることがしにくい状況で、可能な限り学生たちの動きを見られるようにしたという狙いがあります。

もちろんSlackへの慣れ不慣れの差はあるため、時間をかけつつ、Slack自体に慣れてもらうという必要は出てきます。ただ現在の仕事、ビジネスシーンにおいてはSNSを活用しながら仕事を行うという場面が多くなってきています。その観点からもこのようなSNSを使ってコミュニケーションを行うことにも慣れて知って欲しいなと思っています。


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