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日本の宇宙スタートアップ市場が活況②

民間企業が商業空間を育てる

日本は現在約1兆円規模の宇宙産業を2030年初頭までに倍増させるという目標を掲げており、宇宙産業の成長は日本の国家的な優先事項となっています。この目標は、2008年に改定された 「宇宙基本法」 で定められました。

日本の宇宙開発は活発ですが、宇宙機器産業は欧米に後れを取っています。例えば、米国の宇宙産業については、連邦航空局 (FAA) の試算によると、2016年には約1580億ドルの規模になるとされており、日本の宇宙政策の目標として宇宙セキュリティの確保が掲げられている。防災・強靱化への貢献、新しい知識の創造、経済成長の実現、産業的・科学的・技術的に宇宙活動を強化しています。

合成開口レーダ (SAR) 地球観測 (EO) スタートアップのSynspectiveは、日本政府がどのようにして業界のイノベーションを促進してきたかを示す具体的な例です。Synspectiveは、政府の革新的研究開発推進プログラムであるImPACTから、総合科学技術・イノベーション会議を通じて生まれました。代表取締役社長の新井元行氏は、Synspectiveのペイロード技術はJAXAが保有しており、バス関連技術は東京大学が保有していると説明しています。Synspectiveは、これらの技術を実現することを使命とし、共同研究開発契約の下で提供しています。

Synspective・・・小型SAR衛星の開発・打ち上げ、衛星が取得したデータの解析、活用ソリューションの提供をしているスタートアップ。衛星からの新たな情報によるイノベーションで持続可能な未来を作ることを目指している。同社は、データに基づき着実に進歩する世界の実現に貢献すべく、天候/時間帯に依存しない広域・高頻度のデータが取得可能なSAR衛星のコンステレーションを構築し、同システムから取得したデータと多様なデータを統合し、機械学習等を活用して情報抽出することで、顧客の課題に対するソリューションを提供する。小型SAR衛星は技術的難易度が高く、またSARデータ処理も専門知識が必要になってくるが、小型衛星開発および衛星画像解析の両方に世界クラスの研究チームとデータサイエンティストを置くことで実現可能にしている。2019年6月、シリーズAラウンドで86億7000万円の資金調達を発表。累計調達額は109億円を突破している。(Startup DBより)

新井氏は、投資家と市場はSynspectiveの事業に大きな期待を寄せていると言い、「投資家や市場は、宇宙ビジネスが現実のものとなり、ビジネスになると考え始めている。」と言います。

また、民間企業との研究開発契約の締結、ISS日本実験棟の商業利用、H2-Aロケットの相乗り機会の提供、IPライセンス、試験設備、人材交流など、起業を支援しています。

「宇宙活動はますます多様化・大規模化している。宇宙探査、 SSA(宇宙状況把握)、軌道上サービスは、 JAXAと日本政府にとって最も重要で意味のある分野の一つです。日本政府は、この巨大で危険な開発に貢献するために予算と人材を増やさなければなりません。」とJAXAの小谷プロデューサーは言います。「同時に、我が国政府及びJAXAが世界の競争力とプレゼンスを考慮してタイムリーに実現していくためには、民間企業及びその能力の拡大・拡大が不可欠な役割である。」

小谷氏は、民間ベンチャーを奨励するJAXAの最も有名なプログラムの1つであるJ-SPARCのプロデューサーである。このプログラムは、2018年に開始された研究開発プログラムで、J-SPARCを通じ、JAXAと民間企業との対話を通じて、宇宙ビジネスのコンセプト、開発、実証について検討します。小谷氏によると、20以上の計画が進行中で、JAXAはこのプログラムのために200以上の企業と連絡を取ってきたという。

GITAIはそのようなスタートアップ企業の1つで、J-SPARCパートナーシップを結んでいる。2040年までに火星と月に都市を建設するために、安価で安全な労働力を提供し、宇宙で仕事をするロボットを作ることをGITAIのビジョンとしています。GITAIの創設者でCEOの中ノ瀬翔氏は、JAXAとは特に密接な関係にあると述べ、先日、JAXAとの研究契約を通じて、JAXAの模擬ISS 「きぼう」 モジュール上でロボットのデモンストレーションを行いました。

GITAI・・・宇宙飛行士の負担軽減及び、宇宙空間における作業の工期短縮と費用削減に挑戦しているロボットスタートアップ。「GITAI」というVRとロボットを用いたヒューマノイドテレプレゼンスを開発し"身体の拡張"を目指す。このプロダクトによって、人がオフィスや学校などにいなくても世界中どこからでもその場に擬似的に存在する事が出来る。テレプレゼンスの実現に取り組む企業は他に存在するものの同社はソフトウェアと通信技術に強みをもっている。データ削減技術とデータ通信技術を独自に開発することによって、汎用規格のWebRTCではロボットと映像が1秒ほど遅延するのに対して、同社の「GITAI」では遅延0.08秒を実現している。災害救助や宇宙開発といった法人向けの提供も想定しており、人形ロボットでのテレプレゼンスを目指して今後も開発していくと考えられる。2019年6月末にはリードインベスターであるSpiral Ventures Japanを含めた4社から資金調達を実施している。

中ノ瀬氏は、日本政府はスタートアップに積極的に資金を提供しているが、JAXAは米国のNASAのように新規事業の主要顧客としてアンカーテナントの概念を受け入れていないと指摘します。

「米航空宇宙局 (NASA) は米国でアンカーテナントの概念に基づいて宇宙関連のスタートアップを戦略的に育成しているが、JAXAにはそのような概念は存在せず、多くの日本の宇宙関連スタートアップは売上を伸ばそうと奮闘しているか、あるいは全く売上を伸ばそうとしていない。」と中ノ瀬氏は言います。「その結果、多くの日本の宇宙スタートアップは収益がほとんどなく、運営資金をVCとCVCからの資金のみに依存している。」

【原文へ】" Japan's Space Startup Market Blooms "

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