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見えないものを見る世界への誘い

本というのは、自分の深い部分を晒すメディアだと思う。

だから、逆に本を出版することは思いもしなかった人と深く繋がることができる、というのは本を出版する醍醐味だ、と常々実感する。

先週、エッセンシャルマネジメントスクールの代表の西條剛央さんを通じて、作家の田口ランディさんとちょっとした対談をする機会を頂いた。

ランディさんは、自分が何者でもなかった、モヤモヤした20代に自分を支えてくれた作家だ。

思えば、身体知というキーワードとの出会いのきっかけとなったのは「からのひみつ」というランディさんと整体師の寺門琢己さんとの対談本だった。身体に興味を持った僕は、その後野口整体に出会い、東洋医学的な世界に興味を持つようになる入り口を作ってくれた。

また、ランディさんのエッセイは、だいたい都会砂漠で疲れた時に定期的に訪れる山の中へのプチ逃避旅行のお供だった。当時幻冬社文庫の書棚をのぞいて新たなエッセイを見つけるのはちょっとした楽しみだった。

20代後半に、色々キャリアの放浪した末に、もう一度社会人生活をゼロから始める決意をした頃に、最後に行った屋久島も「ひかりのあめふるしま屋久島」のエッセイの影響は大きかった。当時、一度キャリアの道から降りた自分にとってキャリアの新幹線を突っ走る周りの人を見るのが辛くて孤独を感じていた自分にとって、屋久島のゲストハウスで出会った何かしら「自分探し」をしていた同世代の存在に勇気をもらった。

思えば、ランディさんの著作との出会いは、「目に見えないもの」の存在や楽しさを気づかせてくれた存在だったのだと思う。もちろん小説も好きだったけど、それ以上にエッセイが好きだったのは、そんな自分が興味がある世界をすでに生きている人だったからなのだろう。

そして10年余りがたち、「目に見えないものをカタチにする」というテーマの本を通じて、ランディさんと繋がることができた。昔から独学で研究していた心理学の世界はかなり深い部分で共通点があり、改めて自分の興味の根っこを感じることが出来た。

思えば、20代は、多くの音楽、文章、そして人に支えられて過ごしていた。当時のブログで、「いつか絶対に返すことができる」というような趣旨のことを書いていたけれど、ようやく自分自身らしい形で、そろそろ返し始めることができる時期になっているかもしれないなと思った。

このご縁を頂いたのは、そもそも京都造形芸術大学での場を作ってくれた本間先生、そして、エッセンシャルマネジメントスクールの西條さんのお力添えがあってのことだ。本当にありがとうございます。

この対談の様子は、そのうち某メディアで一部出せると思いますので、お楽しみに。


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