ウマ娘の海外掲示板で分かった、ローカライズの難しさ
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ウマ娘の海外掲示板で分かった、ローカライズの難しさ

ウマ娘の海外掲示板で「育成を繰り返した。で、次はどうするの」みたいな投稿があった。俺は思った。ウマ娘って、ローカライズがめちゃくちゃ難しいだろうな。

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Redditの 「r/umamusume (ウマ娘板)」 をご存知だろうか。

英語圏ユーザーが主体なので、まだまだ小さいコミュニティだ。しかし、
ゲームが配信されると「翻訳まだ?」みたいな投稿が急増した。

そういった投稿を眺めていたら、「ウマ娘の非公式英語化パッチ」なんてものを作っている人もいた。

どうやら、ボタン類を翻訳するものらしい。たしかにUIの翻訳は、逐語訳でもなんとかなるし、有志で何とかなるのだろう。しかし、それだけで英語圏に進出はできない。

もちろんこのパッチは非公式なので、実際のローカライズでは使われない。実際はUIどころか、現地の文化も考慮して、ゲームのあらゆる要素を包括的に翻訳する必要がある。

さて、ウマ娘はさらっと翻訳できるようなタイトルだろうか?

全然そうは思えない。

ウマ娘のローカライズが難しい理由

アニメは既に翻訳されているので、今は考えない。ここでは、ウマ娘のスマホゲームがローカライズしづらいと思う理由を挙げていく。

理由1. 学園もの

「日本人のほとんどは、学校という共通の体験をしているから、学校が舞台なら共感されるストーリーを作りやすい。だから、いまだに学園もののドラマが作られる。」

そんな話をヤフーニュースかなんかで読んだ。

ウマ娘も学園ものである。欧米の人に「青春観」を伝えるには、日本人なら説明不要な要素を、翻訳で補わなければならない。

といっても、海外で人気の高い学園ものだってたくさんある。学園ものが無理なら、日本のアニメは全然輸出できない。したがって、これがそこまで大きな障壁にはならないと思う。

理由2. 史実

ウマ娘に関しては、ゲーム以前に歴史そのものの翻訳が必要だろう。ウマ娘の根幹にある史実を、その感動を伝えずして、何がウマ娘を、ウマ娘たらしめるだろうか。

…とは言ったものの、俺も実は詳しくない。知らなくても十分楽しめるから、今こうしてウマ娘について長々と語っているのである。

そもそも、「競馬知ってる人をターゲットにした」ゲームではない。史実が伝えられないことはそこまで悲観しなくていいと思う。

ちなみに、「外国人が日本の競馬を知ってるわけない」と思っていたが、Redditにはめちゃくちゃ詳しい人がいて驚いた。

なんか晒してるみたいだが、この人は本当に凄い。ウマ娘のアニメ放送中、毎週欠かさず板に降臨して、史実の解説をしている。

理由3. キャラクターの関係性が前提の会話要素

ウマ娘の会話を俺たちが楽しめるのは、ウマ娘のウマ娘によるウマ娘のための会話だからである。理由になってない。

とにかく、彼女たちはウマ娘だからできる会話をしているのだ。

ダイアログの内容はキャラクターと深く結びついているし、時には他のウマ娘に言及する時だってある。キャラの振る舞いや性格、関係性が会話の前提となっているのだ。

翻訳箇所を分担してローカライズするなら、綿密なコミュニケーションが必要だろう。ちぐはぐになってはキャラの魅力が伝わらない。そもそも語尾とかどうするんだ。。。?

ゲームのシナリオライターさん、それを翻訳している方々、本当にすごい。今考えれば、いろんなゲームで当たり前に「キャラの翻訳」がされているわけである。すごい。

理由4. ファンタジーではないが故の現実要素

ウマ娘のシナリオはオマージュ・パロディ・もじりのオンパレードである。中世ファンタジー世界ではないので、いくらでも現実のネタを突っ込めるのだ。

これを翻訳するとなると、面白さは半減するだろう。上手いこと翻訳できたとしても、100%ユーモアを保持することはできない。

しかし、希望はある。

例えば、海外の「アニメ評価ランキング」では「銀魂」の評価が非常に高い。うまい翻訳のおかげでちゃんと伝わっているのだ。

もしうまく翻訳できなかった場合、シンボリルドルフ会長が心配だ。ダジャレを奪ったらもはや会長ではない!

理由5. ウマ娘そのもののゲームシステム

「育成を繰り返した。次は何をするの?」という投稿。彼自身は、普通に育成を楽しんでいたらしい。しかし、どうやってゲーム全体の進捗を進めるのか分からなくなったそうだ。

「PvPをしたり、トロコンをすればいいよ」という返信が付いていた。海外のプレイヤーだって楽しみ方を知っている。が、全ての楽しみ方が伝わってはいないのかもしれない。

例えば、レースの勝ち負けは気にしないが、俺はこのウマ娘の笑顔が見れたら満足だみたいな。「推し」のためにゲームを起動することは、我々にとっては当たり前だが、その文化すら輸出する必要があるかもしれない。

海外オタクの「表面的な」キャラクター愛

残念ながら、「推し」文化が十分な伝わっているようには思えない。海外の「好きなキャラランキング」的なものを見れば分かるが、表面的なキャラクター愛で終始している人が多いように思う。

これは「TierMaker」というサイトで作成された「ティア(=格付け)ランキング」の画像である。

日本では炎上の原因になりかねないような画像だが、海外の掲示板にはこのようなランキングが氾濫している。

つまり、キャラクターから作品の世界観と文脈を分離し、「見た目」「強さ」みたいなパラメータで比較することが許容されているのである。

こういった幼稚な比較は、世界観と文脈を完全に翻訳できないから発生している、とも考えられる。

ただ翻訳しただけで輸出できるか

「ローカライズ」まで到達せず、ただ「翻訳」しただけのウマ娘を輸出しても

-  またガチャかよ
- ケモノ系のキャラがめっちゃいる!
- なんか尻尾付きの美少女が走ってる lol

みたいな扱いをされかねない。

ウマ娘が他の”ガチャゲーム”と差別化を図るには、キャラクターの中身を伝え、本当に「推し」てもらうことが必要不可欠だと思う。

おわりに

もし英語版が出たならば、それはあの膨大なシナリオ、会話を翻訳できたと言うことである。ボリュームを考えればかなり大掛かりな作業になると思われる。

そういえばFGOにも英語版があった。どのくらい翻訳できているのだろうか。今日から少し海外のソシャゲ翻訳情勢もチェックしてみることにしよう。

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