🍊③ ライブ・ルーピングの手順 ▶︎ 1010music nanobox tangerine　通称みかん

1010music(テンテンミュージック)の小型ストリーミング・サンプラーtangerine(タンジェリン)の機能のひとつ

ライブルーピングの手順

をシェアします。

(マニュアルにはその項目に特化した説明がなかったため、試行錯誤の末にようやく攻略できました)

tangerineはファームウェアを1.2.0にアップデートして行いました。(この記事の内容と直接関係はないです)

ちなみにマルチサンプリングの手順については下記記事

【 ライブルーピングについて 】

演奏を重ねながら素材をループして曲を構築していくいわゆる「ルーパー」の機能です。tangerineでは

最大８トラックを重ねることができます。

録音後、トラック個別に

ディレイ、リバーブをセンドでかけたり、
音量、パン、フィルター、ピッチ、LFOなどの調整が可能

です。

デメリットはトラックをパラで出力できないこと、メインアウトとは別にクリック音を出力できないことなどがあります。

ライブで使う際にクリック音がネックになりますが、model:cyclesとMIDI同期することで解決する方法があります。(これについては別記事で書く予定です)

それでは以下に手順を書きます。

【 ライブルーピングの手順 】

ライブルーピング用のプリセットを新規作成します。(＊必ず新規作成する必要はないですが、分かりやすく解説するためです)

tangerineの入力端子に機材を接続します。上記ホーム画面で任意のパッドを選択。

録音の設定：

・Rec Input
　→　Resam以外、L+Rなどに設定(＊Resamはメイン出力をリサンプリングする用)
・Gain
　→　入力レベル。必要に応じて調整
・Length
　→　サンプリングするループの長さ。custom以外に設定。(例:4 barsだと4小節)
＊この記事では４barsに設定して解説します
＊customに設定するとライブループ不可

・Rec To Play
　→　必ずON (録音終了後に即再生するため)

・Rec Quant
　→　どのタイミングで録音を開始するか　例：1barの場合、小節の頭が来ていないタイミングで録音を開始しても録音待機状態になり、小節の頭が来たタイミングで自動で録音開始となる（録音後の設定でQuant Sizeと等しくなります。公式マニュアルP.82参照 ）
＊この記事では１barに設定して解説します

・Rec Thresh
　→　必ずOff（ONだとライブループ不可）

楽器を演奏してtangerineに信号が入力されていることを確認。

上記ホーム画面に戻り、最上段右端(上記画像では1:1)の小節数表示をタップ

テンポやクリックの設定：

・BPM
　→　曲のテンポを設定。
・SWING
　→　必要なら設定。デフォルトでもOK
・METLV
　→　クリックの音量を設定
・REC
　→　無視
・METRO
　→　タップするとクリック音が鳴ります。
・STOP
　→　無視
・TAP
　→　無視
・PLAY
　→　タップするとクリックが鳴り始めます。

録音開始：

下記画面に戻り、演奏を開始する１小節前の頭のクリック音が鳴った後に、下記画面最下段のRecordをタップ

下記画面の録音待機状態になり

演奏を開始する小節の頭が来た瞬間に演奏を開始。自動で録音が開始されますので４小節演奏します。

上記は録音中の画面

４小節の演奏が終わると同時に録音も自動で終了し、波形表示の画面に遷移します。

ホームボタンを押下して、ホーム画面に戻ります。下記画面ではパッド１に演奏が録音されループしています。

録音後の設定：

録音されたパッドが選択(アクティブ)されたまま、tangerine本体の▶︎ボタンを押下

上記画面のPosをタップしPositionのモードを表示します。
(公式マニュアルP.82 Position Parameters in Slicer Mode)

・Loop Mode
　→　ON（デフォルトでONになっているのでそのまま。OFFにするとループしません）

・Beat Count
　→　デフォルトのままでOK。値を変更すると一時的に同期がずれます。
（補足：録音した演奏のビート情報を現在のBPMに同期させるための設定。Auto に設定すると、tangerine はビートカウントを自動的に検出）

・Quant Size　（録音の設定のRec Quantの設定値が反映）
　→　ここで設定したタイミングで録音した素材が再生されます。例えば１barの場合、　パッドを押したタイミングが小節の途中だと、次の小節の頭から再生されます。

1/16の場合、再生開始を16分音符のタイミングでジャストで再生しないとずれます。けれどSyncで設定したタイミングで補正がかかりその後タイミングは修正されます。(パッドをミュートして再度ONにするときに関係のあるパラメータというイメージ)

・Sync
　→　ここで設定した値（タイミング）で同期を自動で再調整。例えば１barだと１小節ずつ再調整。筆者はここを１barに設定しています。理由は録音直後の初期値(1/16)のままだと、音にSlicerがかかったような不自然な感じになるからです。

別の録音を重ねる：

最初に行った録音の手順で違うパッドに別の演奏を録音します。

下記は別の演奏を録音した後の画面です。

録音後はまた同じように下記画像のPositionのモードを表示してSyncの項目を１barなどに変更します。以上の手順を繰り返すことで最大８つまで演奏を重ねていくことができます。

録音後は、上記ホーム画面で鳴っているパッドを押下するとミュートできたり、Mixer画面で音量やパンの調節、他にはリバーブ、ディレイのセンド量、ピッチ、フィルター、ADSRなども調整可能です。

ループを一括して停止したいときは、メトロノームの画面でSTOPをタップすると全ループをいっせいに停止できます。

録音素材の削除：

録音したループ素材を削除するには、削除したい素材が録音されているパッドが選択された状態で、下記ホーム画面の最上段左の３本線をタップ

下記画面に遷移するので最下段のClearをタップすると削除できます。

削除してもパッドへの録音素材の割り当てがなくなるだけですので、録音されたWAVファイルはバッファに残っています。

使用されていない
録音素材のWAVファイルを
一括で削除したい場合：

下記ホーム画面の最上段のプリセット名をタップ。(下記画像だとLive loopをタップ)

下記画面に遷移するので最下段のFileをタップ

下記画面に遷移するので中段右のCleanをタップ

下記の確認メッセージが出るのでOKをタップするとバッファにある使用されていない録音素材のWAVファイルを一括して削除できます。

以上、ライブルーピングの手順でした。

細かな設定はあるものの基本的には上記の手順で実現できます。

ただし、ライブではメイン出力からクリック音を鳴らしたくないので、少し工夫が必要です。

解決策として、
例えばmodel:cyclesと
MIDI同期する方法

があります。

つまり

tangerineのクリックは使用せず、
model:cyclesに打ち込んだ
シーケンスをクリック代わりにする方法

です。

▼上記についての記事を書きました

お読みいただきまして、ありがとうございました。