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氷室冴子青春文学賞大賞作品の感想

 第四回氷室冴子青春文学賞大賞受賞作品、平戸萌さんの『私が鳥のときは』を拝見したら素晴らしかったので、ぜひシェアしたくなりました。(なぜかnote内のエブリスタの公式ページのリンクが貼れなかったため、以下より飛んでいただけたら幸いです)

 月並みな表現ですが、心を打たれました。テーマが目を引くのは元より、筆力が圧巻。とても読みやすく洗練された文章には、テーマの重さを救うユーモアと、キャラクターへの思慮深くやさしい視線が滲み出ているようでした。こういった重いテーマを扱うと、往々にして全体のトーンがヒステリックになったり、感情過多で押し付けがましくなりそうなものだけど、体温が感じ取れるような描写にもかかわらずとても抑制が効いている。下品にならずに人間というものを深く、鋭く描写している。見習いたいです。
 最後もっと余韻が欲しいな…!と欲張りなことを思ったのは短編の賞であるからで、6万字でこの内容の濃さは脅威的です。クライマックスは魂を持っていかれました(心で号泣)。泣け!というような作品ではありません念の為。極めて念入りにエピソードが構成されており、その流れがとても自然で、まんまと物語に飲み込まれます。それがとても心地が良い。心を揺さぶられずにはいられない物語でした。
 いやーすごいなぁ、物語の力っていいな、私もいい作品を書こう、と思いました。ぜひご一読いただきたいです。  

 第五回の募集も始まっているようです。青春という言葉がついていますが、かなり幅広いジャンルを受け付けているようなので、関心のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。
(ちなみに、私のライター仲間さんの渡瀬水葉さんは、第三回の最終候補作なんですよ〜と自慢してみる)
 それでは、今週もあと半分ですね。皆様体に気をつけつつ行きましょう…

 


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