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不確実性とキャリア形成、そこから考える副業とスタートアップ転職の話

こんにちは、キャディ株式会社でプロダクトマネージャーをしている笹口です。愛する妻と娘に支えられながら、製造業の受発注プラットフォーム実現を目指して日々を燃やしながら生きています。

私は現職でかれこれ4社目、社会人歴は12年目になりました。平々凡々とした人材である私ですが、これまでの転職や異動はどれも素晴らしい出会いに恵まれたと自負しています。

先日、前職であるヤフーが発表した「副業戦略人材」100人募集を受けて、新卒での就職からこれまでの転職の過程で考えてきたことが色々と頭に飛来してきたので、まとめてみようと筆をとった次第です。

VUCAの時代と言われて久しい昨今

現代はVUCA(ブーカ)の時代と言われるようになって随分経ちました。

VUCAとは、Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)の頭文字をつなぎ合わせた造語。 これら四つの要因により、現在社会の状況が予測できない状況に直面しているという時代認識のこと

そこにさらに追い打ちをかけるようなCOVID-19の流行など、時代はより混迷を極めているようにみえます。このような状況下では、自分という”駒”を盤上のどこに進めるべきか、はたまたしばらく静観すべきか、悩みなく決められる人はそう多くはないと思います。

寄らば大樹の陰、に差す影

1997年の山一證券の破綻を皮切りに、日本では大企業といわれる会社の倒産は決して珍しいことではなくなりました。「大企業に入社したら人生勝ち組」という価値観は、現代では必ずしも絶対のものではなくなってきています。(とはいえ、依然大企業の方が強く安定しているという構造が根底から変わったとは少しも思っていませんし、過度に大企業を貶める論調に対しては私は否定的です。いいですよね大企業)

製造業においても”系列”と呼ばれる強固なクラスターの瓦解が進み、大手に依存していた多くの中小製造業が苦しんできました。

この間、町工場はある部品を淡々と作り続けるモデルから、その加工に必要だった要素技術を研ぎ澄ませる方向へと変化していき、より幅広く顧客・産業と付き合っていくことを志向していきます。

「若者はなぜ3年で辞めるのか?~年功序列が奪う日本の未来~」

私が就職活動をしていたのが2007~8年頃。当時、2006年に発刊された城繁之さんのこちらの書籍を読んで、それまで当たり前のように大企業への就職しか考えていなかった私の視野が少し広がったことを覚えています。

本著では、日本の年功序列制度が早晩限界を迎えること、そして日本は構造的に若者が割と食う構造になっていることなどが語られており、当時の私は未熟ながらに、いわゆる大企業に長年勤めるというモデルだけが正解ではなくなってきているのだと知りました。

この学びが全てだったわけではありませんが、当時特にやりたいこともなかった自分にとって、「新卒で入る会社が全てでなくていいんだ」という話はより柔軟な選択を可能にしてくれ、ド文系にもかかわらず「これからはITが盛り上がりそう」という直感ベースでソフトウェアエンジニアを志すという選択を後押ししてくれたことは間違いありません。今でもこの選択をして本当によかったと思っています。

我々はキャリアをどう考えるべきなのか?

さて、自身のキャリアに悩む理由は色々あれど、そうなったときに取れる選択肢はそう多くはありません。それは、今の会社に残るか、転職するかです。

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キャリアに悩む理由、タイミングは本当にたくさんあると思います。成長鈍化だったり、家庭環境の変化だったり、収入への不満だったり、同年代とのライバル心だったり…

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そんな中で、転職だけが選択肢では決してありません。今の会社に残るというのも立派な選択肢です。ただ、その時に現状維持が正解ではないケースも多くあり、まずはばくっと上記の「リスク」「自己実現」「収入」という3軸のバランスで考えていくといいと思います。

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その場合の選択肢は大きく3つあるかと思います。マネジメントをやるか、やれることの幅を広げるか、より深めるか、という観点です。

会社を変えなくても、居場所を変えることで自分にとってよい経験が積める可能性は大いにあるので、社内に広く人脈をつくり、色々な選択肢を検討することは非常に意義あることだと思います。是非、相談できる人を増やしましょう。

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続いて、転職という選択肢です。昨今では特別珍しい選択でもなくなってきており、社内に魅力的な選択肢がない場合には、転職も視野に入ってくるかと思います。

転職を考える際には、まずは「業種」×「職種」で考えるのが整理しやすくおすすめです。同業種同職種での転職は専門性を深めやすく、給料もポジションも上げやすい選択肢。どちらかを「異」に変えてのピボットは、給料やポジションは望めないケースが多いですが、自分の軸を残しつつキャリアの幅を広げられるので、個人的には若いうちはピボットでの転職をおすすめしています。(ちなみに異業種×異職種での転職はリスクが高すぎるのと、内定を取ること自体難しいので選択肢に入れていません)

そしてもう一つ大事な軸として「規模」があります。大企業からスタートアップ、中小から大企業、といった分類です。ここは深くは掘りませんが、この違いが最も影響を与える変数は「裁量」と「リスク」です。大企業よりスタートアップなど組織が小さい方が、事業上のリスクは当然高い一方で、一人ひとりの裁量が大きくなりやすい、という点が特徴だと思います。

新しい選択肢として”副業”が市民権を得てきている

さて、冒頭のヤフーの取り組みに話を戻します。

ここ数年、社員に副業を許可する会社が増えてきています。副業のポイントはなんといってもリスクが低い点にあります。現職を続けながら副収入を得ることができ、自身の専門性も高めていくことが可能な副業を選ぶ人口は確実に増えてきており、会社側にとっても、この副業を活用することが新しい選択肢として生まれています。この点で、ヤフーの取り組みは面白いと思います。

ヤフーにはないナレッジ×インターネットという立てつけにすることで門戸を広げ、安宅さん・小澤さんという2大スターとの協業で魅力度を高めています。ヤフーの狙いはここから優秀な人材を採用することでは、という話も目にしますが、確かによほどマッチングした人材であればそういうケースも起き得るとは思いますが、メインの狙いは対象者のノウハウを安価に手に入れることにあると思っています。ヤフーにとっては、200名×5万円=1,000万円という金額(5万円を超えるケースもあるようですが)で、優秀な人材のノウハウを採用というリスクを負わずに手に入れられるかもしれない、そのためのトライであると私は受け止めています。

そのスキル、資産価値ありますか?

副業は、良くも悪くも「今あるスキルを切り売りする」という形になりがちです。ヤフーの取り組みのように、副業は時間と求められる成果、報酬が明確に決まっていることが多く、そこには「勉強します!」という熱意や姿勢は受け入れられません。

言い換えると、副業はスキル・ナレッジの資産化を促します

元々専門性といわれるものの中には資産価値の大小あったと思いますが、副業の解禁によって明確に値段がつくことに、よりその差が顕著に出てくることになります。

この時代、リスクを恐れるなというのは無理な相談で、どうしても優秀で行動力のある人材ほど、資産価値の高いノウハウ・スキルを得られる方にインセンティブが傾きます。これはマネジメントにとっては頭の痛い問題で、資産価値の高い仕事をアサインできなければ、愛想を尽かして辞められてしまうかもしれませんし、逆に資産価値の高いスキルを身に着けたらより高い給料で転職してしまうかもしれません。

この状況は、冒頭に書いた系列崩壊と町工場の変化の話とよく似ています。不確実性が高まった時代への防衛策として、個の力をつけ、どこか一つの組織に依存しない生き方が選ばれるのは、いたって自然なことだと思います。

ゆえに、この流れに抗うことは難しく、人材流出を防ぐために副業解禁の流れは今後も進んでいくはずです。

スタートアップという生き方

ここまでの流れを踏まえて、改めてスタートアップで働くということはどういうことなのかを考えてみたいと思います。

私は何度もいうように凡人ですし、ストレングスファインダーで「慎重さ」が1位にくるほどのビビりなので、基本的にリスクは取りたくない人です。家族もいますし。

しかし、スタートアップで働く上でリスクを取らないのは不可能です。「スタートアップとは落下しながら飛行機を組み立てる作業」という例えがよく使われますが、実際それに近い感覚はあります。

とはいえ、この世にリスクのない会社・仕事はないというのもまた事実で、であれば逆に意図して向き合うリスクの方が、外部要因によって強制的に振りかかるリスクよりも御しやすい、と個人的には考えています。

加えて、もし仮に自分が失敗するようなことがあったとしても、「ある事業を成功させるためにめちゃくちゃ頑張ったけど力及ばずだった」という人には、次の機会が与えられるという根拠の弱い自信があります。自らリスクを取ってトライを繰り返すことは、ある意味で最大のリスクヘッジでもあるという仮説を持っており、今自らの人生をもってこれを検証している最中です。

さらにいうと、キャディへの転職は私にとって”過去最高に安定感のあるピボット”です。

なぜなら、業種=製造業、職種=プロダクトマネージャーとも経験があり、未経験なのは規模=スタートアップという要素だけだからです。

これまでの私のピボットは、ミスミのときはITという軸のみ一致しており、事業会社という環境も初めてなら、情シスも事業開発も未経験での挑戦でした。またヤフーのときは広告もプロダクトマネージャーも初めてという状態だったので、今回の転職が一番不確実性が低いのです。(だからといって楽とは言っていない

最後に

キャディに入ってどうですか?とよく聞かれるのですが、

とにかく楽しい。無我夢中になれる。どんどん勉強したくなるし、アウトプットしたくなるし、新しい人と会って話がしたくなる。

という感じで楽しく日々を過ごしています。将来自分にどんな力がつくかとか、次にどんなキャリアが考えられるのかといったことは正直ほぼ考えていないのですが、今はとにかく事業成長に没頭しています。たぶん、この方向で間違ってないという確信めいたものを感じつつ。

ということで最後にお約束のやつですが、もしこのnoteを読んで共感頂いたり、チャレンジしたい気持ちがふつふつと湧いてきたりしている方がいらっしゃったら、鉄は熱いうちに打つべきですので、気軽にご連絡ください(twitterのDMなどでどうぞ)

業界、スタートアップ、職種。どれか一つでも軸が同じであれば、キャディで働くことの不確実性はぐっと下がりますし、活躍できる可能性も高まると思います。

ありがとうございました。

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