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shino
2018年6月6日 22:09
そろそろかな、と思ったときにはもう遅かった。筋肉がなくなって弛んだ太ももの間の暗い部分を見つめながら大きく息を吐いて、それと同じ量の息を吸った。こびりつくようなラベンダーの臭気が酷く神経に障る。おっと。イライラしちゃ駄目よ、智恵里。真横に取りつけられている鏡へ向かって普段通りの笑みを作ってみせる。口角に厚化粧でも誤魔化しきれない小皺が浮かんだ。無表情に戻っていく自分と目を合わせたまま、股に突っ込ん
2018年3月8日 22:09
「え、困るよおれ、そんなの無理だよ」 ……は? 何もなかったかのように大ぶりの鴨肉を頬張る彼を思わず凝視した。やっぱりここのローストは上手いなあ、お前も冷めないうちに早く食えよと呑気に薦めてくる。口の端にソースが付いているのを見ると、なんだか虚しくなった。「だってさ、子供ってめちゃくちゃ金かかるじゃん?」 渡してやったナプキンで口元を拭いながら当たり前のことを説いてくる。「……