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宇宙のエキスパート集団:クリシュナ一家の謎解き

第一巻第五話 ヴィヤーサと神仙ナーラダの会話(前)

スータウグラシュラバスはナーラダとヴィヤーサの会話を語り出した。
天界の聖仙ナーラダはヴィーナー(弦楽器)を手に、悲しむヴィヤーサの傍らに座って微笑みながら話しかけた。「ヴィヤーサよ、あなたはマハーバーラタを書き、神理を追求しブラフマンを悟った。それにもかかわらず、まだ人生の目的を見いだせていないようですね。」
ヴィヤーサは答えた。「私の魂はまだ満たされていません。ブラフマー神の息子であるあなたにその理由を尋ねたいのです。私は宇宙の創造主とブラフマンを悟りましたが、何が欠けているのか教えてください。」

神仙ナーラダは答えた。「あなたは人間の義務(ダルマ)や生きる目的を示しましたが、バガヴァーン・ヴァースデーヴァ(全ての存在に宿る至高の存在,クリシュナ)の栄光を完全に表していません。
主への信仰がなければ悟りの智慧であっても魂は浄化せず、神に捧げる行為でなくては意味がありません。主の想像を超えた偉業を知らない者は、多様な名称と形態の罠に落ち、欲望に翻弄され、全ての場所に多様性を見て、どこにも安らぎを見出せないでしょう。宗教の名の下に恐ろしい行為(聖典にのっとった表面的な宗教解釈)を促したのはあなたの過ちであり、人々はそれを敬虔な行為だと信じています。宗教的判断力(プレーマ,神への愛)を失った人々の為に、主の偉業を語ってください。不生(肉体と異なり生まれたり死んだりすることのない永遠の存在)のあなたは、世界を幸福にする為にこの世に生まれて来ました。ですから、主の偉業を語り、その栄光を広めてください。」

「厳格な苦行、知識、祭祀、ヴェーダの詠唱、悟り、布施、これら全てはクリシュナを語るためにあると賢者たちは言います。私の前世では、ブラーフマナに仕える侍女の子として生まれ、五歳の頃に雨期に訪れたヨギー(放浪する修行僧)たちの世話を命じられました。聖者たちの教えと彼らの残飯を食べることで心が浄化され、彼らの語るクリシュナの話に深く心を惹かれました。こうして、バクティ(主への献身)が芽生え、心の中からラジャスとタマスが消えていきました。聖者たちが旅立つ際、私に智慧を授け、主ヴァースデーヴァのマーヤー(幻惑の力)を理解させてくれたのです。
行為がサンサーラ(輪廻)に繋がるとしても、それを主に捧げるなら束縛(輪廻)は消えます。智慧は、主の満足のために義務を果たすことで得られます。

ヴァースデーヴァ(クリシュナ)、プラデュムナ(クリシュナとルクミニーの息子,カーマの化身)、アニルッダ(プラデュムナの息子)、サンカルシャナ(バラララーマ)、この四人の方々の名前を唱え礼拝する者こそが、真の見識者です。私は祝福を受け、アートマンの知識と神秘の力とバクティを得ました。どうか、主の栄光を語ってください。」

※※※
お〜、ついにプラデュムナ、アニルッダ、サンカルシャナの謎が解けた!彼らがクリシュナの一族だったとはね。この家系、ただの家族じゃなくて、宇宙の維持や救済のエキスパート集団なんだね。クリシュナの兄バララーマがサンカルシャナとして「サットヴァ」原理を担い、宇宙のバランス調整係。一方、プラデュムナ(息子)はシャンバラの魔法使いに誘拐されて育てられ、「ラジャス」原理を象徴し、美と創造の天才。そしてアニルッダ(孫)は「タマス」原理を象徴し、宇宙の秩序を守る筋肉マン。今までバラバラだった点が、ようやく一本の線で繋がってきたよ。やっぱり勉強っていいね。少しは賢くなれた気がする。

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