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「頭がいい」とはどういうことか|「地頭力を鍛える」の読書メモ

こんにちは、さるこじといいます。

「頭がいい」「頭がよくなりたい」とはよく言いますが、「頭がいい」とは具体的にどのような状況なのでしょうか。

この本は、頭の良さの中でも「地頭がいい」ことが最も重要であると定義し、「地頭がいい」とはどういう状態か、どのように鍛えられるのか教えてくれる良書です。

他のビジネス書の中でもこの本の中で紹介されている考え方を応用したものがよく出てきますので、他の本の理解度を上げるうえでも読んでおいて損はない本だと思います。

「頭の良さ」には3種類ある

まずはじめに、頭の良さには3種類あると紹介しています。

①物知り=知識が豊富
②機転が利く=対人感性が高い
③地頭がいい=思考能力が高い

①の物知りが、一般的にイメージされる「頭がいい」ではないでしょうか。
もちろん知識が豊富なことは大事なのですが、インターネットの発展により情報の入手が容易になり、陳腐化するのも早くなっています。

②の機転が利くは、場の空気が読めるなど、ある意味ではロジカルに説明できない「対人」能力です。
MCの上手な方など、コミュニケーション能力が高い状態です。

③の地頭がいいが本書の一番のテーマで、考える力が高い状態をいいます。
数学者や棋士などが「地頭がいい」人が多い典型的な例です。
地頭をさらに具体的に表すと下記の図になります。

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この本では特に
・仮説思考力
・フレームワーク思考力
・抽象化思考力

について説明しています。

フェルミ推定と地頭力

「NYにピアノの調律師は何人いる?」「日本の電柱の本数は?」など、Googleの面接でも問われたことで話題になったフェルミ推定ですが、答えを出すまでには上記の「地頭力」3つがすべて求められることから考える力を試すのに有用です。

フェルミ推定を解く一般的なプロセスとして、
①アプローチ設定→どのように解いていくかを決める
②モデル分解→数値の推測が可能な要素になるまで因数分解する
③計算実行→実際に計算してみる
という3ステップがあります。

どのように地頭力が関連するのか、
「日本の電柱の本数は?」で考えてみると

①アプローチ設定
単位面積当たりの本数がわかれば計算できるのでは、と仮説を立てる。さらに、市街地と郊外では本数も異なるだろうと仮定する。=仮説思考
②モデル分解
実際にどの数値が計算に必要か考える。=フレームワーク思考

【日本の電柱の数】
=【市街地の電柱の本数】+【郊外の電柱の本数】
=【市街地の面積】×【市街地の単位面積当たりの電柱の本数】+【郊外の面積】×【郊外の単位面積当たりの電柱の本数】

各数値を推測してみる。=抽象化思考
例えば市街地と郊外の面積を3:7と仮定し、日本全体の面積から各面積を計算する。さらに、市街地と郊外それぞれ1㎢の中に何本電柱があるかイメージする。
さらに日本の面積を知らない場合には、例えば日本を長方形に単純化し計算してみる。
③計算実行
実際に数値を当てはめ計算してみる。

という流れになります。

フェルミ推定で答えを出すには、知らないことにも仮定を置き概算でも計算していくということが求められます。
情報が溢れている現代では、「ファクトが足りないと答えられない」という思考の方も多いですが、情報が少ない中でもそれなりに近しい答えを出していく、という姿勢が思考力を鍛えるには必要になってきます。

地頭力の要素①「仮説思考力」

仮説思考力とは、
①いまある情報だけで最も可能性の高い結論(仮説)を想定し、
②常にそれを最終目的地として強く意識して、
③情報の精度を上げながら検証を繰り返して仮説を修正しつつ最終結論に至る
思考パターンのことで、一言でいうと「最終目的地から遡って考える」ことです。

不確実性の高く変化の早い現代では、今ある情報から素早く「もっともらしい」答えを出すことが求められます。
最初から正解を出そうとするのではなく、仮にその答えが間違っていたとしても修正を加えながら前に進んでいくために、この仮説思考が必要になってきます。

地頭力の要素②「フレームワーク思考力」

フレームワーク思考とは
①全体を俯瞰し、
②とらえた全体を適切に分解していく
思考パターンです。

仮説思考で考えた「最終目的地」にたどり着くには何が必要か、要素を切り分けながら考えるのがフレームワーク思考です。

よく似たもので「フレームワーク」がありますが、フレームワークはフレームワーク思考を簡便に行うためのツールであり、必ずしも使う必要はありません。
ただやってみるとわかるのですが、要素への切り分けというのは予想以上に難しく、先人達が残してくれたフレームワークを知っていて損はありません。

フレームワークの切り口として典型的なものが以下の図になります。


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地頭力の要素③「抽象化思考力」

抽象化思考とは、
①対象の最大の特徴を抽出して「単純化」「モデル化」し
②抽象レベルで一般解を導き出して、
③それを再び具体化して個別解を導く
という思考パターンです。
これを図で表すと以下のようになります。

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単純化することで、色々な「解法」が使えるようになります。
例えば先の電柱の計算で言えば、日本の形を長方形に「単純化」することで長方形の面積の計算という法則が使えるようになるわけです。


地頭力を鍛えて「バーサタイリスト」になろう!!

筆者は

機転が利く=対人感性が高い

地頭がいい=思考能力が高い

人は「バーサタイリスト=何でも屋」になり、今後の世界では重宝されるようになるだろうと述べています。

筆者の別の著書で「具体と抽象」という本があるのですが、実は地頭力として紹介されている3つの資質はすべてこの「具体と抽象」を行き来する考え方であると私は思っています。

「具体と抽象」についてはこちらの記事で少し触れています。

より、この本の内容を理解するには

もおすすめです。

地頭力を鍛えて、市場価値の高い「バーサタイリスト」を目指しましょう!!

では。


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