国連JPOへ向けた虎の巻

こんにちは、理事の畠山です。今日はJPOについて書いて欲しいというリクエストがあったので、これについて書いていこうと思います。何かこれについて書いて欲しいというリクエストがありましたら、コメント・メール・TwitterのDMなどお寄せください。

JPOは外務省が実施して国連機関に派遣するものと、財務省の予算から世界銀行に派遣されるものの2種類がありますが、今回は取りあえず前者にフォーカスを当てますが、後者についても合格したことがあるので、リクエストがあれば記事にしようと思います。

今回の内容は、①意外と見落としがちなJPO応募資格に関する注意点、②JPO合格&その後の生き残りを見据えた必勝キャリア、③JPOの応募書類と面接について、④JPO期間中にすべきこととその後について、の4つです。

先に断わっておくと、あまり国連職員を目指すという考えはおススメしません。これは、国際公務員ブロガーの先駆者であった世界銀行の慶長さんが書かれていたことですが、国連職員になりたいというのはオリンピックに出たいというぐらいおかしな話で、オリンピック出場が競技種目を突き詰めていく中で出てくる目標であるように、国連職員というのもある特定の分野のスペシャリストとして仕事をする中で選択肢に入ってくるようなものだからです。

とは言え、既に国際教育協力を志していて、既に何らかの理由により国連職員・JPOを目指している方も少なくないと思うので、そういった方々のために筆を進めていきたいと思います。


1. 気をつけておきたい意外と見落としがちなJPO応募資格に関する注意点

JPOに応募するために、修士号と関連する職務経験二年が必要であるというのは結構有名なので、この点について見落とす人はほぼいないと思うので、大丈夫でしょう。特にこれからキャリアを築いていく若い人が注意する必要があるのは、国際機関での勤務経験についてです。

JPOは二度できないというのは至極当り前のことですが、

また,国際機関で P1 の fixed-term 契約又は同等以上の雇用形態により国際専門職員の勤務経験がある者についても,応募資格を満たしていても応募対象とはならない。

上記の点は、若い人がキャリア形成をしていくうえで頭に入れておいた方が良い点です。なぜなら、JPOを目指す上で国際機関のコンサルタントというのは有力なステップですが、その中で1年契約のポストオファーをもらえることがあるかもしれませんが、そういった機会は基本的に2年契約であるJPOの機会と天秤にかけられた方が良いからです。

私が正にこれに該当しました。私の場合、東大教育学部から神戸大学大学院国際協力研究科にストレートで進学し、修士の二年目の時に世界銀行でコンサルタントとして働き始めます。コンサルタントとして勤務しながら博士号を取得しようとしたのですが、一時帰国して実施した研究報告に対して当時の研究科長から生意気だというありがたいメールを頂き、頭に来たので半年で博士課程を退学しました。国際協力自体がめんどくさくなったので世銀も辞めようと思ったのですが、上司に引き留められて世銀に残ることになります。

世界銀行には当時Junior Professional Associate(JPA)という28歳以下限定で、2年間正規スタッフとして雇用されるものの、2年契約後2年間世界銀行で勤務できないという、今のWBG Analyst Programの基となった契約形態が存在していました。

神戸大学の博士課程を退学しましたが博士号は欲しい、でも出願の準備に時間がかかる、米国の博士課程へ行ったら2年間はコースワークで動けない、この2年契約が切れるタイミングで上司も定年退職、という当時の私にはうってつけのプログラムでした。

というわけで、退学したタイミングと世界銀行の会計年度の噛み合わせから、ほぼまるっと一年コンサルタントとして勤務したのちに、JPAとして2年間勤務しました。

ここで勘の鋭い人は、なぜPhDに行くためにJPAの契約を取ったのに、まだ博士課程の3年目なんだと思うかもしれません。ご指摘の通りで、JPAの契約中に結婚し、当時の配偶者は同じ分野の博士課程の学生で現地調査をする予定だったので、JPOでユニセフの現地事務所へ行き一緒に暮らす事にしました、何ともいい加減なキャリアなものです。ちなみにですが、JPOの途中に事務所を変えたのは離婚が原因ですし、JPO終了後にもらった契約延長のオファーも当時の彼女・今の配偶者がいる所で仏語の勉強をするために蹴ったので、終始グダグダの良い子はまねしてはいけないJPOです(注:その後、ユニセフ・マラウイ事務所に正規職員として赴任しているので、外務省が課す努力義務は満たしているはずです)。ただ、国連職員を目指したのも、幼馴染の女の子の夢を叶えたいという理由だったので、そういう意味では非常にダメな一貫性があります。

話を元に戻すと、ここで私の元々の勤務先である世界銀行の職員としての経験が、偶然にもというか実際の所どうなのか今でも確信がありませんが、外務省の規定する「国際専門職員」に該当しなかったので、JPAの契約が終わるタイミングで、JPOとしてユニセフ・ジンバブエ事務所へ行くことができました。

私の経験のように国際機関にはジュニア向けの雇用があったり、一年契約で職員として働くオファー(ユネスコのプロジェクトアポイントメントがこれに該当するはずです)があったりしますが、これらはJPOの2年間+3年目の可能性と天秤にかけてしっかりと考えた方が良さそうですし、場合によってはオファーを受けてもJPOに行くために蹴った方が良い局面もきっとあるでしょう。

※ちなみにですが、世界銀行のJPOはユニセフでのJPO終了後のどこかのタイミングで合格したので(←時期はぼかさせて頂きました)、外務省のJPOのような縛りはありません。

2A JPOに合格するために一番おススメのキャリア

JPOにも高い確率で合格しやすいし、その後の生き残りも比較的狙えるおススメのキャリアがあります。それは、

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