夏の思い出

娘が一歳半の時に、息子が産まれた。夏の暑い時期だった。

里帰り出産を決めていたので、娘を実家に連れて帰っていた。慣れない環境が影響していたのか、娘は毎朝五時頃に起床していた。今思えば、出産が近づき娘も不安定になっていたのかもしれない。お産をスムーズにするため散歩するように言われていたこともあり、早起きした日は娘を抱っこして散歩していた。

「今日も暑いね~」だいたいそんな声かけをしていたと思う。ほぼ独り言のようだったが…。

息子が産まれ、退院してしばらくは日中見てもらい仮眠する生活だった。娘が寝る前は、娘を優先し過ごしていた。

しきりに娘が聞き取れる範囲では「ちゅねー、ちゅねー」と言うようになった。何をしゃべってるかはわからなかったが、私が真似すると娘はよく笑っていた。

そして、ある時

「ママ、あちゅいねー」

はっきりわかる言葉で私に話しかけてきた。たまたま近くにいた父も、それを聞いて嬉しそうにしていた。

なかなかかまってあげられなくて申し訳ない気持ちでいたなかで、娘が私と話したくて一生懸命練習していたのかと思うと嬉しかった。

2歳になった今だいぶしゃべれるようになってきたが、まだまだ赤ちゃん言葉のような部分はたくさんある。てんとう虫を、てんとうむしむしと言ったり。

コミュニケーションをとれるようになって楽しいし、成長が嬉しいけど時にさみしく感じる。これからも、ふとあの時のことを思い出すんだろうな。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?