実母について思うこと

10歳の時、父親が再婚した。祖父母、叔父叔母の力も借りながらであったが、シングルファーザーとして娘二人を育てていくのには限界があったのだろう。

継母は父より一回りほど年下。最初は、○姉と呼んでた。そのうち、お母さんと呼ぶようになった。

実母(以下ママとします。)が私を妊娠出産したのは、25歳。その年齢の私は大学を卒業して、社会人3年目。仕事も一人でこなせるようになり、プライベートも楽しい時期だったし相手もいなかったので結婚すら考えていなかった。

ふと、もうママは私を産んでいたんだー。二人も子どもがいたんだと思うことがあった。

兄を産んだのは21歳。母子手帳を見ると、私が生まれる前に流産を経験している。

成人式を迎えた頃、二十歳ってもっと大人だと思ってたけど実際にはまだまだ子どもだな…そんなことを思ってた時期。その頃には妊娠出産を経験していたのだと思うと、すごいなと思った。

いつだったかは忘れたが継母から言われた。

「捨てられたんだ。」と。「母親だったら、自分の子どもを手放せるはず無いと。」

その言葉で傷ついたが、自分が母親になってみると同じ事を思う。幼稚園に通う前の子どもたちとずっと一緒に過ごせて嬉しい反面、時に一人になりたいと思うことは、たくさんある。 だから、ママもきっと三人の子育て大変だったよねって。でも、ずっと離れるって選択肢は私には考えられないよ。

離婚後もママとママの妹から、葉書や年賀状が届いていたが途中から届かなくなった。ママは三度目の結婚をし、名字が変わっていた。継母から連絡をとらないでと言われたからだが、言われなくても自然とそうなっていただろう。それ以来、音信不通。

結婚式を挙げることに決めた頃、継母から呼んであげたらと言われた。でも考えていなかった。連絡先わからないし、再婚後できた弟たちにどう伝えてあるかわからなかったから。一番はどんな顔して会えばいいかわからなかった、幸せなな場所ですべて水に流して…そんなことはできる気がしなかった。

子どもの頃、ママに引き取られていたらどうだったんだろうと思うことは何度かあった。今も会いたいなと思うことはある。だが今更会ってどうなんだろうか。会ってがっかりしたり、余計なことに巻き込まれるのでは。そんな気持ちがよぎってしまう。

妹も会ってないと思っていたが、一度会いに行っていたらしい。妹は継母と折り合いが悪く、高校卒業後家出し、そのまま一人暮らしを始めた。その頃純粋にママに会いたくなり行ったそうだ。援助はできないと言われたと。そんな話を聞いたから、私と妹はいなかったものとされているのだと思う。

ママはまだ生きているのかなと思う位だが、親に振り回された兄には幸せになっていて欲しいなと思う。

丈夫な身体に産んでくれたことにだけ、ママありがとう。

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