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施設長のKさんが大好きだった母

母は週に二日、認知症対応のデイサービスに通っています。

認知症と診断されて荒れていた頃の母に対し、施設の方たちがずっと優しく対応してくださり、お陰で母はどんどん落ち着いていきました。

そのデイサービスの施設長のKさんは、とても言葉の少ない人。
だからか、ケアマネは「コミュニケーションがとりにくい。」と言っていて、内部での評判はあまり良くないらしい。
私たち家族に対しても、必要以上の会話はしません。
それに、笑顔もほぼ見たことがありません。

それでも母は、このKさんのことが大好きで、送られて来る度に
「すごく良くしてもらっているから、あの人に何かお礼をしなくちゃ!」
と、毎回必ず言っていました。

言葉も笑顔も少ないKさんですが、私たち家族もとても頼りにしていて、安心して母を預けられていました。
なんでしょう・・・言葉ではなく、行動のひとつ一つから、母を敬って大切に扱ってくれているのがとてもよくわかるのです。
それはきっと、家族の見ていないところでもそうなんだろうな、と思えるほどにとても自然な対応です。

職員の中には、とても愛想がよくて明るくて、私たち家族に対してもうまく対応してくださる方がいるのですが、母はこの方から送られてくる時に心なしか緊張しているように見える日があったりします。
気のせいかもしれないので、そこはあまり考えないようにしていますが。。

そのKさんが異動されて、系列のグループホームに移ると聞いたときは、とてもショックでした。

母は、デイサービスから帰ってきた時点で行ったことを忘れるのですから、きっとKさんのことはすぐに忘れてしまうでしょう。

それでも私はKさんにどうしてもお礼が言いたくて、手紙を書きました。

Kさんの対応から「認知症になったらすべておしまい。」ではない、と学んだこと。
色々なことを乗り越えてこられたのは施設の方々のお陰だったこと。
母はどの方にも感謝の気持ちでいっぱいで、その中でもKさんへの感謝が止まらず大好きなこと・・・などなど。

そして最後の日にKさんに「またどこかでお世話になる時はお願いします。」と伝え、Kさんもひとこと「はい。」と。

今後、母の認知症が進んで家で見ることができなくなったら、グループホームへの入所も考えているのですが、その時の施設長がKさんだったらいいな・・・と願っています。

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