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アメリカで女一人、「がん」は治せるか

アメリカにやってきたのは6年前。その前は日本の大学を卒業し、新卒で入った東京の会社で4年勤めました。会社はIT関係で、大学では全く違う分野を学んでいたため、仕事でも基本的なことを知らなくて苦労することも多かった。でも仕事はとても楽しかった。じゃあこれからも長く続けていくために、ここら辺でちゃんと基礎を勉強しておこうじゃないの、と思い、大学院に留学するためにアメリカへやってきました。語学面、経済面で苦労することはもちろんありましたが、一つ一つ乗り越えて、日本にいたままでは会えなかった友達ができていくと、それまですり減っていた自分に対する自信が、少しずつ自分の中で育っていき、アメリカに来て本当に良かったと思えるようになりました。

卒業後は、日本人の多く住む西海岸のとある町で仕事を見つけ、働き始めて数年が経ちます。独身で、ルームシェアをしながら一人暮らし。全てが順調、というわけではないけれど(特に恋愛とか結婚とか...)、留学のおかげで就きたい職業でご飯が食べれるようになり、それなりに充実した日々を送っています。

そこで突然下された、「乳がん」という診断。月並みですが、正直「まさか私がなるなんて、他人事だと思っていたのに」と思いました。そのときちょうど日本で有名人の女性の方が癌で亡くなられるニュースを何度も目にしていたので、「いつか検診、行かなきゃな...」と思いつつも、仕事にかまけてそれまでずるずる先延ばしにしていました。

乳がん、と診断され、私の頭の中は「え、アメリカで一人で癌って治せるの?もう潮時なのかな、日本に帰らなきゃいけないのかな」という迷いでいっぱいでした。親も私を心配して、帰国してみんなで頑張って治療しよう、と言ってくれました。
でも、がんだから、と言って、自分の夢や希望を諦めるというのは私には悔しくてできませんでした。「もう少しアメリカで頑張っていきたいなあ」と思っていた矢先の出来事だったので、今ここで日本に帰るということは、生きる意味すら取り上げられてしまうような気持ちがしました。このまま諦めてしまったら、心が先に死んでしまう。どこまでいけるかわからないけど、やれるとこまで一人で治療に立ち向かおう、と心に決め現在まで至ります。

長々と綴ってしまいましたが、このような経緯で、アメリカでがん治療を始めることにしました。アメリカで乳がん治療を受けられる日本人女性の方はたくさんいらっしゃり、ブログなど拝見してたくさんのことを勉強させていただきましたが、身近に旦那さんなどサポートしてくれる方がいらっしゃったり、私が見つけた中では40代以上の方が多かった、ということもあり、なかなか自分と同じような境遇の方は見つかりませんでした。

なので、30代前半独身で、「乳がん」と診断された日本人女性、として、アメリカで乳がん治療を受ける話を書いていこうと思います。乳がん治療を受けてみて、初めてアメリカの医療制度のことを真面目に調べました。何もかも新しく知ることばかりで不安も大きかったですが、素晴らしい医療従事者の方々に出会えて、学ぶこともたくさんあり、おもしろいと感じることも多々ありました。その学ぶ意欲みたいなところで、治療を前向きに捉えられているところもあるような気がします。
もちろん、アメリカで一人でがん治療を受けるという決断は、私のがんが幸運なことに初期であったために自分一人でマネジメント可能であったこと、また幸いにも社会人であったので会社が保険を提供してくれていたこと、など、治療可能な条件が整っていたということが自分の決断を可能にしてくれた部分は大きいかもしれません。でも、私の経験が今後、または現在乳がんと診断された方で、アメリカでがん治療を受けよう、と思ってらっしゃる方の、参考情報の一つになればとても嬉しく思います。

サポートいただけたら、がんと向き合っておられる方々の経済的な支援となる機関へ寄付させていただきます。読んでいただいてありがとうございます :)