最近の記事

晴れる日を願って

ずっと前から、共感性の高い人間が世の中で最も必要とされているのだと思っていた。でもそれはただの勘違いに過ぎなかった。 世の中は、自分の意見を貫き通すことのできる強い人間を中心にして大きな渦を形成している。自我が強いかつその自我が社会にある程度順応している人間が、まるで台風のように、共感力の高い人間を巻き込んで自分の進路を進んでいくのだ。 台風の目にいる彼らは特に悩むこともなく能天気な顔で社会を突き進んでいくが、その渦に巻き込まれる周りは、心の雲が晴れないまま彼らの後につい

    • 列島生まれ劣等育ち

      人に興味を持てないのが最近の悩みだ。 周りの人間たちの影響でかなり人生に打ちひしがれている。僕の周りには優秀な人材しかいない。自然に周りとすぐ馴染めるし、みんなと会話をして盛り上がれるし、みんなからめちゃくちゃ好かれている。自分がかなりちっぽけな存在に見えて仕方がない。 彼らのようになるために努力はしているつもりではある。自分に自信をつけるために朝起きてすぐ日光を浴びてみたり、朝散歩してみたり、筋トレ始めてみたり、 だが、そんな小手先の努力じゃ彼らのような生まれた時から持ち

      • ポテサラ

        不意に無性にポテサラが食べたくなる日がある。 親がよくポテサラを作ってくれていた。親に「何食べたい」と聞かれると答えるのは必ずと言っていいほどポテトサラダだった。 今日もふと無性にポテサラが食べたくなった。 スーパーに行ってお惣菜のポテサラ3つもカゴの中に入れて、レジを出てから家まで早歩きで帰ってきた。ドアを開けて靴を脱ぎ、おもむろに箸を取って、箸と買い物袋をもって部屋に入った。 ご飯をよそい、ポテサラを茶碗の真横において手を合わせた。齋藤飛鳥の顔くらいの量のポテサラを一

        • 磨硝子

          ここ数ヶ月、うす暗い磨硝子で囲まれた部屋の中にいるような感覚である。 何も聞こえてこないし、何も見えてこない。 ただ、ぼんやりと窓の外の動く風景を目で追っている。 不思議な程に何も感じないのである。 何も感じることもなく、淡々と寝て、起きて、YouTubeをみて、ご飯食べて、寝てを繰り返している。 何も面白みのない毎日である。 それなのに、そのはずなのに、満たされているような感情が湧いてくる。 これでいいような気がしてしまうのである。 1人でずっと一日動画を見ていても虚しいと

        晴れる日を願って

          無垢

          青信号よりも、信号の青が好きと言ったら 君は分かってくれるのだろうか

          No easy Man

          木曜日 17時。四限終わりの疲れと共にくぐるカーテンの奥には、いつも彼の姿があった。 完全にやつれた俺に対していつも雑なイジりで絡んでくる彼は、あの暗い場所をすぐに明るく照らしてくれるライトのような存在だった。 彼の印象は、何事に対しても正面から全力で取り組むことのできるハツラツとした人。 とにかくいつも元気で、ネガティブなことも一切言わない。個人的にはこの学年の中で、1番自分とかけ離れると思った人間だった。 半年くらい前に車に乗っている時に自粛期間中家で何をやっていたの

          戦う平和主義者

          いつも、背中を見ていた。 常に前線で戦い続けてる彼に対して、俺はただ背中を追うこと以外できなかった。 最初は似ていると思っていた。 いつも穏やかな雰囲気を纏っていて、俺の話をなんでも深く頷いて聞いてくれた。 あの騒がしい世界の中でも、彼は常に落ち着いて、たんたんと自分のやるべき仕事をこなす姿にはいつも尊敬していた。 彼はときどき、運転席で友達の笑い話をしてくれた。 「同じゼミのやつがさ、自己肯定感ほんと低くて、、、笑」 こんな話をしてくれることが今まで4、5回あったけど、

          戦う平和主義者

          俺と似ているあの先輩

          あの先輩は、多分俺と似ている。 自分の信念とか価値観とか他の人の意見とか見られ方とかもう考えることが嫌になって、自分が楽しめればそれでいいっていう考え方が。 あの先輩は俺と似ている。 他の人の真面目な部分とか、真剣な顔をみて、急にそこに自分の居場所を見いだせなくなって、気がついたら逃げ出してしまうところが。 あの先輩は俺と似ている。 自分の思った世界にならないことに納得できなくて、もがいて、足掻いて、がんじがらめになって動けなくなっているところが。 もしあの人に色

          俺と似ているあの先輩

          結婚の意義

          結婚のメリットとはなんなのだろうか。 好きな人と永遠の愛を誓い会える? 家族が出来て幸せな家庭が築ける? それは本当にそうなのか。めちゃくちゃ疑問である。 常々思っていることがある。 それは「人の気持ちは物凄く変わりやすい」ということだ。 物は大きければ大きいほど、なかなかに動かすことは難しい。逆に小さければ小さいほど、いとも容易く動かすことができる。 脳の中のシグナルなんて、それこそとてつもないスピードで変化し続けているのだ。 人生で好きになる人数なんて、到底

          結婚の意義

          愛と嫉妬と仏陀

          愛してるという感情は、目的の人にはなかなか伝わらない。俺は他の人よりもそこの伝え方が苦手だと感じる。先輩に対しても面白がってくれると思って言っていても、舐めているように捉えられてしまうことがよくあるし(これは今までの人生で散々いじられてきたことで俺のいじり感覚がバグってる)、他の人に対しても気を遣うことがあまり出来ない。だから、それが人にできる人をすごく羨ましく思うし、そういう人になりたいと思っている。 幸いなことに俺には友達が多くないからこそ、大事にしたいと思う友達、家族、

          愛と嫉妬と仏陀

          ひとつになれない

          人間は結局ひとつにはなれない。心が繋がっていると思っていても向こうがそうとは限らない。自分だけに向いてると思っている好意は、他人にも振りまかれた好意だ。偶然。偶然、話しかけられているだけ。偶然、その時に相手にされているだけ。そう思うともう誰とも心が通じてないような気がして、孤独になってしまったような気がして。 裏切られたわけじゃない。自分が理想を押し付けていただけ。自分の理想と違う君に勝手に幻滅しているだけだ。薄々気づいていたはずなのに、信じられなかった自分の責任だ。 ただ

          ひとつになれない

          アスパラと里芋を食わせたい女の分析(1)

          食べ物は嫌いなものの方が盛り上がる。そんな会話をしたのが6ヶ月前と考えると時が経つのがとても早いように思う。 初めて喋ったのは小針駅の1番ホーム階段下。だった気がする。 第一印象はかなりミステリアスな感じがした。よく笑ってくれるけど、その瞳の奥には人間としての奥底を見透かされているような感じがして、掴みどころのない人だなという印象だったのは覚えている。 君とたわいもない話をしている時間が好きだ。普通の人ならどうでもいいような話題でも君はいつも面白がって話を聞いてくれる。

          アスパラと里芋を食わせたい女の分析(1)

          まともじゃないのは君も一緒

          ここ数週間は、バイトに行っては寝てを繰り返す日々でバイトに行く以外に社会と関わる空間が遮断されている。つまりはバイトが僕の社会の全てになっているのである。加えて、最悪なことに僕のバイト先にはコミュ力が高い人しかいない。これは僕にとって本当に劣悪な環境である。 僕は昔から輪の中心になること、主人公のようになることが嫌いであった。別に緊張するからとか自分が調子乗ってるって思われてるんじゃないのかとかそういうんじゃない。 もしそうだというならば、僕はこの考えを物心が着いた頃から持

          まともじゃないのは君も一緒

          償い

          何年かぶりに涙が出てきた。 5連勤が終わり、今日は久しぶりの休み。 朝ご飯のことなんて考えたくもないのでコンビニに行き、サンドイッチとオールドファッションを買う。 家に帰ってきて、ご飯食べながらネトフリでも見ようかと思った矢先。 ふと、急に寂しいと感じた。心に穴がぽっかりと空いてしまっているような感じがした。 あの人と会いたい。話がしたい。そばにいて欲しい。 でも、そんなことを思う資格が僕にあるのだろうか。 自分と話したい人に、自分に興味を持ってくれた人に、家族に、友達に

          一つになれないならせめて二つだけでいよう

          結局はどこまでいっても他人である。 恋人同士だとしても結局は他人なのだ。 だから付き合えたからといって相手が自分の融通を聞いてくれるはずだ、とか私のことは全部理解してくれるはずだ、とか決してそんなことはない。どこまでも孤独はつきものである。 しかし、世界はそこまで淡白にはできていない。 全部は分かり合えなくても、そばにいてあげることはできる。話をきいて抱きしめてあげることはできる。お互いの辛さを少しだけ分かち合うことはできる。 1人での生活が相手がいてくれることによって少

          一つになれないならせめて二つだけでいよう

          笑わなくても

          最近周りがカオスである。 この人が嫌い。もう一生喋らない。鬱になった。もし振られたらみんなに迷惑だからサークルやめる。好きな人が女たらしの先輩と宅飲みしてるらしい。人生終わった。アイツが〇〇を止めないからこんなことになった。彼女と別れた。最近、元カノからLINEくる。未練しかないから復縁したい。 四方八方からこんな話が飛んでくる。 カオス。これこそカオス。その名の通りカオス。 でも、こんなカオスな現場だからこそ、話を聞きたい。全部聞いてあげたい。わかりたい。 高校とは違い、

          笑わなくても