能力の低さを知る vol.2

そして2018年4月に移り住んだフランス・パリ。頼りは10年前のアイルランドの片田舎で出会った女性のみ。あの出会った時から今も継続的にずっとパリに住み、お仕事をしてはるので、フランス行きを考えた時には相談にも乗ってもらった。そして実際パリに住み始めてからも、大変お世話になった恩人である。

そんな彼女に紹介してもらった、一人の女の子がいる。彼女は若干26歳にしてとても音楽に詳しい魅力的な子である。彼女がよく行くライブハウスや、いろんなジャンルのバンドが出演するライブハウスを教えてもらい、よく夜遊びも一緒にした。ナイトクラブに踊りに行くよりは、ライブハウスでバンドを見る方が好きである。パリはイギリスが近い事もあって、私の大好きなバンドがよくライブしに来ていた。70/80年代から活躍しているThe SPECIALSやBad Manners、The Long Tall Texansのライブにサクっと行けるのは本当に嬉しい環境だった。

話はずれてしまったが、音楽通の彼女に教えてもらって、いろんなライブハウスに出向き、どんな雰囲気なのか様子を伺う。そして、まずはとにかくパリ中のライブハウスに片っ端からメールを送りまくった。バンドのリンクを貼り付けて、この日程でパリに来るので、ライブをやらせて欲しい!とメールを送ったが、ほとんど返事は無く。返事が来たとしても「バンドは面白そうだけど、どんだけ客入りが見込めるか分からないから、今回はごめんね!」と断られ。。。メールが来なかったライブハウスには、週末の夜出向いて、直接交渉へ。だけど「僕は担当じゃないから、ブッキング担当にメールしてみてよ。」と相手にしてもらえず。そりゃそうか。

そして更に大変だったのはベルリンの場所探し。ベルリンも面白いライブハウスやバーはた〜くさんあるのだが、住んでいないと直接交渉をしに行けないないのである。メール、電話で当たってみるが、「もうその時期には予定が埋まってしまっているよ。」と。。。それもそのはず、気づけば時間だけが淡々と過ぎていき、もう7月も半ばを過ぎ、日本からバンドが来るのに2ヶ月を切っていたのである。!!

これはマジでヤバいぜ。と言う事で7月末にベルリンへ。直接交渉の他に打てる手はない。。。という事で滞在は3日間でしたが、昼も夜も脈ありそうな場所へ出向きとにかく交渉!交渉!いい手応えを感じれる場所はこれといってなく、とにかく落ち込みそうになりながらも、そんな暇は無いんやで!と自分を言い聞かせ次の場所へ。最終的にEschschloraqueというHackescher Marktの奥の方にあるバーへ行き、ヤケ酒を飲みながらバーで働いていたお姉に今の状況を話すと、「かっこいいじゃん。うちなら出来るかもよ。」なんて言ってくれて「でも色んな場所あたりまくったけど、日程的にも、知名度の無さでも無理だって断られたのよ。。。」と批判的になってる自分もいた。「じゃぁ私からもブッキング担当に言うておくから、あなたも今すぐにメールを送るのよ!さぁ、今すぐ!!で、何飲む?」と心やすいお姉(見た目は男性みたいに頼もしい短髪ベルリナー)の言葉を信じ、この最後の期待にかけたのである。

その後ベルリンからパリには帰らずに、南フランスでの仕事があったので2週間南仏へ。フランスは絶賛バカンス期間中でパリの色んな場所はお休みになっていた。バンドが来るのにもう1ヶ月しかないじゃない。汗

そしてパリに帰る1日前の事、半泣きになりながら改めてパリ中のライブハウス・バーに電話をかけてた所、一箇所だけ話を聞いてくれる人がいた。翌週に直接そのバーに行って話を詳しく聞いてくれる事になった。

11区バスティーユエリアのLe Motelというお店。小さいけれど、雰囲気のとても良いお店だ。後で知ったけれど、当時私の話を聞き、1ヶ月後にも関わらずライブをオーガナイズしてくれたバーのお兄ちゃんは、その店を2ヶ月後に辞める予定で最後のオーガナイズだったという。ご自身もバンドを組んでいる事もあって、直接オーナーに交渉してくれたみたい。

こうして、あまりにもギリギリ!なライブスケジュールはなんとか場所を押さえる事が出来、9月13日 Le Motel/Paris、9月14日 Eschloraque/Berlin そして9月15日 Loop Hole/Berlinと 結果的に3カ所でライブをする事が出来ました。

なかなか苦労しました。もし自分自身がバンドを組んでいたり、日程が変動的であったり、既に外国でライブやツアーをやった事があれば、もっと話は上手く進んだのかもしれないなと思う事が何度もありましたが、コネも無く、バンドのプロモーターでも無い自分がなんとかパリ・ベルリンツアーを無事に終えれたのは、また一つ大きな自信に繋がった気がします。この経験を活かして・・・また何かやってみたいな!と思う今日この頃。