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ひとりきりのグレーテル
ヘンゼルとグレーテルは、親に捨てられた。ただし一人づつ。森の奥に追いやられ、帰り道がわからなくなった。
グレーテルは、先にいなくなった兄を探し回った。いつか出会えると、森の中をぐるぐると歩き回った。焦燥感や、寂寥感で胸がいっぱいになるのを堪えた。きっと彼も、自分と同じ想いで、自分のことを探しているだろうと思った。雨風は、洞穴や木の根元にかがんでしのいだ。お腹が空けば、木の実や草を食べ、だんだん、
目が覚めたら別のひと
目が覚めて、私は、自分の体を走る痛みに悩まされた。
あいつの仕業だ、またか
私は、体に残る鈍痛にしばらくベッドから動けないでいた。
やるんなら、いっそ殺してくれればいいのに、中途半端なことをして
私は、目を閉じたまま、体中の痛みと戦っていたが、気を失うわけにはいかなかった。そうすれば楽になれるかもしれないが、次、いつ「私」が目を覚ますかわからない。私が気を失って、また「あいつ」の後だったら