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KEEP CHANGING TO STAY TRUE 過小評価されてる最高な邦楽アルバム10選 3/10

『#過小評価されてると思う私的に最高な邦楽アルバム10選』第三回は横浜を拠点として活動しているロックバンド、2015年7月8日にリリースされたSuchmosの1st album『THE BAY』である。収録曲は以下の通り。


1. 「YMM」
2. 「GAGA」(AI-TV(フジテレビ系列)オープニングテーマ) 
3. 「Miree」
4. 「GIRL (feat.呂布)」
5. 「Get Lady」 
6. 「Burn」 
7. 「S.G.S]」
8. 「Armstrong」(BSジャパン『メンズ温泉』オープニングテーマ[11]
9. 「Alright」 
10. 「Fallin'」 
11. 「Pacific」 
12. 「Miree BAY ver.」 

2020年今日、日本のポピュラーミュージックの方向性を決定付けたバンドはSuchmosであると考えている。突如として音楽シーンに出現した彼らは我々素人だけではなく音楽家仲間の秘めたる意識さへも覚醒させてしまったのである。著しくアダルトな音楽性は他に似た様な音色を用いたミュージュシャンがいるにもかかわらず他に類を見ないほどカリスマ性があるのだ。

彼らが作る音楽のジャンルとは一体何であろうか。アシッド・ジャズ、シティ・ポップ、ロックンロール、サイケデリック・ロール、R&B、ソウル。どれでもあるしどれでも内容に私には思える。それらのジャンルが渾然一体となって成立しているのがSuchmosである、と私は考える。

1st album『THE BAY』の発売に先駆けてまずシングル『Essence』が2015年4月8日にリリースされた。収録曲は「Miree」「Fallin'」「Life easy」「E.E.E」の4曲である。このシングルも素晴らしい。アルバムには収録されていない「Life easy」はライブのアンコールで演奏される事が多い。

さて『THE BAY』である。このアルバムの楽曲は1stであるから世間に流布しているSuchmos的イメージが濃密に詰め込まれたアルバムである。しかし1stであるのにもかかわらず完成度は著しく高い。オープニングナンバー「YMM」から3曲目の「Miree」は正にシティ・ポップ、アシッド・ジャズ的な楽曲である。4曲目の「GIRL」はファンクである。呂布との親和性が楽曲である。「Get Lady」は浜辺を散歩する様なゆったりとしたリズムである。「Burn」は激しい曲である。「S.G.S」はインストの楽曲でメンバーの演奏を堪能できる。「Armstrong」は「Burn」と曲調がよく似ている。こちらの方がアップテンポである。「Alright」カッティンのセンスが光る楽曲である。「Falli'」は先述した通りシングル収録曲である。後半の一気に転調するセクションが大変に格好良い。「Pacific」はSuchmosが度々面白いアレンジをして演奏する楽曲である。アレンジによってサイケにもプログレにもなるのが面白い。本アルバムラストナンバーは「Miree BAY ver」である。こちらは原曲よりもキーとテンポが落としてありよりシティポップ的要素が高い楽曲である。

以上、各楽曲の感想を縷々と述べてきた訳であるがこのアルバムは単体でも楽しめるしアルバムを通して聴く事もまたそれぞれの楽曲が違う光を放つので面白い。1st albumにして比類なき完成度のアルバム、それが『THE BAY』である。このリリースの後、日本の音楽シーンの風向きが変わった様に私は思える。より作家性が高い音楽が評価される時代になった、そう思うのだ。

このアルバムは現在改めて聴いてみるとこの後にSuchmosが進む道を予見するアルバムであるという事がわかる。バンド最大のヒット作「STAY TUNE」が収録された『THE KIDS』ワールドカップのために作曲し様々な議論を巻き起こした「808」が収録された『THE ASHTRY』そして問題作『THE ANIMAL』Suchmos=City popバンドという世間的なイメージをかなぐり捨てて全く俗受けしない長尺のサイケ、プログレアルバムを作る彼はは迷走中であるのか。私はそうは思えない。より自由に彼らの言葉を借りれば悠々自適に真剣に音楽に向き合っているのだ。彼らは化ける。私はそう確信している。日本を代表する音楽家に彼らは進化するだろう。


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