おひとりさまの終活とは?今からするべきこと5つ
年々単身世帯数が増え続け、今や「おひとりさま」で歳を重ねることが少なくない時代。
しかし、おひとりさまなら万が一の時にも気楽でいい…というのはちょっと違うようです。自分の願いをしっかり示し、立つ鳥跡を濁さずといった上手な離陸を目指すために元気なうちからしておくべき終活があります。
ここでは、おひとりさまだからこそしっかり考えておきたい終活について解説します。
おひとりさまの終活を元気なうちに始める理由
終活は、最後まで自分らしく自立して生きるための備えともいえます。人生は誰もが同じように終わりを迎えます。その最後の時が来るまで、思い煩うことなく、明るく自分らしく生きるためにも終活は大切なことなのです。
中には「終活は病気になってから考えればいい。」という方もいますが、実際病気になって体が言うことをきかなくなると自分がどうしたいのか、本当の望みは何なのかが見えづらくなる人もいます。
また、安心して老後を過ごすためのさまざまな契約事項や、煩雑な手続きなどをこなすにはある程度のエネルギーも必要です。
そのため元気なうちから自分にとって最良の選択をしておいた方がよいのです。
気力体力が充実しているうちに必要な終活を済ませると、すっきりした軽やかな気分で過ごすことができるため、老後を生き生きと過ごせるようになったという声もよく耳にします。
終活は、自分に必要なものとそうでないものを分別し軽やかに過ごす手段の一つ。残りの人生を有意義に生きるためにも元気な時から始めるべきなのです。
これだけはハズせない終活5つ
では具体的に、終活とはどんなことをすればいいのでしょうか。まずは代表的な項目を挙げてみます。
1.身元保証人を決めておく
2.葬儀やお墓、納骨などについて決めておく
3.生前整理をする
4.死後事務委任契約を結んでおく
5.遺言書を作成しておく
これらの項目1つ1つを詳しく見ていきましょう。
1.身元保証人を決めておく
入院や施設への入所の際、必ず必要になるのが「身元保証人」。
一般的には子など親族が担うことが多い「身元保証人」ですが、おひとりさまの場合、まず問題になるのが、この「身元保証人」の確保といわれています。
「身元保証人」の役割は、依頼者の身元を保証すると同時に万が一の際の「身元引受人」としても機能していることが多いため「身元保証人」を確保しておかないと不測の事態にスムーズに対応することができません。
ただし、よほど近しい親族や懇意にしている近所のお友達がいるなどの場合を除いて、負担のかかる「身元保証人」は頼みづらいことも多いもの。まして緊急の駆け付けを考えると遠方の人に頼むのも難しいという現実があります。
万が一頼めそうな人がいても自分と同じく高齢である場合は、緊急の駆け付けや引き取りなどの負担が大きくなるため、できるだけ若い世代の人に頼んでおきたいものです。
思い当たる人がいない場合は、身元保証を行っている会社やプロに頼むことも視野に入れましょう。
2.葬儀やお墓、納骨などについて決めておく
葬儀やお墓のことというと「縁起でもない!」という方もおられますが、誰しもが心の中に理想の旅立ち方を持っているのではないでしょうか。
万が一、自分が望んでいない葬儀が行われたり、想定外の場所に埋葬されたりしても後の祭りですから異議を唱えることすらできません。
さらに現代では、人生のフィナーレをきちんと決めておくことで安心し、かえってイキイキと暮らせるようになったという人も多いのです。
ならば、元気なうちにしっかりと理想の葬儀、理想の埋葬場所や方法などを示しておくのが最善というものです。
ポイントは、信頼と実績のある葬儀社にお願いすること。理想の葬儀について規模や会場、また費用など、しっかり想いを叶えてくれる葬儀社を探しましょう。
永代供養や樹木葬なども扱う葬儀社なら、お墓を下見に行ったりしながら好みに合った場所を選ぶことができます。
3.生前整理をしておく
生前整理とはいわゆる「断捨離」のこと。不要なものを捨て自宅を整理しておくことです。
これは亡くなった後のみならず、老後を快適に暮らすためにも必要なこと。
歳をとると若い時よりもモノをため込みがちになり、整理整頓がしにくくなりますし、部屋に置いてあるものにつまづくリスクも増えてきます。
また、普段の掃除や片付けもモノが少ない方がさっと終わり散かりにくくなるため、快適に暮らすうえでもとても大切なことなのです。
お部屋がすっきりすれば花やお気に入りの絵を飾ってみたくなるかもしれません。お友達も気軽に呼べるようになり、老後の生活がきっと充実してくるでしょう。
万が一の際に連絡してほしい人についても生前整理の一環としてピックアップしておくといいですね。
4.死後事務委任契約を結んでおく
死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後のさまざまな事務的手続きをしてくれる人を決めておくことです。
死後の事務手続きとは、
・電気やガスなどライフラインの解約
・行政などへの各種届出
・葬儀、納骨、また永代供養などの事務
・遺品整理
・医療費、入院費、施設費などの清算
・親族などへの連絡
・SNSやインターネット関連の手続きや解約
などがあります。これらの事務手続きを行う人を決めておくことで、亡くなった後の身じまいがスマートに行われます。
これは亡くなる前にかわす契約で、委任された人は委任された項目以外のことを行うことができません。
ですので、判断力のある元気なうちに漏れのないようにピックアップして、死後事務委任契約を結んでおくことが大切です。
とはいえ、死後の事務は非常に煩雑で友人や親族が行うにはかなりの負担になります。委任する人の心当たりがない場合、経験や実績のある団体や専門家に頼むのが最も安心といえるでしょう。
5.遺言書を作成しておく
「死後事務委任契約」の内容はあくまでも死後の事務に関してになりますから、死後の財産の行く先は「遺言書」にしっかり記しておく必要があります。
預貯金や所有する土地、家屋をどうしたいのかなど遺言書があれば自分の希望を述べておくことができます。
不動産がなくても、預金を最後の1円までぴったり使い切るのはほとんど不可能ですよね。ですから金額の大きい小さいにかかわらず、遺言書を残しておくことが有効なのです。
「遺言書」は書き直すこともでき、新しい日付のものが常に有効となりますから(公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言いずれにおいても)、心境に変化があって内容を変えたいと思ったとしても心配ありません。
もし、遺言書がない場合、遺産は民法に従い法定相続人に相続されます。相続人がいない場合は国庫へと納められることに。
自分で築いたお金を最後まで希望通りに使いたいと思うのは当然のこと。お世話になった人に譲渡する、どこかの団体に寄付するなどの希望があれば、しっかり遺言書に記しておくとよいでしょう。
終活をして身も心も軽やかに!
自分にはまだまだ終活なんて、と思ってはいても、年齢にかかわらず誰でも突発的な事故や病気が降りかかる可能性があります。
一口に終活といってもその内容は多岐にわたり時間もかかるもの。早いうちから少しずつ進めていくことで負担が少なく、また見落としのない終活を実現することになります。
先々の心配事をなくせば、身も心もすっきり軽やか!毎日の生活にもハリが出て、より人生を楽しめるようになるものです。
ぜひ、自分にできることからコツコツと始めてみてくださいね。