62・ぼくがすきな豪雨
たいふうがきた。
すこしまえからテレビでガラスにテープをはりましょうとかうえきばちをへやのなかへとかでんちゅうがたおれていえがつぶれるとかせんでんしていた。
あさになってばあちゃんがみやざきからでんわかけてきた。
かずぼう、はやくにげろって。
ぼくはママのおいはいとタオルとさいふとケイタイとキットカットとレトルトごはんともっとタオルとりんごをリュックにつめこんでそとにとびだした。
そとはもうざばざばのいたいあめがふっていた。
かぜはまだそれほどでもなかった。
かぜがつよくなってきたらみぎからふくのかひだりからふくのかとぼくはかんがえた。
もしかしたらうずをまくかもしれないとおもった。
そうしたらむかしのひとこままんがみたいにぼくもまきこまれてそらのうえにとんでいけるかもしれない。そうなったらわくわくするなとおもったらもうほんのすこしあったこわいきもちはきえていた。
ぼくのあしがみずたまりにつかっていた。
こうなってすぐぬれるのがわかっていたからぼくはげんかんをでるときにくつをはいてこなかった。
ビニールのかさはさしている。かぜでこわれてしまうまではつかおうとおもう。
ぼくははなうたをうたいながら、かわとははんたいほうこうへとにげる。
めのまえのみずをふみながら。
うえをむくとえがおにあまつぶがあたる。きもちいい。そうおもった。
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