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鉄鋼業界で働く/女性営業職編/インタビュー/奥が深いスクラップ

 鉄スクラップ加工大手の扶和メタル(本社=大阪市、勝山正明社長)では、埼玉支店で西田菜穂さんが女性営業職として奮闘している。事務職として2016年に入社した西田さんだが、昨年に一念発起して営業職への配置転換を希望した。「スクラップ業界でもっと踏み込んで仕事をしたいと思った」と話す西田さんに今後の目標などを聞いた。


 ――入社のきっかけは。


 「以前は保険の営業をしていましたが、もっと家族との時間を取りたいと考えて地元で転職先を探していました。それも営業職ではなく、事務職で。鉄鋼業界はもちろん、鉄スクラップに対する知識はまったくありませんでしたが、扶和メタルは応募してからの連絡や面接日程の決定などが非常に早く、私自身は縁を感じていました」


 ――入社後は。


 「事務職でしたので鉄スクラップを持ち込まれるお客さまの対応や計量、支払いなどを担当していました。ただ、事務職は事業活動の最後の一部分。じゃあ鉄スクラップ事業の最初の方はどうなっているのか、だんだんと鉄スクラップのことを知れば知るほど気になって。事務職でも覚えておいて損はないだろうと、現場や運転手の方々もいろんなことを教えてくれましたので余計に興味が湧きました。それで昨年夏頃、社長や役員の方とお話しする機会があり、直接お願いするとあっさり『やってみればいいよ』と。娘が大きくなったことや実家のサポートもあり、再び営業にチャレンジできることになりました」


 ――元営業マンとして血が騒いだ。


 「もちろん事務職など内勤の業務は企業の土台を支える重要な役割があり、とても大変な仕事です。しかも扶和メタルでは内勤の待遇も非常に恵まれていると思っていますし、内勤に対しても一人一人しっかりと見て評価していただいていると感じていました。ただ、収益面で直接的なつながりが持てていないという葛藤もありましたし、もっと具体的に会社や埼玉支店に貢献したいという思いも日に日に増していきました」


 ――現在の担当は。


 「昨年までは引き継ぎやサポートで事務仕事も行いながら営業で外回りを少しずつ始め、今年1月から営業職選任になりました。入札案件の下見や鉄・非鉄金属スクラップなどの仕入れ先への営業が中心です。入社前の鉄のイメージといえば銀色のキラキラしたものでしたが、いざ入社してみるといろんな鉄製品があり、その製品が役割を終えたスクラップはさらにさまざま形状や品種があってとにかく奥が深いです」


 ――女性営業が非常に少ない業界だが。


 「良く言われるんですが、正直申しまして保険の営業で鍛えられましたので(笑)。そもそも事務職で入社して結局営業職を希望するくらい、やっぱり営業が好きなんだなと。特にスクラップ業界は良い意味で『昭和』な、『義理と人情』にあふれている世界ですし」


 ――今後の目標などについて。


 「まだまだわからないことは多いですが、解体スクラップと非鉄金属スクラップはヤードの収益の軸になると考えており、積極的に営業に取り組んでいきたいです。なにより以前に家族が大変な時に落ち込んでいたときも会社から温かい言葉をかけていただきましたし、また会社が社員のみんなを信頼してくれているんだなと日々感じていますので、感謝の気持ちを早く業績で返したいという思いでいっぱいです」

(早間 大吾)

 鉄鋼業界で活躍する女性をはじめとした多様な人材、未来を担う人材を、随時紹介していきます。

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