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鉄鋼業界で働く/女性工場職編 座談会/女性が増え環境に変化/改善・提案にも意欲/規則的な勤務、決め手に

 鉄鋼業界のさまざまなシーンで、少しずつ女性が活躍している。関西地区のコイルセンター、仁淀鉄鋼(本社=大阪市西区、吉田英司社長)の奈良工場(奈良県田原本町)では、製造部製造課の生田昌美さん、橋本礼子さん、大久保亜耶さんの計3人が自動梱包機を担当。「工場の雰囲気全体が明るくなった。大久保さんはクレーン免許も取得しているので、仕事の幅が広がれば」と製造部長も女性が働くことに好意的だ。鉄鋼業界に飛び込んだきっかけや仕事の魅力、苦労、今後の目標などについて聞いた。


 ――入社の経緯は。


 橋本「仁淀鉄鋼の元社員である父から、仕事を探している時に工場で働いてみないかと勧められ、2013年に入社しました」


 生田「前の職場で製造部長の奥さまと偶然一緒に働いており、工場の仕事についてご紹介を受けたのがきっかけで、橋本さんと同時に入りました」


 大久保「子供がまだ小さかったので、勤務時間がしっかりと決まっていて土日祝も完全に休める条件面を優先し、工場なら生活リズムも作りやすいと感じて18年に応募、入社しました」


 ――自動梱包機担当の仕事内容は。


 橋本「スリットしたコイルに個別鉄バンドを結束したのち、梱包紙を巻き、お客さまの求める梱包形態ごとに分けていきます。3人全員、同じ仕事を行っています」


 ――やりがいを感じる瞬間は。


 橋本「加工された次のコイルが来るまでに目の前の作業を全て終え、スムーズに次の仕事へ移行できた時ですね」


 生田「私も同じです。また、梱包紙がきっちりきれいに巻けるとうれしくなります」


 大久保「やりがいとは異なりますが、工場なのでとにかく滞りなく操業できよう作業を日々こなしています」


 ――大変な点は。


 橋本「力仕事はやはり男性には敵わないですね。あと暑がりなので、とにかく暑いのが大変です。私たちは冷房に加えて1人1台スポットクーラーを使用させていただいているのですが、長袖長ズボンに手甲と軍手、ヘルメットに安全靴となると、それでも暑いです。シャワーはあるのですが、外に直接設置されていて全身というわけにはいかず、終業後にスーパーへ行くときに清潔面で周囲の目が気になり恥ずかしくなります」


 生田「私も同じです。暑さに加えて、冬の寒さもありますよね」


 大久保「冬は特に鉄がすごく冷たく感じますね」


 橋本「ラベルを貼る時は軍手を外すのですが、鉄パイプを触ると『つめたっ!』となって、手が動かなくなることもあります(笑)」


 生田「手がかじかむので、みんなよくヒーターへ集まって手を温めています。加工されたてのコイルは温かいのですがすぐ冷えるので…。夏は熱気も出るほど熱いですが(笑)」


 大久保「熱しやすく冷めやすいですよね」


 ――複数の女性が働くことによる変化は。


 大久保「私が入社した年に、工場横に女子トイレが設置されました。今までオフィス棟にしかなかったので、便利になりました」


 橋本「本当にありがたいです」


 大久保「工場の暑さに身体が耐えきれず鼻血が止まらなくなる出来事があり、それを機に会社が暑さ対策も重点化してくれました」


 橋本「もともと自動梱包機3台に対してスポットクーラーが2台あったのですが、さらに1台追加してもらい、1人1台使えるようになりました」


 ――複数の女性がいて良かった点は。


 生田「とにかく心強いです」


 橋本「仕事に関係なくいろんな話ができていいなと思います。3人とも子供がいるので、学校行事への理解などもありますしね」


 大久保「子供を優先して仕事を選んだので、先輩の御二方に相談させていただける機会が持てて、子育てに生かされています」


 ――今後も女性が増えてほしいですか。


 橋本「女性が増えると味方が増えるようでうれしいです(笑)」


 生田「考え方などが合う人が増えるといいなと思ったりします」


 大久保「女性が増えることで、女子トイレのようにさらに女性が働きやすい環境が整備されるかもしれないですね」


 ――今後の目標は。


 大久保「けがをせず毎日安全に仕事をこなすことが目標です」


 橋本「自動梱包機の機械そのものの知識を身に着け、どの部分の調子が悪いのかなど自分たちで判別できるようになりたいです」


 生田「私たちは機械に関する知識が足りず、自動梱包機の修理まではできません」


 大久保「不具合があるときは業者の方か、保全担当の男性社員に修理を頼むしかないのが現状です」


 生田「そういった点も含め、私も自分たちで自動梱包機の改善・提案ができるようになりたいです」


(芦田 彩)



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