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短い秋に熱く語る(JES通信【vol.154】2022.10.11. Mr.榎本の徒然ダイアリーより)

 今回は当社社長、榎本正己が半年に1回JES通信に執筆しておりますコラムを転載します。

1.「紹介と連携」 EAPをマネジメントに活用する方法

 冬のような寒さになったり夏日が戻ったり、秋を探すのに苦労しますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。前回の執筆は春でしたが、気づけば10月でコラム2回目を催促されて光陰は矢そのものだなと驚いております。
 
 今月から、某大学院で私が講師を務める集中講義が始まりました。5年目となるこの講義では、公認心理師(2017年にできたカウンセラーの国家資格)の養成カリキュラムの一環として、産業労働分野での心理支援、つまりEAPの仕事についてお伝えしています。最近の学生さんは優秀な方が多く、学生時代の自分とは随分違うなぁと感心と負い目とよい刺激を感じる機会になっています。
 
 その中で、EAPの成り立ちや対応の特徴などをお伝えしています。ご存じの皆様もいてくだされば嬉しいのですが、EAPは、アルコール関連問題を抱える従業員を自助グループにつなぐ活動から始まっています。その際、従業員に「お酒の問題があるから」とEAP相談を勧めてもうまくつながらない状況が発生してきたため、お酒の問題(=疾病性)ではなく、パフォーマンス(=事例性)に焦点をおいた勧め方が生まれました。そして実際にEAPはアルコール問題以外の相談にも対応するようになってきた経緯があります。
 
 この経緯から、マネジメント層(管理職・人事)が部下等にEAPを勧める「紹介=マネジメント・リファーラル」が相談発生の重要な軸となっている点がEAPの大きな特徴です。

 職場で起きている、起きそうな問題を「何とかして」、組織の目標やありたい姿に向けて進めるのがマネジメントだとすれば、問題を抱える従業員をEAPに紹介いただき、必要に応じてマネジメント層とEAPが連携して対応していくことは、EAPによるマネジメント支援に他なりません。部下対応の相談や連携を通して管理職の方が私たち顔負けの対応スキルを身に着けられることも多く、そういう時は微力ながら「個と組織」の健康・幸福・発展に寄与できたかも、と嬉しくなります。

2.管理職に活用いただきたい!

 しかし、紹介はただ待つだけでは発生しません。そこで当社では企業との連絡窓口を担う企業担当カウンセラーを選任し、利用状況報告の機会なども利用して紹介いただきやすい体制を敷くと共に、企業様によっては人事の皆様と定期的な勉強会を開催している所もあります。また、定期的な管理職研修も現場の対応力の強化と困りごとの掘り起こしにつながるものと考えて注力しています。
 
 実は、管理職研修は9月末に世界保健機関(WHO)が公表した「職場のメンタルヘルス対策ガイドライン」でも、「メンタルヘルスに関する管理監督者の知識、態度、行動、及び部下の援助希求行動を改善するために、部下のメンタルヘルス支援のための管理職トレーニングを行うべきである」と科学的根拠に基づいて強く推奨されています。
 
 ※東京大学大学院医学系研究科社会連携講座「デジタルメンタルヘルス講座」のセミナーで拝聴。

 ラインケア研修は、各社のメンタルヘルス対策でも主軸の一つに位置づけられてきたものと思います。これが間違っていないと示されたことは自信にもなる気がします。ただこの管理職研修、全ての企業で毎年実施できるわけでもありません。新任管理職は毎年発生するが、費用や運営面の都合もあって定期開催は難しいとのお声もいただいておりました。
 
 そこで当社が今年度からサービス提供を開始したのが、
・EAPご契約企業の管理職の方がお一人から参加でき
・ラインケアの基本とEAPの使い方を学べる
オンラインセミナー「新任管理者のためのメンタルヘルス・ラインケア講座」です。
 
■ご案内ページ  https://www.jes.ne.jp/news/2022/0922_1773 
■ご案内ポスター https://www.jes.ne.jp/pdf/joint-webinar.pdf

 社内状況に応じて各社で企画した研修に当該企業の管理職が集合して対面で話す。この良さは絶対あると思います。管理職自身のサポート資源ともなる社内の管理職同士のつながりを強化する意味でも、企業内研修は重要であり続けると思います。一方で、全管理職が基本的な知識を早めに学んでおくことは、社内でありそうな事例の検討などを交えた企業内研修を実施する土台になるものとも思います。
 
 これまでの参加者からは、2時間で基本的な対応が理解できる、頭の整理になると好評もいただいております。今年度は11月末と1月に追加開催があり、次年度以降も複数回の開催を予定しておりますので、各社様の人材育成プログラムの一助としてご活用いただけましたら幸いです。

3.人事・産業保健職の皆様にも伝えたい!

 また、人事・産業保健スタッフの方々によるEAPのご理解やご活用は、管理職の方々以上に重要と考えております。ただ、利用状況報告などでお話しする機会が多い連絡窓口の方にはEAPの使い方を伝えやすくもありますが、窓口以外の人事担当の方々や産業保健スタッフの方々と直接話す機会はそれほどない企業様も少なからずございます。
 
 そこで、人事・産業保健スタッフの方々を対象とした「EAPの活用」に関する無料動画も近日中に公開予定です。お会いしてのご説明には及ばない部分もあるかもしれませんが、公開時には改めてご案内をいたしますので、社内の人事・管理部門の皆様や産業医・保健師の皆様などにお知らせくださいましたら有難く存じます。
 
 ということで、今回は「メルマガ・ショッピング」みたいになってしまいましたが、この半年での当社の取り組みの報告を兼ねて徒然と書かせていただきました。実際には、学生さんに向けて「人事・管理職との連携ができるのがEAPだし、当社はそれを実直に頑張っています!」と熱く語ったので、皆様にもお伝えしたくなりました、というところです。

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