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人間関係の基盤「愛着」―子どもの愛着形成から大人の愛着障害まで

1.ご受講の方法

【申込方法】ご予約・お問い合わせフォーム、メール、Faxにてお申し込みいただけます。①お名前、②ご連絡先、③希望の受講日時を2~3つ、明記くださいますようお願いします。

【時間】60分

【受講料】3,000円(+税)資料代込

【その他】本講座は、オンライン受講となります。Skypeまたはzoomにてご受講いただけます。

2.内容のご紹介

「愛着障害」を著名にした日本の精神科医・岡田尊司さんによれば、不安障害、パニック障害、うつ、パーソナリティ障害、依存症と診断されている方の中に、愛着障害が絡んでいることが多いといいます。

これまでの治療や対処では改善しにくいケースほど、愛着の問題が潜んでいる場合があるそうです。

また、愛着につまずきのある子どもや大人が、発達障害と誤診されるケースもあるといいます。

近年、脳科学の進展とともに、日本でも愛着がクローズアップされてきました。

欧米では、児童精神科医のジョン・ボウルヴィ臨床心理士のデイビット・J・ウォーリンらが良質な研究と臨床の蓄積があります。

愛着は、幼少期の重要な養育者(主に母親)との関係の中で育まれます。

ここで育まれた愛着パターンは、他者との分離や再会についての交渉・感じ方・ふるまい方をつくっていきます。

しかし、だからといって、大人になってから愛着パターンが変えられないというわけではありません

ただし、変化を起こしていくにはパターンを変える糸口としての「勇気ある最初の行動(action)」が必要で、その行動を支えてくれるサポーターがいるとよりよいでしょう。

この講座では、愛着と愛着障害について全体的に学んでいきます。

この講座を通して、日頃の人間関係におけるやりとりに微細な変化を起こすための動機が育まれることを目指します。

3.高度を上げて――時代を俯瞰して観る

戦後日本は、高度経済成長期と近代核家族化の急激な進展の中で、この愛着関係を育む環境がそれまでとは劇的に変化することになりました。

戦後日本では、「いい子であること」「我慢すること」「忖度(そんたく)すること」が、美徳とされてきました。

この教育方針は、生き延びるために心の痛みを切り離す「小さな解離」を促進させるものでもありました。「小さな解離」の積み重ねで、生き辛さを感じられている方がたくさんいます。

付け加えておくと、この「小さな解離」を醸成した世代的連鎖の背景には、私たち日本人が戦争体験の痛みを社会全体で解離してきたという悲しい歴史があります。無自覚的・無意識的・身体感覚的に、世代間で継承されてしまっているのです。

『モモ』の著者、ミヒャエル・エンデは「第三次世界大戦はもう始まっている、それは家庭の中に持ち込まれた」と述べていますが、安全基地であるはずの家庭がもしそうだとしたら?

4.より深く――愛着と甘えと自立

もうひとつ、戦後に、私たち日本人がこぞって捨ててきてしまったものがあります。

それは、「甘え」です。

誤解が多い「甘え」ですが、「甘え」と「甘やかす(spoil)」のとでは、天と地と程の違いがあります。

英語には、「甘え」にあたる単語はありません。これは、日本人独特の愛着関係でもあります。

実は、まっすぐに甘えられないことこそが、共依存関係への落とし穴です。

精神科医・土井健郎は「甘え」の重要性を『甘えの構造』の中で説いたのですが、戦後教育ではむしろ「甘えてはいけない」「何でもひとりでやれ」と誤読されてきたのです。

「甘やかす(spoil)」のは、「心」に甘いお菓子を与え続けて子どもが自分を生きることや自立を阻む負のグレートマザーであり、子どもの人生を腐らせ、台無しにするものです。

この違いをカテゴリーエラーしていることで、今日、さまざまな病理が現代の日本社会のシステムや家族や関係性の中で立ち現われています。いじめ・DV・虐待・ハラスメント・ストーカーといった暴力の問題にも、密接に関係しています。



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