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主婦が本気で遊んだら、娘の足を見つめ、終電で帰り、見えなかったものが見えてきた。

つくりたい。


というのに突き動かされていた。
娘が寝たあと、居間のちゃぶ台で深夜2時まで。
それが私の"創作活動”だった。

本気で絵本を作ろう。出版まで目指したい。
と、思ったのは、コロナでいろいろなチャレンジが全ておじゃんになったからかもしれない。何か、一人でできる本気の遊びを求めていたのかもしれない。

主人公は娘の『あし』。

最初は文章をかき、誰かに絵をかいてもらおうかと思っていた。
でも、コロナ真っ只中、会いに行ける友達もいなく、出版に詳しい友達に聞けば、持ち込みもできないから、やるなら公募、とのこと。

それなら、少し描いてみようと、始めたのが数か月前。

まずは持ってる絵本のサイズをはかることから始まった。

が、てんでばらばらなのね、絵本って。

とりあえず、下書きから、ラフ、色鉛筆と、何度も何度も描いてみた。

ようやくこれで完成、というところで、コピーしてみて、母に見せる。母はイラストレーター。
「絵本のことはよくわからないけど……」
前置きしたあと母は言った。
「これは下描きだね。」

荒さが目立つとのこと。

もう一度、1から描き直し。
今度はもう少し大きい画用紙に、周りに余白をとって描いてみた。

……文章だと、「描いてみた」一言で終わるのだが、絵って本当に難しい。どうして足を主人公にしちまったんだと、自問自答する日々。
でも、この話が描きたかったんだからしょうがない。
この話以外にあり得ない。

描くしかない。

出す公募を決めて、それまでにと、本気で描いたら、寝るのがいつも夜中の2時になった。
でも、描けばかくほど上手くなっているような気がする。だからもっと描きたくなる。
お蔭で寝不足で、日中絵本を読みながら寝そうになる日々……。読んでる方が寝るって……舌がもつれて呂律が回らなくなるって……。すまぬ娘よ。

でも……

本気だったから、見えてきたことがある。

それは、なんだろうとずっと考えていたのだけど、友人に手紙を描きながら、わかった。

それは、今まで見過ごしてきた人やものへのリスペクトだった。

絵を描きながら、娘の足を観察し、植物を観察する。
と、今まで通りすぎていた、道端の草の複雑さや、生存戦略が見えてきた。描こうとしてもとうてい描けない複雑さ、と美しさ。
すごいなぁと、思う。

絵が全くの素人なので、基本は写真をとって参考にしていたが、基本がなってない。子どもの足って難しい。ひたすら観察、描く。描く。
そこで色々調べていくと、足の動き、からだの動き、服など丁寧に描き方を教えてくれるサイトがあった。
ありがたいと同時に、絵本の絵だけではなく、 漫画家さん、何気なくみていたネットの無料育児マンガ家さん、どうしてあんなに上手に表現できるのだろうと、みるようになった。
ホントにすごいなぁ。

絵本の絵も、一見するとヘタウマな方もいる。でも、きっと基礎があっての崩しなんだろうなぁ。何気ない背景で、わかってしまう。

落ち込んでいる暇はない。知るというのは、いくつになっても楽しい。
いや、大人になった今だから、初めて知るというのは楽しい。

プロってすごいと思った出来事もあった。
さぁ、締め切り4日前に出来上がり、印刷しようとなったとき、初めて知った。
色鉛筆はコピーで上手く色がでない事。

やばい。娘をパパにみてもらえるのはその日1日だけ。
焦った私は、パッケージデザインなどをしている友に、助言を求めた。
印刷屋さんに行っても上手く出ず、泣きついた。

そして彼女の助言通り、描いたものをデータ化して、彼女の家に持っていった。
彼女が、印刷しても色が出るように明るくしてくれた。
明るくが、とっても難しくて、カラーの強さを変えたり、濃度を変えたり、下地の紙の色を明るくしてくれたり、それはもう、プロの技。私にはとうていできなかった。
終電ギリギリまで頑張ってもらった。

次の日、娘をつれて印刷屋さんに行きグミを食べさせながら、彼女の助言通り一番きれいに出る方法で印刷してもらった。
きれいに出たときは、ガッツポーズが出た。

友よ。本当にありがとう。夕飯も食べずごめんね。

世に出てる絵本がべらぼうにきれいなのは、きっと素晴らしいプロの経験と蓄積があるから。ほんとにすごい。

刻一刻と、期限はせまる。
文字をコンビニで印刷する。夜中2時半。
コンビニが夜中までやっていてよかった。
ありがたい。ありがたい。

本気で絵本を作ったら、描いてることを堂々と言えるようになった。
いろんなひとを頼ることになった。
ひとを巻き込むことを恐れなくなった。
本気で絵本を作ったら、いろんなひとのすごさが分かった。

自粛でも一人でも、できる遊びだと思って始めたのに、いろんな人に助けられていることに気づいてしまった。

そして、こうやって、ノートで思いの丈をつづって、読んでくださる人がいること。
本当にありがたい。
ありがとうございます。

本になりますように!!!

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