シェア
N.ニシマキ
2018年3月7日 22:00
小学生の頃、原稿用紙にむかって漢字の書き取りをやっていると、文字が急に読めなくなるような、妙な気分になったことがあった。正式にはゲシュタルト崩壊というらしいが、文字に意味を与えるもの、つまり文字の霊というものはハッキリ見ようとすれば、たちまち姿を消して見えなくなってしまうらしい。この文字が持つ不思議な性質についての小説が、この「文字禍」である。中島敦はいうまでもなく知識人である、父の影響で幼少