見出し画像

最底(2)

男は今年もまた1つ歳を取った

スポーツでの感動体験や仕事の目まぐるしい変化に耐えた12ヶ月

金銭面とメンタル面の擦り減りがキツかった

この年齢最後の1週間を乗り切り

逃げるように西へ向かった

自分を見つめ直すとか
見知らぬ土地で何かに気付くとか

そんな格好良いもんじゃなくて

ただ流れに乗って欲望のままに

些細な仕事を出張と旅行にくくりつけて

人の世話にマル乗りした

西の地で同行者と別れ

1人旅の延長戦

知らない街から知らない各駅列車に乗り

また知らない街へ

電車の乗り方も切符の捨て方も

駅からの風景も

何もかもが違う

ホテルへの真っ暗な一本道1時間

車道も歩道もないキワキワを

轢かれないように

スマホの灯りをチラつかせて

こちらの存在を無理くり知らせて

1時間

革靴とスーツでまだ蒸し暑い夜を彷徨った

ホテルへ着いて

今度は違うまた別の人間と合流

出張から遊びへ完全に切り替わる瞬間だ

彼の車に乗って食事へ

さっき歩いた道路の短さと車の快適さに

変にテンションが上がる

歩いてる途中

あとでこれを食べようと決めていた

長崎ちゃんめん

長崎ちゃんぽんではない

ちゃんめん

外観、メニュー、味、価格

完全に全国チェーンのアレだった

調べたらもともと同じ流れだった

さっさと食べ終えコンビニまで少し歩く

ホテル泊まりになると無性にポテトチップス

しかもちょっと良い値段のする

コンビニブランドの海苔塩味が食べたくなる

それを普段は絶対に出来ない、ベッドの上でムシャムシャと食べ散らかすのが好き

からのノンアルコールビールとペイチャンネル

小1時間過ぎただろうか

明日も早くから観光とギャンブルが待っている

ポテトチップを棚に置き

疲れた体を完全にベッドに押し付け

あてのないスマホ旅をしながら

早々に眠りについた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?