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ドリームは戦争で実現した

読書

数年前に読んだ本。
「ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち」
マーゴット・リー・シェタリー 著 山北めぐみ 訳 
ハーパーコリンズ・ジャパン

第二次世界大戦下のアメリカ。
戦争を有利に戦うために飛行機の性能を上げねばならない。
開発研究のためには優秀な「計算手」を集めなくてはならない。
文字通り人間計算機として自分の才能を認めさせ
同時に自身の地位を向上させようと奮闘した黒人女性たちの物語である。
彼女たちの奮闘を応援しながらも
重苦しい気持ちがずっと身体を捉えている。
彼女たちの奮闘のおかげで開発された軍用機の一つがB29で
これが日本各地に悪魔のように爆弾の雨を降らせ
魔王のように原子爆弾を運んだのだ。

この本の中の

戦争は「マイノリティ集団にとって史上最大の好機になりうる」

という一文が、本当に何とも言えぬ気持ちにさせる。
この気持ちを具体的に述べよ、という現代国語の試験にしたいくらいだ。
差別とは気持ちの問題で、区別とは現実問題。

身もふたもない現実主義でいけば区別はあっても差別している余裕は無い。
利用できるモノは利用し尽くせ。
そして、この現実主義が最も「あらわ」になるのが戦争だというのは
哀しい現実だ。

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