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雨は上がる原稿は落とす

以前、ボランティアで外国人に日本語を教えたとき
「どうして雨が止むことを“雨が上がる”と言うんですか?」
と質問された。
まだまだ未熟な先生だった自分は「はた」と困った。
あまりにも当たり前に使っている言い方は
改めてどうしてと考えてもわからない。
時間に限りはあるし焦ってしまって
「そこに降っている・そこにある雨が上に上がったように無くなるから」
と、自分の語感で答えてしまい
「わかりません」と言われてしまった。
そこで「日本語では、雨が止むことを雨が上がると言います」
と言って、覚えてもらった。
しかし、これでは質問者にきちんと教えたことにはならない。
なぜそこで国語辞典を引かなかったかと
今、悔やんでも悔やみきれないのである。
今日なぜかこのことを思い出して、慌てて辞書を取り出した。
(いや、雨の中を傘をさして歩いていて思い出したのだ)
手元の「新明解国語辞典」第三版で調べると
「上がる」の例の中にちゃんと「雨が上がる」があった。
この「上がる」は
「物事のけりがつく。また、最終の段階に達する。」で
他にこの意味にあたる例には
「バッテリーが上がる」があった。
ああ、なるほど!
他には
「仕上がる」「出来上がる」「書き上がる」
があって、なるほど、確かに!と納得できた。
語感としては
そこにあるモノが上がって、そこには無くなる
→ やっている事が終わる
でいいのではないか。
いやむしろ
「物事のけりがつく。また、最終の段階に達する。」
の意味で長年使い続けてそういう語感になっていったのかもしれないが。
いや、とにかく、ですよ
意味がわからない・はっきりしない言葉は
必ず辞書で調べなくちゃ、ですよ!!
さてそこで
「上がる・上げる」を、ちまちまと考え続けて
「原稿を上げる」もあったなあ、と。
これは「仕上げる」だな。
で、逆が
「原稿を落とす」
うわあ
やろうとしてやれなかった状態。
手から・机から、ぽろりと落ちてしまう感じだ。
モノは、手に持っていないと・何かに載せておかないと
「落ちる」
地球には重力があるでのう。

「上げる」は前向きな感じで
「落とす」は失う感じがするな。
なるほど、これが語感と言うものだろう。

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