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最近洋装多い件

*2022年9月13日初出。

〈最近洋装多い件〉
一昨日のコスモス支部歌会に洋装で参加した私。2015年3月の歌会からずっと和装で参加していたので、洋服を着てみなさまにお会いするのは実に7年半ぶりということになります。着物を着ていない自分を私自身は見慣れていますが、歌会でしかお会いしない方々にとっては不思議なものを見たっていう感じだったかもしれません。

 えー、今日は着物じゃないんですね。
 お洋服、久しぶりですね。
 なんだか若くなられた感じですよ。

 色々ご感想をお寄せいただき、ありがとうございました。多分イジられるだろうなあと思う一方で、全くスルーされたらどうしよう……という思いもあり……。ちゃんとご反応いただき恐縮です。

 この日に限らず、最近洋装で出かけることが増えました。立場上着物NGの仕事が入るようになったことが一番大きな理由でしょうか。短歌関係で外出する時はできるだけ着物で……と思っているのですが、その前後に着物NG案件が入ると、それも叶わないことがあります。

 ああ、多分フェイズが変わったんだなあ。

 フェイズ(phase)とは「局面」。私が着物と出会ったのは、中学校不登校の後、高校進学をしなかった娘がイギリスへ短期留学をしていた時でした。寂しいけれど、それまでいつも一緒にいた娘と物理的に離れることで、ようやく自分自身と向き合う時間ができた、そんなタイミングでした。何かに注力することで一人の時間を充実させ、娘が帰国した時にはそれまでの自分とは違う自分で迎えてやりたい、そんな気持ちで着付けを練習したのだったと思い出しました。

 さらには、私の薄いスマホ体型には立体裁断が施されていない着物が異様にぴったりで、それまでどんなに高価な洋服を着てもこんなに褒められたことはない、というくらいいろんな方々からお褒めの言葉をいただきましたし、しかも身体に負荷がかからないノンストレスの衣服を纏うおかげで内臓まで元気になりました。靴はすぐに足が痛くなるのに、草履ならどこまでも歩けましたしね。

 でも、私が和装にこだわった本当の理由は多分そこではなかった。着物を着ることで、私は「着物以前」の私との訣別をしたかったのだろうと思います。娘を苦しめていた毒母だった自分を着物の下前に上前を重ねて、帯でぐるぐる巻いて、最後帯締めでキュッと縛って閉じ込めておきたかったんだと思うのです。

 7年半かかりました。

 諸般の事情で、和装が思うに任せなくなったこと、これはひょっとしたら単なる偶然ではないのかも。着物の呪縛に頼らずに、自分を律してみなさいよっていう、天の采配なのかもしれません。だとすれば、頑なに和装にこだわることもないのかもしれません。

 でもやっぱり着物は大好きだし、typical Japanese な体型の私に最も似合うのはこの民族衣装であることは揺るぎない事実なので、今後はより一層趣味性に傾いた着物道を邁進していきたいと思う今日この頃なのでした。

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