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平成最後の年に憤怒の嵐 8

WWⅡ(World War 2・第二次世界大戦)中

ある中国人女性が旧大日本帝国の中国侵攻により、

フィリピンに疎開(避難)し

疎開先のフィリピンで子供を産みました

その子はリックと名付けられ、フィリピン人と結婚し

一人の女の子を授かります

その子がマサラップの相方のピナタンなんですが

今回はこの前提を覚えておいて下さい



車内でもピナタンとエミリーは、ひたすらタガログ語で

話し続けていました

合間を縫ってマサラップは

何で3駅も離れた場所を待ち合わせにしたのか

理由を聞いてみました


理由は尾行してくる人がいたら、嫌だから

だそうです


まぁ、そんな所だと思ってたんであんまし驚きは

しませんでした

この子達は法律スレスレの状況で日本に来てるわけです、

働いていた店のバックに

チンピラみたいなのがいるんじゃないか?

って考えるのも理解できます


そしてそんなやり取りの後、とある駅前のある居酒屋につきました


近くの駐車場に車を停め、店内に入り人目を気にしながら

一番奥の席に座りました


「さあ、たくさんお食べ、酒だって飲んじゃってもいいよ」

マサラップは彼女らに言い、ウーロン茶をチビチビと飲みだしました



まあ、あたりまえですが山の様に料理を注文されて

天下一武道会の後に悟空達に飯を食わせた亀仙人並みに

会計を払わされましたが

それは置いといて


彼女達は大航海時代スペインからアメリカ経由で

フィリピンまでたどり着いた人達の遺伝子を受け継いでるせいか

こんな状況でもメンタル強いなーなんて感心してました

そんな中、ピナタンの相方エミリーちゃんのスマホがなります


エミリーちゃんの顔が一瞬明るくなったのがわかりました

たぶん、親しい人からの電話なんでしょう、

そして電話が終わると

彼氏が近くまで迎えに来ていて今日は彼氏の家に泊まる

との事


彼氏さんかー

一度、色々情報交換を含めて今後の事について相談したいな

って思ったんですが、

彼氏さんは70位のお爺ちゃんで

会社経営してて明日朝から忙しいとの事で

次回改めて話しましょうって事になりました


そして、ピナタンと二人きりになり


今後どうする?とか偽装結婚してるけど解除できるのか?

とか答えの出ない議論をし、とりあえず大阪のオバサンに

相談するって事でまとまり、コンビニに行って休憩しよう

って話をしていた所

ピナタンの電話が鳴ります


電話が終わると、ピナタンは何か決心した様な表情で

話し出しました


逃げて来た店のピナタンの女友達から、今店には誰もいない

持ってこれなかった荷物を取りに来るなら今しかない

との事


”おいおいおい~、まじですか折角逃げて来たのに

そんな奇襲攻撃みたいな事する??”

って思いましたが顔には出さず


「OK」


とだけ答えました


これ今思い返すと友達が裏切ってて伏兵的に店に

店員が配置されてて

捕まるパターンでは?って思えるんですが

昼間にサーフィンして眠たくなってるせいか

何も考えずにOKしてました



そして結果ですが、だーれもいませんでした(ラッキーでした)


ピナタンの荷物を二人で協力して運び出している最中

ピナタンの額に浮かぶ汗が月明りでキラキラしてて

思わず見上げた月の明るさを僕は一生忘れないでしょう


偽装結婚で入国し残りの契約期間が後4年もあり

そこまで、ピナタンを支えれるんだろうか

って不安で真っ暗だった時期に比べれば

真昼の太陽で照らされた大通りじゃないけど

この日の月みたいに足元は照らしてくれるだけの

明りは見えてきたって希望の光


そして、もう一つ


荷物を運び出している最中に日付がかわり

8月15日になりました

ラジオからは、本日終戦の日です

と流れます


戦争はいけない事です、ただ戦争が無ければ

ピナタンのお婆さんは疎開せず、

結果ピナタンは存在していなかったと思います

そして、お互いの祖父の世代では

戦争していても時代が流れれば、

その関係を乗り越えて協力できる

と言う事を、深く考えさせられる一日でした










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