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【開催レポート】深セン先端技術ピッチコンテスト日本予選大会 2020/08/25

2020年8月25日、最先端のテクノロジーを競い合う国際大会『深セン先端技術ピッチコンテスト』に向けた日本予選大会がオンラインで開催した。

中国・深センで9月に実施される本選大会に参加する3社を決定すべく、人工知能・サイバースペース・バイオテクノロジーの技術領域に特化したスタートアップ10社が登壇する形で行われた本イベント。

今回は、その概要をイベントレポートの形でお伝えする。

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開会挨拶

まず、スタートアップ10社のピッチに先立ち、本イベントの主催者であるLeaguer GroupにてInternational Department Directorを務める郑 翔(ティショウ)氏から開会の挨拶が行われた。

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Leaguer Groupは、深セン市政府と清華大学の全面的な協力によって設立された深圳清華大学研究院(RITS)の外郭団体であり、テクノロジー企業の支援に強みを持つことで知られている。
郑氏は、

「サムライインキュベートのおかげで、大きな可能性を秘めた日本のスタートアップから数多くの応募があった」

と述べた上で、

「本ピッチコンテストを通じて、将来有望な先端テクノロジーを発掘し、優れた技術者・研究者を支援することによって、グローバルな社会課題の解決に寄与していくことを目指す」

と言及した。

続いて、Leaguer Groupとともに本ピッチコンテストの運営を担当しているサムライインキュベート 代表取締役榊原 健太郎(以下、榊原)からも開会の挨拶が行われた。

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榊原は、

「本ピッチイベントを通じて、日本から世界を席巻する企業を数多く生み出すことに貢献していく」

という意欲を明らかにした。

登壇スタートアップ、審査員紹介

深センで開催される本選大会出場を目指し、以下の10社のスタートアップによって熱いピッチを繰り広げられた。

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また審査は、本コンテストのテーマ領域や国内のイノベーション推進において、第一線で活躍をされている以下の10名で行われた。

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スタートアップピッチステージ:人工知能領域


株式会社MOLCURE

人工知能領域の1社目として登壇したのは、株式会社MOLCURE 代表取締役の小川隆氏(以下、小川氏)。同社は、AI技術とバイオテクノロジーを統合したバイオ医薬品設計・探索技術を製薬企業向けに提供するスタートアップである。

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同社のピッチを踏まえ、審査員からは、

「社会的な意義が非常に高い事業」「量子コンピューティング技術を活用したAI創薬が誕生した場合、それは御社にとってプラスの要素として働くのか、それともマイナスの要素として働くのか」「AI(人工知能)と言いつつも、実態は単なるソフトウェアという事例も最近では少なくない。御社の場合、どのような領域にAI(人工知能)技術を使っているのか」

という質問や感想が挙がった。

株式会社スマートシティ技術研究所

2社目に登壇したのは、株式会社スマートシティ技術研究所 代表取締役副社長の佐野聡氏(以下、佐野氏)。同社は、スマホによる次世代型の道路管理プラットフォーム「GLOCAL-EYEZ」を展開しているスタートアップである。

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同社のピッチを踏まえ、審査員からは、

「この優れた技術をどのようにして世の中に広めていくのか」「AI(人工知能)を活用した画像解析技術に関しては、世界的に有力な企業が既に存在していると理解しているが、御社は特許等は取得しているのか」「大手企業が参入した場合、より高い精度の画像解析技術が出てくる可能性がある」

という質問や感想が挙がった。

トウキョウ アーチザン インテリジェンス 株式会社

3社目に登壇したのは、トウキョウ アーチザン インテリジェンス株式会社にてCEOを務める中原啓貴氏(以下、中原氏)。深層学習などのAIアルゴリズム・ハードウェアの研究開発を行う同社は、世界最先端の技術をプロダクト化することで、社会の諸問題を解決することを目指す東京工業大学発のベンチャー企業である。

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同社のピッチを踏まえ、審査員からは、

「非常に技術的にレベルが高い」「スパイキングニューラルネットのような対抗馬となり得る技術の研究も進められているが、そういった新しい技術が出てきた場合はどのように対応するのか」「受託事業についても取り組んでいくつもりか」

という質問や感想が挙がった。

株式会社Jij

4社目に登壇したのは、株式会社Jij 代表取締役社長の山城悠氏。
同社は、物流・MaaS・エネルギー等の分野で社会課題となっている最適化問題を解くためのイジングマシンや量子アニーリングをはじめとした最先端のハードウェア・研究手法を研究するスタートアップだ。上記の分野における最適化問題に対応するアルゴリズムや使用する計算機の自動選択を行うミドルウェアの開発にも取り組んでいる。

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同社のピッチを踏まえ、審査員からは、

「セールスマン巡回問題をはじめとして、多くの制約問題の制約は言語化されていない。それらをうまく言語化することが大きなポイントになると思われる」「中国における量子コンピューティングの技術的なレベルについて教えて頂きたい」

という質問や感想が挙がった。

パートナーピッチステージ①

ここで、本イベントの運営において連携を行っているパートナーからのピッチ(その1)が行われた。

渋谷区

一人目の登壇者として、渋谷区国際戦略推進担当課長・田坂克郎氏(以下、田坂氏)が登場した。

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渋谷区では、本年度からスタートアップ支援を開始しており、スタートアップのエコシステムを構築すべく、環境整備に積極的に取り組んでいる。その中で、最も大きな課題となっているのが与信の問題だ。具体的には、スタートアップの街であるにもかかわらず、スタートアップという存在が十分に認知されておらず、銀行で融資を受けることができない/オフィスを借りることができない等の問題がある。

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この問題を解決すべく、

「規制緩和等を推進し、スタートアップにより適した街に進化させていく」

と田坂氏は今後の方針を述べた。

また、同時に、スタートアップのグローバル化を支えるべく、今年を目処にワンストップセンターを開設し、海外展開支援や海外スタートアップの誘致にも取り組んでいくという。さらに、経済産業省の力を借りながら、1年間のスタートアップビザを発行できるように準備を進めている。
英語による発信についても強化していくことで、

「様々なスタートアップを海外向けに紹介していきたい」

と田坂氏は今後に向けた意欲を明らかにした。

みずほ銀行

続いて、二人目の登壇者として、みずほ銀行 執行役員 イノベーション企業支援部長・大櫃直人氏が登場した。

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みずほ銀行/みずほフィナンシャルグループは、優れた技術やアイデアを持つスタートアップ企業に対して、貸出・エクイティ両面からの資金供給に加えて、ビジネスマッチングや産学官連携を通じたビジネス開発、さらには各種セミナー等による教育・メンター支援に積極的に取り組んでいる。

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2018年7月には、深センにて「紅いシリコンバレープロジェクト」を開始。また、上海にて中国イノベーション企業支援室を設置し、香港市場への上場や中国におけるビジネス展開や資金調達のサポートを実施している。みずほ銀行の特徴として、東南アジアの新興財閥との関係性が深いことが挙げられ、東南アジア進出支援については、4年で50名を超える部隊にまで成長しているという。

「今後も、スタートアップの皆様のお声に耳を傾けながら、サポート体制を充実させていきたい」

と大櫃氏は意気込みを語った。

スタートアップピッチステージ:バイオテクノロジー領域

NUProtein

バイオテクノロジー領域の1社目として登壇したのは、NUProtein株式会社代表取締役の南賢尚氏。出発原料を小麦とする遺伝子組換えによらない安心・廉価な医療用・食品用タンパク質を提供することで、医療問題および食料問題の解決に貢献することを目指すスタートアップである。

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同社のピッチを踏まえ、審査員からは、

「市場性のある製品をどのような順番で優先順位をつけながら投入していくのか」「植物抽出液自体にも何らかの効果はあるのか」「この技術を利用する上で、遵守すべき法規制などはあるか」

という質問や感想が挙がった。

株式会社Genics

2社目に登壇したのは、株式会社Genics 代表取締役の栄田源氏。
同社は、ロボット技術を応用した次世代型全自動歯ブラシを開発するスタートアップ。咥えるだけですべての歯を全自動で磨くことができ、口腔データを活用したヘルスモニタリングを行うことを目指している。

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同社のピッチを踏まえ、審査員からは、

「非常に面白い構造の歯ブラシ」「将来的には、個人個人へのカスタマイズを行うことを想定しているのか」「中国では、どのような方法でマーケティングしていくのか」

という質問や感想が挙がった。

BionicM株式会社

3社目に登壇したのは、BionicM株式会社 代表取締役社長の孫小軍氏(以下、孫氏)。
同社は、ヒューマノイドロボット技術を活用し、義足ユーザーの動作をサポートするパワーアシスト付ロボット義足を開発する東大発スタートアップである。自身も義足ユーザーである孫氏は、

「市場の99%を占める受動式義足が抱える課題を解決し、ユーザーの自由で安全な生活を可能にすることで、下肢切断者のモビリティ・QOLの向上を目指す」

と語った。

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同社のピッチを踏まえ、審査員からは、

「自社の強みと今後の展望についてより詳細に知りたい」「量産化に至るまでにどのような課題があるのか」

という質問や感想が挙がった。

パートナーピッチステージ②

ここで、本イベントの運営において連携を行っているパートナーからのピッチ(その2)が行われた。

つくば市

一人目の登壇者として、つくば市スタートアップ推進監・ 高瀬章充氏が登場した。

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科学技術に特化した街として知られるつくば市では、2018年4月にスタートアップ推進室を設置し、研究学園都市ならではの「知の集積」を生かして、ディープテックを基礎とするスタートアップ企業の育成に取り組んでいる。国内外のイノベーション都市との連携についても積極的に進めており、

「深セン市とは2004年から友好都市として非常に良好な関係性を構築している」

と高瀬氏は説明する。

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最近では、グローバルに向けた取り組みにも注力しており、2020年7月には内閣府が行うスタートアップ・グローバル拠点都市に東京都・横浜市・川崎市・和光市とともに、つくば市が選出されている。また、起業を目指す外国籍の方向けに、スタートアップビザの発行も開始している。最後に、つくば市の特徴として「社会実装トライアル支援」が挙げられる。代表例としては、「SAgri株式会社との人工衛星データを用いた耕作放棄地の自動検出」や「AGRIST株式会社との自動収穫ロボットの実証実験」がある。「今後も、実証実験のフィールドとして、つくば市を活用して頂ければ幸いである」と高瀬氏は締めくくった。

日本貿易振興機構(JETRO)

続いて、二人目の登壇者として、日本貿易振興機構(JETRO) イノベーション・知的財産部スタートアップ支援課・笹川佐季氏が登場した。

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日本貿易振興機構(JETRO)では、スタートアップ向けにいくつかの支援プログラムを提供している。その中の一つが、グローバル・アクセラレーション・ハブだ。同プログラムでは、世界26箇所に拠点を設け、日系スタートアップの現地展開を通年で支援している。昨年度は延べ約570社が利用し、現地での拠点設立や販路拡大に貢献した実績がある。

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もう一つが、東京都から受託している「X-HUB TOKYO」である。
これは、東京の国際都市としての競争力維持、成長を目的として、東京から数多くのグローバルに活躍するスタートアップ企業を創出するために、都内のスタートアップ企業等のグローバル展開を支援していくプログラムである。本プログラムは、米国西海岸、東海岸、シンガポール、深セン、ドイツ、Web Summitの6つのコースに分かれており、各地域へのグローバル展開を目的として、各地域のエコシステムに精通しているグローバルアクセラレーターと提携し、ブートキャンプやメンタリングを通じて、ビジネスパートナーとの連携や投資家からの資金調達に至る機会を提供している。

スタートアップピッチステージ:サイバースペース領域

株式会社オルツ

サイバースペース領域の1社目として登壇したのは、株式会社オルツ 取締役副社長・米倉 豪志氏。
同社では、人工知能技術によるAIクローン「P.A.I. (Personalized Artificial Intelligence)」の研究開発を行っている。超高速演算機「Alt Emeth」と個人情報保全基盤「Alt Stack」、そして、「Alt Clone Modeling Engine」 を用いて、世界初のAIクローンアンケートシステム「Nulltitude」を公開している。

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同社のピッチを踏まえ、審査員からは、

「現在、このサービスはどのくらい利用されているのか」「チームメンバーのバックグラウンド等について教えて頂きたい」「AIクローンを作る目的とその先にあるビジョンについて教えて頂きたい」

という質問や感想が挙がった。

パロニム株式会社

2社目に登壇したのは、パロニム株式会社・高久正義氏(以下、高久氏)。同社が開発する「TIG(ティグ)」は、動画の中の気になる対象物(情報)をスマホなどの画面上からタップするだけで、情報を入手することができる次世代型インタラクティブ動画技術。同社は、「TIG(ティグ)」を活用することで、「動画→検索」のストレスからユーザーを解放し、誰もが直感的に「情報⇔動画」を楽しむ世界の実現を目指すスタートアップである。

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同社のピッチを踏まえ、審査員からは、

「教育や研修への応用という話があったが、具体的な内容について伺いたい」「教育分野での応用に興味を持った。オンライン学習を活用した新しい学びについてどのようなことを考えているか」

という質問や感想が挙がった。

株式会社I’m beside you

3社目に登壇したのは、株式会社I’m beside you 代表取締役の神谷渉三氏。
同社は、オンラインセッション参加者の表情・音声を解析し、参加者一人一人の反応をフィードバックするサービスを提供するスタートアップ。Zoom等の動画を通じて、参加者の個性を可視化することで、ユーザーの解約防止に貢献することに加え、ハイライト動画のレポーティングや最適な人と人のマッチングを実現することを目指している。

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同社のピッチを踏まえ、審査員からは、

「セキュリティはどのように担保しているのか」「オンライン教育の現場で、ユーザーに対して提示するサービス内容について具体的にお聞きしたい」「今後、分析の精度を高めていく上で、どのような施策を検討しているか」

という質問や感想が挙がった。

主催者パートナーピッチステージ

ここで、本イベントの主催者であるLeaguer GroupにてInternational Department Directorを務める郑氏から主催者パートナーピッチが行われた。

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郑氏からは、深圳清華大学研究院(RITS)およびLeaguer Groupの取り組みに関する紹介が行われた。

深圳清華大学研究院は、1996年に深セン市政府と清華大学が共同で産業発展を目指して設立した研究機関である。
技術の実用化を図る研究開発や人材育成に加えて、Leaguer Groupを通じて、起業家への投資・育成等を行うイノベーションプラットフォームとしてもその名を知られている。

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これまでに育成した企業の総数は2,500、投資企業数は400、IPO数は20を超えている。中国国内に30以上のインキュベーション施設を持つ他、7ヶ国に海外センターを展開する等、豊富なグローバルネットワークにも強みがある。

「RITSとLeaguer Groupは、今後も最先端の研究開発および知識交流に絶え間なく取り組んでいく」

と郑氏は述べた。

結果発表


人工知能領域

人工知能領域では、株式会社MOLCUREが受賞した。

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受賞を受けて、代表の小川氏は、

「ハイレベルな会社さんが数多くいらっしゃる中で、弊社が選ばれるとは全く思っていなかった。プレゼンにも思い残すことがあったが、受賞することができて、本当に嬉しい。
弊社にとって、中国は非常に重要な市場であり、日本発の医薬品で、患者の方々のQOLを高めることに邁進していきたい」

と述べた。

経済産業省・松本理恵氏は、

「どの分野もレベルが高く、盛んに議論をさせて頂いた。
しばしば、日本は諸外国と比べてスタートアップが盛んでないと言われることがあるが、本日のプレゼンを拝見して、『日本のスタートアップは非常に大きなポテンシャルを秘めている』とあらためて実感した。
その中で、特に、MOLCUREさんには大きな可能性を感じた。中国を足がかりに、世界展開を目指して欲しい」

とエールを送った。

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バイオテクノロジー領域

バイオテクノロジー領域で受賞したのは、株式会社BionicM

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受賞の知らせを受けて、代表取締役を務める孫氏は、

「このような素晴らしい賞を頂き、大変光栄に思う。2015年から開発に取り組んできたが、やっとこれから量産化に向けて走っていくことができるという状況である。今回の受賞をきっかけに、中国展開の足がかりにしていければと考えている」

と述べた。

審査員を務めた国立成育医療研究センター・阿部浩之氏は、

「同じバイオというカテゴリーの中でも分野が異なっていたり、ステージが違っていたりで、審査は本当に難航したが、孫社長には是非とも中国に凱旋して頂きたいと考えている」

と語った。

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サイバースペース領域

サイバースペース領域で受賞したのは、パロニム株式会社

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受賞の知らせを受けて、高久氏は、

「本当に驚いている。深センでもこのままの勢いで頑張りたい」

と今後の抱負を述べた。

審査員を務めた明治大学准教授・五十嵐悠紀氏は、以下のように述べ、パロニム社の持つ技術の有望性を高く評価した。

「審査は本当に白熱したが、中国における展開の可能性を含む様々な観点から精査した結果、このような結果となった。どの技術も非常に魅力に溢れていたが、その中でも、パロニム社のビジネスモデルは非常に興味深く、非常に応用可能性が高いと考えている。私自身、大学でUI(ユーザーインターフェイス)を研究する立場だが、より幅広い年代層に使われて、魅力あるプロダクトにしていくためには、動画制作者がTIGを埋め込むことをどれだけ簡単にできるかがポイントになると思っている。2〜3年後、誰もが「TIGる」時代が到来することを願っている」

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特別賞

さらに今回登壇したスタートアップが非常に優れていたということもあり、当初想定していた受賞企業数に加えて、急遽特別賞という枠で一社受賞企業を増やす運びとなった。

今回特別賞として、本選大会に出場することが決定した4社目はNUProtein株式会社だ。

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受賞を受けて、代表取締役を務める南氏は、

「思わぬ形で賞を頂くことになって驚いている」

と述べた。

審査員を務めたサムライインキュベート代表取締役・榊原は、

「今、我々が最も取り組まなければならない目標の一つとして、SDGsが挙げられる。その中の目標13 ”気候変動に具体的な対策を” を解決する上で、NUProteinの技術が世界中で求められる可能性がある。
技術レベルは非常に高い。ビジネスサイドについては、我々が支援させて頂くので、是非ともSDGs分野をリードする存在になって欲しいと思っている」

と述べた。

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閉会前の審査員からの講評


ダイキン工業 常務専任役員・稲塚氏

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深センのスタートアップとダイキン工業のテクノロジーを結びつける活動に2年間にわたり従事していた稲塚氏は、「個人的な見解」と前置きした上で、

「深センのスタートアップの特徴は、失敗しても気にせずにどんどん物事を前に進めるということ。一方、日本のスタートアップは、芯となる技術を持っていて、若干時間はかかる雰囲気はあるものの、しっかりと事業活動に取り組んでいることが特徴だと考えている」

と述べた。

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最後に、

「新型コロナウイルス感染拡大の影響で、入国できるかどうかが心配だが、深センには若くて野心溢れる方々がたくさん存在し、非常に良い刺激になると思われる。深センと日本が適切に協働しながら、双方が発展することを願っている」

と今後に向けたエールを送った。

株式会社リバネス 代表取締役副社長CTO・井上氏

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株式会社リバネス代表取締役副社長CTO・井上氏は、

「皆さんのピッチを聞いていると、自分でもやりたくなってしまう。やはり、ご自身の技術に夢中になっているその姿が、周囲の人々にも熱をもたらしているのだと思う」

と述べた。


その上で、

「技術に夢中になることはとても大切だが、それと同時に、使命感を持って、ビジネスの仕組みを整えるということをこれまで以上に積極的に取り組んでいって頂きたい」

とエールを送った。

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最後に、

「私自身、みなさんに負けないくらいに『やってやろう!』と思っています」

と意欲を語り、イベントを締めくくった。

執筆者:勝木健太(かつき・けんた)

株式会社And Technologies代表取締役。1986年生まれ。幼少期7年間をシンガポールで過ごす。京都大学工学部電気電子工学科を卒業後、新卒で三菱UFJ銀行に入行。4年間の勤務後、PwCコンサルティング/有限責任監査法人トーマツを経て、フリーランスの経営コンサルタントとして独立。約1年間にわたり、大手消費財メーカー向けの新規事業/デジタルマーケティング関連プロジェクトに参画した後、大手企業のデジタル変革に向けた事業戦略の策定・実行支援に取り組むべく、株式会社And Technologiesを創業。キャリア情報サイト「FIND CAREERS」を起点として、「転職Z」「英会話教室Z」「プログラミング教室Z」等の複数の情報サイトを運営。執筆協力実績として、『未来市場 2019-2028(日経BP社)』『ブロックチェーン・レボリューション(ダイヤモンド社)』等がある。