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T's BAR 78夜 ANNETTE PEACOCK

The Perfect Release  /  ANNETTE PEACOCK

たぶん、彼女のことは、ビル・ブルーフォードさんのソロで歌っていたことがきっかけで興味を持ったのだと思います。
私のCDラックには、このアルバムしかありませんでしたが、一時期はよく聴いていました。

70年代の終わり、ロックのフィールドではプログレが衰退してAORや産業ロックが台頭します。それと並行するように、ジャズもライトなフュージョン・サウンドの人気が高まります。ロック系のアーティストで、演奏技術の高い方がフュージョン系へ転身した、という例はいくつかありますね。

このアルバムは、ジャンルでいうと歌もののフュージョンということになるのでしょう。
ただ、確かに演奏はフュージョン系なのですが、アネットさんのヴォーカルが独特で、実験的なロックを聴いているような気分にもなります。

ヴォーカルと言っても、それは淡々と感情を抑えてつぶやかれる、ポエトリー・リーディングのようなスタイルです。

演奏は安定感があり、しっかり聴き込むほどに良さが感じられます。
一方でアネットさんは、自由でとらえどころがありません。
このフリー・スタイルな空気感が心地良いのです。
短いアルバムなので、コメントも少なめにして、音楽を聴こうと思います。

余談ですが、他のアルバムでは、前衛的で攻めた音楽も聴くことができます。
あまり有名ではないアーティストかもしれませんが、アートに身をささげた人に特有のオーラを感じるのです。