相川弘道

短歌/詩/小説/月の雑感など

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短歌連作(15首) 模様の奥/奥の模様

入り組んでいく細工箱を解くきみへ宛てたかおりを入れたよ (水仙?) 本意なら廊下の突き当りなんだ 骨の紋 模型に閉じこめられて 地球軌道を周ったイヌへ投げかけるもう眼差しはここにしかない 霊と死体の二者択一がかがやくねみんな考えない井戸の底 透かし紙の奥のだれかを読みひらく頬っぺの奥よ 顔の二ページ 水汲みと小屋の往復ばかりしたわたしの会得できない流線 鉱脈から市街に歩み寄る夢にうなだれるフォード・マスタングたち 写るものがすべてじゃないね (云っている貴方が水

    • 掌編 アジサイ通り

      裏通りを気が遠くなるほど直進し、邂逅のための儀式のようにこれを感じ始めるころ、目的の公園の一角が見えてくる。    視認できると、少し焦れる。会いたいひとがいた。  ひとつ通りを移れば集合住宅が在ったが、その動線からも外れた流木のような一帯。いまのような深夜では人気など望むべくもなく道すがら何者ともすれ違わなかった。   たどり着き、入口の傾斜を上りながら見渡しても人影はない。  さらに進み出る。目を凝らすと、格別うす暗い松の木のそばのベンチにそのひとは座っていた。  -

      • 詩 水葬

        水葬 昆虫の霊は失った身体を街じゅうで探した。とてもじゃないがジェンガを押す指だ。いくつかの三人称は穴だらけになったたくさんの胸を記述していく。 隠し場所の悪い記憶から腐っていく朝に街路を侵す高速マーチ(!!)わたしたちの四肢は電車だよ。けれども終点のない行程に出て過去を裂かれる成人式からずっと成人式だった。 石階段に座るばあさんが数えるのは置き去りにされた猫の輪郭、なので頭上を廻転する。 謝肉祭に交ざらないうちは双眼鏡でいられる 言ったのは彼女ではないから生を前戯して

        • 近況

          芸人を辞めたあとすぐに100首の作成があって、変に熱っぽいまま暮らしてました。でもそれも落ち着いてきて書ける気がしてきたので近況を書いてみようと思います。いや、近況もくそもない。最近は膨大な時間と膨大な夜勤があるだけ。だから思ってることの整理ですね。 自分で決めて、カミノにも散々迷惑をかけながら押しきった癖に、芸人を辞めた直後は未練がましかったです。こころでは完全に辞めたいし、辞めたがっているのに頭がまだ悔しがってる感じ。お笑い番組とかは笑いながらもやもやしながら観ていた。

        短歌連作(15首) 模様の奥/奥の模様

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        • 月報ラーメン
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