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「流浪の月」 凪浪ゆう 

久しぶりに一気に読ませてくれた小説「流浪の月」
2020年本屋大賞の受賞作で、ずっと気になっていた一冊でした。

全然知らなかったのですが、今年の5月には映画にもなっていたんですね。

私は自分の頭の中で画ができてしまっているので、Netflixで観ることが出来たとしても観ることは無いと思いますが。


あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。

『誘拐事件にあった女の子』とレッテルを貼られた女性・更紗と、『誘拐犯』とレッテルを貼られた男性・文が、15年後に偶然再会したことで物語が進んでいきます。
更紗は文に酷いことをされていませんし、ましてや自ら望んで文のところに行ったのですが…

単純な男女の恋愛感情なのではなく、お互いをどうしようもなく求めてしまう2人のあり方にグイグイ引き込まれ、313ページ週末に一気に読みました。

考えさせられた事は沢山ありましたが、一番最初に思ったのは

他人からみて、どんなにはっきりした事実に見えても

事実は本人にしかわからない

という事。

こうして書いてしまうと当たり前の事過ぎて、何を今さら、なのですが。

例えば私に以前誘拐されたとされる女友達がいたとして。その子がある時

「あれは誘拐されたんじゃないの、あの人が救ってくれたんだよ」
と私に真剣に話してくれたとして、私は果たして彼女を信じるだろうか、と。

「それはストックホルム症候群なんだよ」と言って取り合わないのではないかと。


それにしても、次から次へとテンポ良く進んでいく展開と描写力が素晴らしかったです。

時々出てくる『月』の描写も独特で、とても素敵でした。
一番切なさがつたわってきたのがこちら⬇️

細く痩せきった月が、今にも落ちそうな角度で夜に引っかかっている。

最近本を読むペースが落ちてきていて、「もしかして私は読書が苦手になってきているのかも?」と思っていましたが、単に自分好みの本と巡り合っていなかったのだと感じ、少しホッとしました。

この作者の本は初めて読みましたが、他の本も読んでみたいです。



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