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2019年に読んだ本ベスト

皆様あけましておめでとうございます。2019年も色々本を読みました。そこで面白かった本について語っていきたいと思っております(数字はランキングではなく、順不同です)。しばしおつきあいいただけたら嬉しいです。


1.宮下奈都『羊と鋼の森』

ピアノ調律師の青年を描いた小説です。静かで、事件もあるのですがとても穏やかな話。一流の料理人が丁寧に作った料理をゆっくり食べているような、贅沢な時間を過ごすことができるはずです。仕事ってなんだろう、生きるってなんだろう、と思っている人におすすめしたいです。こういう小説を読むと、この世界をもう少しだけ信じてみたい気持ちになります。ふだんはあまり信じていないんですが。


2.結城浩『数学ガール』

数学ガール本編に出会ったのは2019年の大きな収穫でした。数学ガールは本編と『数学ガールの秘密ノート』のシリーズがありまして、秘密ノートの方が数学的なレベルはおさえられています。でも、数学が苦手だからといって秘密ノートだけしか読まないのはもったいないです。私の仕事にも大きな影響を与えた本として、ずっと書棚にいてくれることと思います。教育や学びについて考えることがある方なら、きっと気に入るはずです。テトラちゃんは忍耐強くてえらい。私の頭の中にも1人くらいテトラちゃんが住んでくれるといいと思っています。


3.ビル・ブライソン『人類が知っていることすべての短い歴史』

これ、わくわくしながら読みました。科学と、その発見の歴史が書いてあるんです。宇宙がいつできて、地球がいつできたか、どうやってわかったのか。恐竜の発見はどのように受け止められたか。極小の世界はどのように発見されたのか。文章がユーモアに満ちていて、科学に詳しくない人でもどんんどん読めると思います。科学史もおもしろそう。もっと読みたいです。


4.オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』

友人がワイルドが好きで、私がその友人のことを好きなのでワイルドも気になっているわけです。そこで読んだのですが、古典を読むのはなかなか骨が折れます。濃厚なスープを飲んでいるような感じがして、一筋縄ではいきません。でもそういう読書ができるのは贅沢なことです。ストーリー、ご存じですか?超美形のドリアン・グレイが絵を描いてもらうんですね。ドリアンが年を取ったり、悪いことや堕落した行動をすると、絵に描かれたドリアンがどんどん醜くなっていくんです。でも、生身のドリアンはそのまま美しくて若いままです。私、ラストシーンをワイルドがどうするつもりなのかとても気になりました。「ドリアンは報いを受けました」になるのか、それとも「ドリアンは美しいままでした」になるのか。最後まで読んで「なるほどなあ」と思いました。「男は疲れたから結婚する。女は好奇心から結婚する。そして両方ともがっかりするんだ。」みたいな警句がたくさん登場してすごいです。


5.呉座勇一『陰謀の日本中世史』

これしばらく前に話題になりましたよね。ようやく読みましたが面白いです。一番笑ったのは、「本能寺の変の黒幕が秀吉だったとして、光秀が信長に『秀吉のやつが裏切るように持ちかけてきましたよ』と通報したらどうするのか」という話でした。たしかに、としか言えません。「こういう事件があったからには陰謀があったはずだ」という考えを著者が否定していくのですが、その割に執権北条氏は陰謀好きだなあ、と思ってしまいました。あと足利尊氏の何も考えていない感じがすごい。別の本を読むとまたイメージが変わるかもしれないので、引き続き歴史を学んでいきたいです。


6.大崎善生『聖の青春』

『3月のライオン』や羽生さんの本から将棋にちょっと興味を持っていまして、これは棋士の村山聖(さとし)さんの生涯を描いた本です。村山さんは重い病気で、将棋をすること自体大変なくらいなんですけど、でも名人になりたいと思い続けて、将棋を指し続けたんです。師匠が「冴えんなあ」と言いながら村山さんと一緒にいるところが本当にいいと思います。「戦う」ことの意味を読者に激しく問うような本です。


2020年も本との素晴らしい出会いがありますように。

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