破産に終わった自殺ミッション。遠い星を目指すドキュメンタリーの裏側で
2019年1月、あるプロジェクトの破産が告げられました。
それが、人類の火星移住を目指す「Mars One」計画です。
ドキュメンタリーでも描かれたその計画には、なんと世界中から約20万人以上の人が応募しました。
カメラの前で、火星移住に対する意気込みや思いを語る志願者たち。
一体その裏側で何が起こっていたのでしょうか。
今回は、ガーディアン紙とのコラボ企画第3弾、『もし火星で死んだら』の内容に迫っていきます!
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もはや自殺ミッションである
「Mars One」計画とは、オランダの民間組織によって立ち上げられたもので、2025年までに火星に人類を送り込み、そこを人類初の永住地にすることを目的とした計画です。
ただし、派遣される人物は世界中から選ばれたたったの4人。
さらに、金銭的、技術的な問題から、火星への旅は片道切符です。
もし無事にたどり着くことができたとしても、約2ヶ月後には酸素の問題などで死者が出る可能性があるとも言われています。
まさに自殺計画とも言うべきこのプロジェクトですが、約20万人以上もの応募があったと言うのは驚きですよね。
めちゃくちゃだった?計画
2015年より本格的に計画が進められていたそうですが、技術的な面も含め、当初から度々問題が指摘されていました。
応募者の1人であった大学助教授である、ジョセフ・ローチ博士などは、下記のインタビューで寄付金を度々求められたことなどについて語っています。↓
一時は商業詐欺ではないかという噂も流れ、実際に記者が会社へインタビューに行くと、従業員は1人でオフィスも自宅だった、といったこともあったようです。
そんなこんなで、Mars One計画はついに、資金難を理由に頓挫してしまいます。
MARS ONE社は、寄付や商品の販売、ドキュメンタリー制作や志願者たちのトレーニングの様子をライブ配信することで資金調達をしようとしていたそうですが、うまくいかなかったようでした。
無念にも終わってしまったMars One計画ではありますが、ドキュメンタリーからもわかるように、一時でも人々に夢を見させてくれた計画であったことは間違いありません…。
新たなる計画 Space X
一方で、現在では別の火星移住計画の実現性が高まっています。
それが、イーロン・マスク氏率いるSpace X社による計画です。
イーロン・マスク氏によると、2029年までには火星への有人飛行を達成させると述べており、最も有力な火星移住計画であるとも言われています。
様々な困難があってもなお、人々は火星移住という選択肢を諦めていなかったのですね。
”クレイジー”呼ばわりされる志願者たち
しかしながら、「Mars One」の志願者たちは、世間から非難の目を向けられたり、「クレイジーだ」と言われたりすることもあったようです。
中には、子を持つ志願者の1人が、「子供を置いてまで旅立つ母親」といった見出しでメディアに取り上げられ、中傷を受けることもあったといいます。
地球に残された人々を捨てて、二度と戻れるかわからない火星に旅立つ_。
確かに非常識な考え方かもしれません。
しかし、彼らの人生には、親からの愛情を十分に知らずに育った経験や、女性蔑視の厳しい社会の中で生きのびた経験など、容易に想像し難い様々な背景がありました。
一つの”普通”という概念だけで人をクレイジーだと決めつけることの危うさを、このドキュメンタリーを通して改めて感じることができます。
どう生き延びるかではなくどう死んでいくか
火星は地球にとても似ていますが、実際、大気は約1%ほどしかなく、重力も約3分の1ほどだそうです。
志願者たちの多くは、火星に既存の文化や社会構造が何もないからこそより良い世界を作れると信じていますが、少し、楽観的なようにも感じますよね。
しかし、彼らのインタビューの言葉を聞いていると、死に対して非常に恐れていない様子が感じられます。
人間もいつしか死ぬもの。
言葉は悪いですが、あとどれだけ生き延びれるのか?ではなく、
残された資源の中でどうやって死んでいくべきか。ということが大事なのかもしれませんね。
映画のように、人々が火星に住む時代もそう遠くはないのかもしれません。みなさんは火星にいきたいですか?
火星移住に応募した志願者たちの、力強い姿勢と様々な思いを、ぜひSAMANSAでご覧ください!
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