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「不思議な薬箱を開く時」

こんにちは、
「不思議な薬箱を開く時」です。
薬に、副作用は付き物です。
なかなか、障りのある症状が出たりしますね。
自然薬であっても、副作用はあります。
毒と薬は、表裏一体なのです。
過ぎれば毒。
何事も、程よく、丁度良いが一番です。
では、今日も、お薬箱を開けてみましょう。

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お薬番号・41

「尻尾が生えてくる薬」

はい、仰りたいことはよくわかります。
そうですよね。
尻尾を生やして、いったい、どうするのか?
まあ、今風に萌えぇ~な世界なら、
動物のような耳や尻尾が生えていると、
かなりの人気者になってしまいそうですが。
果たして、昔の人々にとって、
尻尾を生やすと言いますのは、
どういう理由からなのでしょう?
今まで、角が生えてくる、
驢馬の耳になるなどの、
どうしようも役に立てるのが困難なお薬がありました。
今度は、尻尾です。
誰かに尻尾を生やさせて、
社会的に追放する、スキャンダルにするなど、
復讐、個人攻撃などしか、
当時は、使い様がなかったのではないでしょうか。
さて、このお薬。
ドイツのブレーメンで、医療に携わりつつ、
錬金術の研究に没頭していた、
ヴァルター・ハイゼルシュタインが開発したお薬です。
彼は、たいへん変わり者であり、
役人から、悪魔とつながりがあるのではないかと、
疑いをもたれていたらしく、
そのせいか、彼がくれた薬を飲んで、
しゃっくりが止まらなくなった、
悪い夢を見るようになったなどの、
悪い噂が立ち、とうとう、教会の役人に捕えられ、
地下牢に投じられてしまいます。
その際、彼の私有財産を没収した街の顔役が、
倉庫の奥で発見したのが、
このお薬を含めた、さまざまな怪しいお薬の調剤法が記された本でした。
その後、8年後にヴァルターは、地下牢で獄死しましたが、
この本は、大学に譲渡されました。
では、調剤料をご紹介しましょう。

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「尻尾が生えてくる薬」処方

サンザシの実・・・・・・・・3個
ビスマス塩・・・・・・・・・大匙1杯
ニワトコの実・・・・・・・・3個
ビアトのチンキ・・・・・・・小匙1杯
カキ殻・・・・・・・・・・・1個分
オオカミのベゾアール石・・・1個
クジラの脂肪・・・・・・・・握り拳大1個
蜂蜜・・・・・・・・・・・・適量

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諸注意
サンザシの実、ニワトコの実は、よく乾燥させましょう。
ビスマス塩、カキ殻、ベゾアール石は、
微粉状になるまで、砕きます。
クジラの脂肪と蜂蜜に調剤料を加え、
よく練ってください。
オオカミのベゾアール石は、
記録によると、とんでもない猛毒だそうですから、
素手で取り出すことは、お勧めしません。
服用時に、口の中などに傷があったり、
体内のどこかに炎症が出来ている場合は、
たちまち、ベゾアール石の毒が回ります。
十分に注意してください。

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備考欄
皆様方のご想像通り。
このお薬を服用したといたしまして、
どのような尻尾が生えてくるかは、
まったく、わかりません。
ふさふさした狐のような立派な尻尾なのか、
それとも、かさかさしたトカゲのような尻尾か、
テラテラ,ツルツルしたヘビのような尻尾か、
豚の様な短い捲いた尻尾か。
ひれは、お薬とあなたの相性次第なのです。
できれば、見栄えの良い尻尾がいいですね。
もちろん、あなたの身体から生えてきますので、
踏まれたりしますと、それなりに痛いと思われます。
椅子に座っている時などは、人の足にご用心。
トカゲの尻尾などは、あやまって掴まれたりすると、
ぽろりっと取れてしまいます。
中途半端な状態のまま、
再生するまで、辛抱しなくてはいけません。
クジラなどの大型海洋哺乳類の場合などは、
もう、想像を絶します。
まあ、運良く、ふさふさとしたキツネのような、
見事な尻尾だったとしましょう。
頭以外は、毛は生えていないのに、
尻尾だけがふさふさと言いますのも、
ちょっとバランスが悪いかもしれませんし、
蚤などが、寄生することも心配しなければいけません。
蚤避けの良いお薬もありますが、
ペット・ショップに行った方が早いでしょう。
たとえ、豚の捲いた尻尾だったとしても、
お手入れは入念に。
日常生活には、邪魔な存在であることは確かですが、
慣れてしまうと、なかなかのアクセントになりますかもしれません。
個性を大切にする時代ですからね。
尻尾が取れるお薬ですか?
さあ、いつかはご紹介させていただきますよ。

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