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星空を見上げると思い出す

2020年になった。
つまり、2010年から10年が経ったのだ。

同じことだが、2010年から10年経ったなんて果たして誰が信じるのだろうか。

2010年。大好きな人が出来た年だ。

適当な時間に起きて身支度を済ませて家を出る。友達とメールしながら電車に乗り、お気に入りのRADWIMPSを聴きながら学校へ向かう。
まだiPhoneは流行っていない。ガラケーが主流の時代なので、ウォークマンを持ち歩く。

なんてことのない毎日だったが、毎日がきちんと楽しかった。
なんといっても、最高の仲間に出会えた年だった。
楽しい毎日が、明日も明後日も、ずっと先まで続くと当たり前のように思っていた。
あの時みんなで見た夏の星空。星空なんて家からでも見れるのに、あの時に見た星空はみんなにとって特別だった。

仲間の中にいた男の子が気になった。慣れると犬みたいに人懐こい男の子。柔らかい髪の毛が揺れる度に、胸の奥がキュッと狭まるのがわかる。くすぐったい。
歌詞にありそうだが、「好き」ということを伝えたくて仕方がなかった。正確には、あなたを好きということで自分はこんなにも幸せなんだ、ということを伝えたかったのかもしれない。人は人をこんなにも幸せにすることが出来るんだ、そう気付かせてくれたのだ。

あの時こっそり、二人で抜け出して見にいった夏の星空。星空を見ると、あの頃のくすぐったい気持ちを思い出す。多分、これからも。
いま、幸せに過ごしてくれてるといいな、静かに思うことにしよう。

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