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映画日誌’22-41:アフター・ヤン

trailer:

introduction:

アレクサンダー・ワインスタインの短編「Saying Goodbye to Yang」を原作に描くSFドラマ。長編デビュー作『コロンバス』で注目を集めたコゴナダが脚本・監督を務める。主演は『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』などのコリン・ファレル、『ウィズアウト・リモース』などのジョディ・ターナー=スミス、『コロンバス』で主演を務めたヘイリー・ルー・リチャードソンらが出演。坂本龍一がオリジナルテーマ曲を手掛け、岩井俊二監督作品『リリイ・シュシュのすべて』の「グライド」のカバーが作品を彩る。(2021年 アメリカ)

story:

“テクノ”と呼ばれる人型ロボットが、一般家庭に普及した近未来。茶葉の販売店を営むジェイク、妻のカイラ、中国系の幼い養女ミカは、ロボットのヤンと共に暮らしていた。ところがある日、ヤンが故障し動かなくなってしまい、ヤンを兄のように慕うミカは塞ぎ込んでしまう。何とか修理の手段を模索するジェイクは、ヤンの体内に毎日数秒間の動画を記録する装置が組み込まれていることに気付く。そこには家族に向けられたヤンの温かい眼差しと、謎の若い女性の姿が記録されていた...

review:

そろそろA24製作というだけで劇場に行くのやめようかなと思ったくらいには、観ても観なくてもよかった。韓国系アメリカ人のコゴナダ監督が小津安二郎崇拝者とのことで、然もありなん・・・静かでスローテンポ・・・情緒的な描写が続き、ずっと隣に睡魔おる。坂本龍一はともかくリリイ・シュシュですか、そうですか・・・。興味なさすぎて震える(個人の感想です)。

人間、アンドロイド、クローンという3種類の「人間に見える存在」が共存する未来。白人、黒人、アジア人という、時代に求められる多様性を反映した家族構成がもうお腹いっぱいなんだが、そもそも家族の作り物感がすごいのでアンドロイドとの家族の絆と言われても説得力がない。どうにも嘘っぽいのである。哲学的と言えば哲学的なのだが、全体的に血が通っていないのだ。

映像が美しい抒情詩のような作品はどちらかと言うと好物だが、これは心に響かなかった。狙った感が滲み出ているのだろうかとも思ったが、たとえばカリウスマキやアルモドバルのように緻密に計算された構図は大好物だ。とすれば、ただ単に技巧に走りすぎて薄っぺらいのかもしれない。「それっぽい」物語の奥行きのなさが、「それっぽい」映像の奥行きにも現れているだけのような気がする。おそらく、監督の次回作は観ない。

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