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「話す力」30のチェック【心】⑧「相手の気持ちに目を向けて、共感を示しながら話す」

 コミュニケーションを学ぶ一つの狙いとして「共感する力」を身につけることが挙げられます。人とのコミュニケーションにおいて、どうしても「視覚情報」としての「態度」や「表情」や「仕草」などが、「光の速度」で目に飛び込んできます。そして「聴覚情報」としての話し手の「声の大きさ」や「語調」や「抑揚」などによって、「音の速度」で耳に入ってきます。その結果として「言語情報」として「モノの見方・考え方」や「必要な情報」などがアウトプットされてきます。

 まさに「3つのコ」である「心」を乗せて、「行動」した結果が、「言葉」として表されます。この時に、どうしても自分が気になる相手の「態度・表情」や「語調」や「表現方法・言葉遣い」といった直接的で表面的なことに反応を示したり、気になったりしがちです。

 日常のコミュニケーションの場面では、あまりにも多いので、立ち止まって考える余裕すらなく、相手の「態度・表情」や「語調」や「言葉遣い」等を直接的に理解しがちです。

 例えば、初対面の相手と会話をしているときに、自分が話し始めると、視線を外すように首を斜めに捻って話を聞いていたとしたら、あなたは違和感やを覚え「何考えているのだろうか?人が話している時にそっぽを向いて、失礼な!」「もう二度とこの人と話したくない。感じ悪い!」などの感情が湧き上がってくることでしょう。

 しかし、実は、その相手は片方の耳が難聴で、もう片方の耳を傾けて、「傾聴」していたということが分かれば、怒る理由もなければ、不快な思いをすることもなかったはずです。

 ところが、これも当たり前なのですが、上記の直接的に伝わってくる「視覚・聴覚」をはじめとし、「嗅覚・味覚・触覚」という五感で我々は感じ取り、解釈しようとするわけです。  

 ここで、考えなければならない重要なことがあります。それは、現象として現れている「奥にあるもの」や「背景」や「理由」、そして最も重要なのが「相手の気持ち・心持ち」であり、そのために必要になってくる「心の持ち方」こそが、「共感する力」なのです。

 先の初対面時での例で言えば、直接的に見える「相手の素振り・態度」が「そっぽを向いている」ように自分に写った場合、「ちょっと待てよ!」とほんの一瞬立ち止まって「なぜそっぽを向いているのだろう?」と考えてみることです。

 そして、その場で相手に質問・確認をしてみることです。この時にも直接的に自分の意見を伝えるのではなく、「何かありましたか?どうしました?」と事実を確認する言葉に続いて「今首を斜めに捻っていましたが、私の話でわかりにくいところがありましたか?」「自分のせいで」何か混乱させましたか?わかりにくかったですか?という聞き方をすると良いです。

 そうすれば、相手は「あっ!失礼しました。私実は、右の耳が難聴なので、左耳でお話を伺っていました。それがそっぽを向いたように写ったのだと思います。初めてお会いする方はびっくりさないますよね。私の方があらかじめ一言そのことをお伝えしておけばよかったのですが、そのチャンスがなく、ついお話に興味があって耳を傾けていました。大変失礼しました。ごめんなさい。」

 このように、物事の行動の仕方や言動の仕方、態度・表情や言語表現に至るまで、実はその「理由や背景」があるということを常に意識して、人とコミュニケーションしたいものです。特に、言葉尻や言い方・態度などの「部分」「一要素」だけをみるのではなく、相手の気持ちに目を向けてみるという「共感性」がものすごく大事になってきます。「木を見て、森を見ず」では正確に理解することはできないのです。

 さらにそこに、「ユーモア」で働きかけられると、状況や結果というものは大きく変わるのではないでしょうか?

 ある社員食堂での出来事です。何人かの仲間どうして話しながらやってきた女性社員の人たちがそこに並んでいたアメリカ人の前に割り込むような状態だったそうです。その様子を見たアメリカ人は辿々しい日本語で「お腹空いているのですね?」と声をかけると女性社員たちは我を取り戻したかのように、少し頬を赤らめながら「ごめんなさい!」と言って列に並び直したそうです。

 「並んでいるんですよ!」「うるさい!」などと一方的に言われたとしたならば、お互いが不愉快な思いをして食事を取らなければならないかもしれません。

 ちょっと気になった素振りや態度や言動な度があった時には、「待てよ!」とほんの少し立ち止まって相手の気持ちに目を向けて、共感を示しながら話しかけてみましょう。

 

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